ワイルドで行こう

ロアルド・ダールの児童文学をストップモーションアニメとして
映画化した「ファンタスティックMr.FOX」。
監督は「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」「ライフ・アクアティック」のウェス・アンダーソン、
共同脚本には「イカとクジラ」の盟友ノア・バームバック。
声の出演にはジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、
ビル・マーレイ、ウィレム・デフォー等の豪華キャスト。


Mr.FOXはかつては泥棒で生計を立てていたが
Mrs.FOXの妊娠を契機に足を洗い、
現在は新聞記者として働いている。
息子を含めた3人で穴の中に平穏に暮らしていたが、
やがてもっと良い暮らしを夢見るようになり
丘の上の大木の家を購入。
だがその丘の向かいには
強欲な3人の農場主がいたのだった。

ウェス・アンダーソンはデビュー作から一貫して
家族(コミュニティ)の絆の物語を描いている。
更には共同脚本のノア・バームバックも然り。
本作も原作ものではありますが
見事に今までのテーマを踏襲しています。
表向きには動物と人間との戦いですが、
その裏には親子の絆が。
優劣ではなく人と違う事こそ、
その人間の個性であり魅力なのだと本作は教えてくれます。

今の時代にあえてストップモーションアニメを
作ろうとする心意気が素晴らしい。
製作には2年を費やしたそうですがなるほど、
それに見合った素朴な味わいが画面から滲み出る。

終盤に拳を上げる狼の神々しい姿に、
野生の起源を見た気がします。