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一番地違いのご近所さん。
門前を通りがかって、ふと地上に目を遣った。
“地上の星”も斯く哉、
瞬く如き、鉢植えの菊のひとかたまり。
寒さの中で、そこだけが温かく、そこだけが輝いている。
薄桃色の、抑えた華やぎ。
ああ、Tさんは花を愛でる余裕を取り戻されたのだろうか。
夏の終わりだったのか、秋の始まりだったのか、
ある朝突然、ご夫君を喪われた。
突然の喪失感は、どれほどお辛いものだったろう。
身の輪郭が、ふたまわりも小さくなられた奥様に対して、
ただ黙って手を握ることしかできなかった。
水原秋桜子の句が、身にしみる夕暮れです。
冬菊のまとふはおのがひかりのみ