断ったら面白かったんだけども。岸田総理が来日中のティム・クック氏と官邸で面会し、iPhoneのセキュアエレメントをマイナカード向けに開放してもらえる様に要請し、前向きな返事を頂けた様である。根回し無しのぶっつけ本番だったらその男気を褒め称えたい所だが、流石にこれ以上メンツを潰される訳にもいかないので、入念な下準備をした上でのお披露目だろう。シェアの過半を占めるiPhoneで使えなければ計画倒れになり兼ねなかった案件だけに、官庁の関係者各位も胸を撫で下ろしたに違いない。国家の政策がグローバルテック企業に翻弄されるのは見ていて何だかな～と云う思いもあるが、殖産興業の時代ならばともかく、両者が利益相反の緊張関係に有るのは悪い事ではない。現状は蹂躙され放題にも思えるが、見なかった事にしたい。経済力が国力とニアリーイコールである現代、自らの安全保障を国家ではなく企業に委ねたいと考える人が増えても不思議では無いのである。
