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名盤まとめブログ

ジャンル問わず名盤をまとめていくブログです。私は音楽ゲーム愛好家でもあり、音ゲー曲もまとめるのでぜひ聴いてみて下さい♪

【いわゆる】テクノデリック(1981) - イエロー・マジック・オーケストラ

2025-03-29 16:50:44 | ・1980年代(邦楽)
日本を代表する音楽グループ、YMOの5thアルバム。

ジャンル:テクノ/サイケデリック/ニューウェイヴ
オススメ度:★★★★★👑(YMOの到達点)

前作『BGM』で大きな手応えを得た細野晴臣が間を置かず次のレコーディングをしたいとメンバーや事務所に進言したことから『テクノデリック』のレコーディングが始まります。
当初、先行シングル「体操」のレコーディングが開始されますが、一時中断され各人はそれぞれの仕事に散ってゆくことになります。
高橋幸宏はソロアルバム『ニウロマンティック』レコーディングのためロンドンへ、坂本龍一は加藤和彦の『ベル・エキセントリック』のレコーディングのためパリに。
細野晴臣は様々なアーティストのレコーディングに参加する傍ら、スネークマンショーとともにバリ島に赴き、伝統舞踊のケチャに感銘を受けることになります。

1981年8月にレコーディングが再開され、途中であった「体操」を仕上げることから始まります。この時、ピアノや生ベースの活躍が『テクノデリック』の方向性を決定づけることになります。
テクノとは実験精神であり、コンピューターを駆使したピコピコしたサウンドではなく、スタジオ自体を一つの楽器とみなしてテクノロジーを駆使して作る音楽こそがテクノだと。そこに、メンバー各々がレコーディング中断中に得た体験や各人の持ち味が加わり、電子音と生楽器が組み合わさった独特な生々しさが発揮されることになります。

サウンドは「東風」や「ライディーン」のような分かりやすさはほぼなく、暗く難解で実験的な内容となっています。東芝EMIの村田研治と松武秀樹による手作りと言ってもよいサンプリングマシーンLMD-649が使われており、トラック2の「新舞踊」では"チャ"と"チャッ"が何重にもダビングされ、人工的で無機質なケチャが完成しています。

タイトルの『テクノデリック』とはテクノとサイケデリックを組み合わせた造語であり、生楽器や生演奏を多用した音楽もテクノであること、非日常的な祝祭を意味するサイケデリックによりタイトルとして決定されます。

楽曲の方は"こんな醜いトーストは生まれて初めて見た"の語りから始まる「ジャム」、インドネシアのケチャをモチーフとした「新舞踊」、暗く重いピアノとベースが特徴的な「階段」、ガムランをベースとして様々な声がサンプリングされた「京城音楽」、ポップと狂気が同居するシングルカットされた名曲「体操」、サイケ時代のビートルズのような歌唱が印象的な「灰色の段階」、工場の音が繰り返しサンプリングされたインダストリアルな「前奏」と「後奏」など、YMOらしさが発揮されつつも実験的な曲が多数揃っています。

【トラックリスト】
1 ジャム
2 新舞踊
3 階段
4 京城音楽
5 灯
6 体操
7 灰色の段階
8 手掛かり
9 前奏
10 後奏

階段


体操


【音楽アルバム紹介】DON'T TRUST OVER THIRTY(1986) - ムーンライダーズ

2024-12-08 13:15:42 | ・1980年代(邦楽)
日本のロックバンド、ムーンライダーズの11thアルバム。

ジャンル:ロック/ニューウェイヴ
オススメ度:★★★★★👑(実験的でありながらポップなムーンライダーズの名盤)

ムーンライダーズはバンド"はちみつぱい"のボーカルであった鈴木慶一を中心として結成されたバンド。日本ロック史の初期から活動するバンドでありながらコンスタントにアルバムをリリースし、時代に合わせて音楽性を変化させてきたことが特徴です。そのため、ムーンライダーズの音楽性を一言で表すことは困難なほど、実力的で特異なバンドとなっています。

アルバムタイトルはディランの「Don't Look Back」を見て、パッと思いついたとのこと。タイトルを訳すと「30を過ぎたやつのことを信じるな」となり、メンバー全員が30を過ぎたムーンライダーズのリアルさを見せつけてやろうと思い採用した経緯があります。

サウンドはポップだけど実験的なニューウェイヴとなっており、他に比較するようなサウンドがないほどエキセントリック。アルバムのコンセプトとして「ヘヴィメタルとオセアニアンサウンドがテーマ」と語っていることから、激しいギターリフとYMOに通ずるような独特の東洋感がアルバム通して発揮されています。

ハイライトはアヴァンポップな「9月の海はクラゲの海」、"何の価値もない もの こと 好き"と最後に歌われる「マニアの受難」、アルバムタイトルとなったニューウェイヴ調の「DON'T TRUST ANYONE OVER 30」、メロウでアンビエント風の「A FROZEN GIRL, A BOY IN LOVE」、凄まじいギターリフが展開される「何だ?この、ユーウツは!!」など。

総評としてムーンライダーズしか成し得なかった他に類を見ない独特のサウンドが印象的な、名盤の中の名盤であると言えます。


【トラックリスト】
1. CLINIKA
2. 9月の海はクラゲの海
3. 超C調
4. だるい人
5. マニアの受難
6. DON'T TRUST ANYONE OVER 30
7. ボクハナク
8. A FROZEN GIRL, A BOY IN LOVE
9. 何だ?この、ユーウツは!!


