終の棲家ストーリー

まさか!の還暦家つくり。しんどくならないように、ゆっくり書きとめながら・・・。

冬菊

2014-11-19 20:48:53 | 植物

一番地違いのご近所さん。

門前を通りがかって、ふと地上に目を遣った。

“地上の星”も斯く哉、

瞬く如き、鉢植えの菊のひとかたまり。

寒さの中で、そこだけが温かく、そこだけが輝いている。

薄桃色の、抑えた華やぎ。

ああ、Tさんは花を愛でる余裕を取り戻されたのだろうか。

夏の終わりだったのか、秋の始まりだったのか、

ある朝突然、ご夫君を喪われた。

突然の喪失感は、どれほどお辛いものだったろう。

身の輪郭が、ふたまわりも小さくなられた奥様に対して、

ただ黙って手を握ることしかできなかった。

水原秋桜子の句が、身にしみる夕暮れです。

冬菊のまとふはおのがひかりのみ

 



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