【飛んでった】
飛んでった。
飛んでった。
*=*=*=*=*
素敵な連休を、お過ごしください。
今日もいい日でありますように。
【飛んでった】
飛んでった。
飛んでった。
*=*=*=*=*
素敵な連休を、お過ごしください。
今日もいい日でありますように。
【ああ、おにぎりむすめ】
「今日の、しょっぱいな。
ふりかけの混ざり具合にもムラがあるよ。」
葉桜をあちこちで見るようになり
平日お昼の時間を過ぎた頃、
都心のターミナル駅
下り電車を待つホームに
おにぎりをかぶりつくうつろな目。
片方の手にはスマホを握りしめ、
おにぎりむすめはおりました。
「今日のシューカツはこれで終了。
さっきの二次面接は今までの中でもアウェイ感キツかった~。
あ~もう、お腹が空いた。ねむい。つかれたよ~。
いいや、今食べちゃお。下りの電車、空いてるし。
で、食べ終わったら寝ちゃおう。
シューカツ掲示板のチェックはそのあとで。」
実家の仕送りとバイトで暮らす大学生活。
おにぎりは、いつでもどこでもササッと食べられて
腹もちがイイ。
自分で握れば食費もおさえられる。
ご飯は実家から送られた故郷のお米を炊いて、
ふりかけは暮らしている街の
100均やスーパーの特売で買い集めたものを
日替わりで混ぜてこしらえるのです。
この生活も4年目、シューカツで幕を開けました。
状況はまずまず。
あさって1社、ついに最終面接。
徐々に面接も通るようになってきました。
思うようにならないことは、
おにぎりのご飯の粒みたいにいっぱいあります。
おにぎりの味を覚えていない日もあります。
けれどもいいことだって実は
おにぎりのご飯の粒ほど、ありますよ。
ああ、おにぎりむすめ。
しょっぱくもあり
ご飯の甘みもある
今日みたいなおにぎりでも
味わい、かみしめて
明日は明日のおにぎりを握ってね。
おにぎりを包むラップフィルム、ひらひら。
春の暖かい風をごちそうします。
すぐに眠れるように。
(2014年4月18日の「きょう」)
*=*=*=*=*
今月に入り、実際に見た
就職活動をしている女子学生の光景です。
私が乗車していた電車が終点に到着し、ドアが開くと
ホーム最前列に彼女が疲れ切った様子で立っていました。
もそもそおにぎりを食しながら、スマホをしっかり握りしめて。
路上を歩きながら、かじっている女性も
何人か見かけました。
たまたまかもしれませんが、
のりを巻かず、ラップフィルムで包んである
手作りのおにぎりのことが多かったです。
お行儀やふるまいの善悪はどこかに置いておくことにして
おにぎりを通して彼女たちの事情に
想いを馳せてみました。
視点を変えてみると、彼女たちに
たくましさと、頼もしさを感じます。
黒い髪、黒いスーツ、黒いバッグ、黒いパンプス。
今回は象徴として、モノクロで仕上げました。
初々しい気持ちをいつまでも。
今日もいい日でありますように。
【2014年4月6日の「きょう」・開いて咲く】
教会の玄関ホールにある
木製で、背もたれと座面が紅い布張りの長椅子。
草木のようにたたずんでいる。
腰をおろすと礼拝堂が目の前に現れる。
長椅子には、主張はない。
気の利いた言葉を語りかけるのでもない。
誰にも等しく
自らを開いて
どのような時も、どのような感情も
無条件で受け入れる。
何も見返りを求めない。
追いかけもしない。
休息。心の準備。
いつものこと。特別のこと。
ひとりでも、誰かとでも
訪れる人びとの
大切な時間に立ち会い、寄り添う。
この場所で静かに役目を果たし続けている。
それがこの長椅子の咲かせた花なんです。きっと。
*=*=*=*=*
旅先では、教会や寺社を訪れます。
目に見えるものの美しさを鑑賞することもありますが、
何より心がゆすがれて、安らかに納まります。
この長椅子はあるカトリックの教会で
出会ったものの一つです。
長い間人びとに使われ、丁寧に手入れをされてきた
まろやかさが味わい深いものでした。
溶け込むように自然にそこにありながら、
確かな存在が感じられる。
簡素で清らかな長椅子をひとつ
胸の中に携えておきたいと思いました。
今日もいい日でありますように。
【生まれたんだね、ぼくは。】
生まれたんだね、ぼくは。
芽が出て、花が咲くころに
池のほとりで。
海を見に行ったんだよね。
砂の上はくすぐったいよ。
まぶしいね。おもしろいね。
風に乗せてもらって
行けるところまで行ってみるよ。
おろしてもらったのは
女のひとのほっぺたの上だったんだね。
おけしょうがにじんで流れているよ。
なみだというもののしわざらしい。
まざりあう、なみだとぼく。
生まれた場所、見てきた海を思い出す。
ひとのかおって、たいらなところがないんだ。
ひたすら歩くよ。
ぼくの歩いたあと。
ぼくのリズム。ぼくのメロディー。
なみだがかわいてゆくよ。
「なんだか、かおがくすぐったい」
と女のひとの声がきこえた。
ほっぺたがにやっともり上がったんだよね。
もう大丈夫だね。
今度は自分で飛んでみたんだよね。
花の上で、のろのろひなたぼっこ。
次はどこへ?
雨あがりの道の上だね。
落ちてぬれた花びら。にじむぼくのこころ。
でも行くよ。次のところへ。
新しいうたをうたうために。
生まれたんだもの、ぼくは。
*=*=*=*=*
4月に入りました。
お元気でお過ごしでしょうか。
絵日記の中で、時々即興的に作る
水彩のにじみの作品をいくつかつなげて、
春の気分、自然や生き物、人の心の
いろいろな「うるおい」を想い、つくりました。
ちょっと花冷えしていますね。
暖かくして、桜を見てこようと思います。
今日もいい日でありますように。