9月の海はクラゲの海



何だ?この、ユーウツは!!



【音楽アルバム紹介】蔵六の奇病(1982) - 非常階段

2024-10-12 16:43:18 | ・1980年代(邦楽)
日本のノイズバンド、非常階段の1stアルバム。

ジャンル:ノイズ/ノイズロック
オススメ度:★★★★☆

非常階段はJOJO広重を中心として結成されたノイズバンドであり、ライブを中心として過激なパフォーマンスや激しいノイズロックを演奏したことで有名なバンドです。

作風は雑音・ノイズと呼べるものですが、この衝動的に繰り出されるノイズはハマると癖になってしまいます。

非常階段はキング・オブ・ノイズと呼ばれていますが、裸のラリーズが1977年のライブで既にノイズロックをやっていること、そしてヴェルヴェット・アンダーグラウンドが1968年に「Sister Ray」で強烈なノイズロックを披露していることからパイオニアとは決して呼べないと私は思います。

しかし、非常階段の魅力はそのパフォーマンスの過激さにあり、ステージ上での嘔吐、放尿、生ゴミなどの汚物をばら撒くなどその過激さは伝説になっています。

【トラックリスト】
1. マントヒヒ (大阪)
2. 磔磔 (京都)
3. 創造道場 (大阪)
4. 新宿ロフト (東京)
5. 慶応大学日吉315教室 (神奈川)
6. 同志社大学至誠館24教室 (京都)
7. 蛍ヶ池クルセード (大阪)


蔵六の奇病



【音楽アルバム紹介】グンジョーガクレヨン(1980) - グンジョーガクレヨン

2024-07-10 07:33:03 | ・1980年代(邦楽)
グンジョーガクレヨンは1979年に組原正 (g)、大森文雄(key)、前田隆(bs)、宮川篤 (ds)、園田游(vo,reeds)により結成されたアヴァンギャルドバンド。

サウンドはポストパンク、ノイズロック、フリージャズを組み合わせたような前衛的なもの。しかし、その硬質なビートと疾走するギターリフは非常にカッコよく唯一無二の音楽像を形成しています。

ちなみに組原正は坂本龍一のアルバム『B-2 Unit』でギタリストとして参加しています。

グンジョーガクレヨンの音楽に対して坂本龍一はこのように評しています。
グンジョーガクレヨンの音楽は、いわゆる「音楽」の持つシステマティックな「流れ」からとても自由だという感じがする。ロックでもないしジャズでもない。しかもその音の流れの断ち切りかたがシャープで、従来のグループになかった新しさをみることができる。

【トラックリスト】
1. T MARCH
2. BREAK
3. WALTZ
4. 35
5. □BAN
6. Dan-dan


T MARCH




【音楽アルバム紹介】リンガ・フランカ-1 昭和大赦(1983) - EP-4

2024-07-05 15:36:52 | ・1980年代(邦楽)
日本のニューウェイヴバンド、EP-4のスタジオアルバム。

EP-4は京都市内にあったニューウェイヴ系ディスコ「クラブ・モダーン」に集まっていた佐藤薫を中心に結成されたバンド。

EP-4は販売戦略が独特であり、アルバムの発売日に「EP-4 5・21」とだけ書かれた6万枚のステッカーを街中の至る場所にゲリラ的に貼ったため、テロの予告や集会かと誤解され注目を集めたという過去があります。

サウンドはインダストリアルでクールなファンクが全編を占め、反復されるビートとサンプリングが独特の高揚感を生み出しています。
その独特の無機質さと冷たさはスライ&ザ・ファミリー・ストーンの問題作『There's a Riot Goin' On(邦題:暴動)』を彷彿とさせるかのよう。

ハイライトは不穏な鐘の音から始まる「ロボフッド・プロセス」、ファンキーな「ザ・フランプ・ジャンプ」、カッティングギターで始まる「シミラー」、ココのサンプリングが繰り返される狂気的な「ココナッツ」など。
怪しい香りが漂うけど、高い音楽性から繰り出されるカッコいい曲が多数あり満足度は極めて高いです。

ジャケットは『予備校生金属バット両親殺人事件』が起きた家の写真であり、今だったら許されないようなアングラ要素が強いものになっています。

【トラックリスト】
1. ロボフッド・プロセス
2. ザ・フランプ・ジャンプ
3. シミラー
4. ココナッツ
5. E・パワー
6. トーキン・トラッシュ
7. ブロークン・バイサクル
8. タイド・ゲージ


ココナッツ



Coco
1984年に発売された『リンガ・フランカ-X 昭和崩御』収録のバージョン。