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And This Is Not Elf Land

日本版主要キャスト決定



ジャン・バルジャン・コンビに期待

2週間前、来年シアタークリエで上演される日本版ジャージー・ボーイズの主要キャストが発表されました。

ツイッターなどでもかなりの話題になっていまして…来年の国内ミュージカル最大の注目作のひとつとなるんでしょうね。ほんの1年前までは殆どの人が知らなかったミュージカルがここまで話題になるとは…やはり感無量であります。




それでなんですが…フォー・シーズンズのメンバーを演じるキャストが発表されましても


わたくし
この方々
どなたも存じ上げません(汗)


あっ、フランキー役の中川さんについては、一足先に決まっていた人なので、私なりにいろいろリサーチしていました。しかし、あとの6人の方…見事に、どなたも知りません。それでも、現在の日本を代表する人たちが揃っているんだろうな~ということは、皆様の反応からも容易に推察できます。

私は地方に住んでいるせいもありまして、国内のミュージカル事情についてはまったく知らなくて。とにかく、この件に関しては、あくまでもブロードウェイの「ジャージー・ボーイズ」で作品の大ファンとなった者の立場から語ることしかできませんが、それでも、今回の日本版上演はいろんな面で楽しみです。


で、まず…
アメリカ、イギリスなど海外のジャージー・ボーイズに馴染んでおられる方なら皆「?」と感じられたと思うのですが、トミー、ボブ、ニックがダブルキャストになっているのが驚きでした。

向こうでは、負担の大きいフランキー役こそダブルキャストになっていますが、他の3人がダブルというのは非常に珍しい。来日公演を観られた方はお分かりかと思いますが、フランキー役というのは特に第2幕は出ずっぱり。歌も、ファルセットで歌うものから力強いロック調の歌唱まで、さまざまなテクニックを駆使して歌うことが要求される…とにかく、フランキー役というのは数あるミュージカルの中でも最も過酷な役の一つとも言えるでしょう。

海外のカンパニーでは、基本、週6回出演する人、週2回昼公演に出演する人の2人のフランキー役を置いていまして、さらにはジョー・ペシ役の人がフランキーをやることもありますし、スウィングにもフランキーができる人がいます。つまり、一つのカンパニーにはフランキー役ができる人が4人いるわけです。

シアタークリエの上演スケジュールはどのようになるのかは分かりませんが、基本的には中川さん一人でこなすというのであれば、くれぐれも喉に負担がかからないように~と願わずにはいられません。

それでもって、別にダブルキャストにしなくてもやっていけそうな3人がなんでダブルキャストなのか(笑)まぁ、これについては、ネット上の反応を見ておりますと、さっそくファンの皆さんの間では「どの組み合わせで観たい?」なんて話題になっているくらいですから、やはり「いろんな俳優さんのファンに見ていただきたい」ということなのでしょうか?

それならフランキーもダブルにできなかったのか?と考えるわけですが、中川さんの実力、人気、ミュージカル界におけるポジションなどから見ても、中川さんと同列に並べられる人はいなかった…ってことでいいんでしょうかね?(笑)


日本版のトミー、ボブ、ニックの中で、私が最も注目しているのがニック役の二人です。発表されている写真を見てもお二人の存在感が際立っていますね…と思ったら、お二人とも「レミゼラブル」のジャン・バルジャンをやっていた人とか(そんなことも知らないで、ホントにスイマセン)そりゃ、存在感あるわな!

このジャン・バルジャン・コンビが「他の3人よりも年上に見える」という声もありましたが、実際のフォー・シーズンズもニック・マッシが一番年上だったので、これは事実に近い設定ということになります。

しかし、それにしても…「4人の中のリンゴ」という舞台の台詞が映画でもそのまま使われて、そのキャラクターが知られるようになったニック役に「ジャン・バルジャン経験者」を持ってくるというのは、海外のカンパニーでもありませんでした。これは、私的には「胸躍る」キャスティングです。

「ジャージー・ボーイズ」のなかのニック役についてはこのブログの中でもこだわって書き続けていますが、やはり私はこの役はドラマのネックだと思っています。ほんの僅かの違いで、輝かしい世界へたどり着くことができなかった人…まさに「ああ無情」、観ている人がもっとも共感できる人物のはずなんですよ。日本人にアピールする役でもあろう、とずっと思ってきました。

映画の中では非常に容姿端麗で好感度の高いマイケル・ロメンダが演じましたが、(その話はここに)そのスクリーン映えのよい姿は眼福ではありましたが、私にはベストなキャスティングとは思えませんでした。…っていうか、映画版はニックの登場場面が舞台とは変わっていたりとか、あんまりこの役を大切にしてない感じがしました。それでも、日本では「ニックが一番印象に残った」という声はたくさんありましたよね。

この役は、本当は、もっと一筋縄ではいかない役のはずなのです。ブロードウェイ・オリジナルのニック役だったJ・ロバート・スペンサーは、物静かな人物に見えるんだけど「目が笑っていない」という、どことなく謎めいたダークな人物像を見事に作り上げました。私のお気に入りはシカゴにいたマイケル・インガーソルですが、マイケルが演じたのはJ・ロバート・スペンサーよりもさらにエグい凄みのあるニックでした。

ところが(ここからが大事!)、現ブロードウェイのニック役マット・ボガートは完全にコメディーにしてしまっていて、最初に彼のニックを観たときのショックは今も忘れません(!)向こうでも、熱心なファンの人は彼の演技に批判的でした。

しっかし彼、6年たった今もこの役に居座り続けていましてね…それも、私が観に行くたびにマットへの拍手が大きくなっているような気がするのは気のせい(?)で、先日の松原千秋さん母娘がニューヨークから「ジャージー・ボーイズ」を紹介していた番組でも、松原さんが終演後、劇場から出てくるなり「ニックさん、可笑しかったぁ~」と笑い転げておられるじゃありませんか…もの凄い絶望感に襲われてしまいました(ニックはそんな役じゃないんだってば!)その後も、最近ブロードウェイで「ジャージー・ボーイズ」をご覧になった方からは「マットは、そのコメディー的な演技にますます磨きがかかってきて、完成度が高くなってきている」というレポもありまして、私はもう倒れそうです!

とにかく、今のブロードウェイのマットの演技が、恐ろしいことに、ニック役のモデルとして定着しつつあるようで、もうこれは悪夢というしかありません。

来日公演(北米ツアー・キャスト)のニックであるキース・ハインズも、最初はそんな感じでもなかったんですが、それでも次第にコメディー色が濃くなってきまして「あ~、やっぱダメか!」って感じでしたね~(もっとも、日本では、言葉の壁があって観客の反応も弱いし、どうしても大袈裟な演技になっていったんだろうと思う)(キース君は少し擁護しとく)

アメリカ人には、この役を深めるのは無理なんじゃないか…どうしたってコミック・リリーフにしてしまうし…と半ばあきらめていた私には、日本版キャストのニック役として、ジャン・バルジャン役として有名な役者さんを起用するという知らせは、一筋の光明が射したようなもの!まさか、これだけ存在感のあるベテランさんたちをコミック・リリーフにしませんよね(笑)光と闇、希望と絶望、愛と憎しみ…深い世界を見せてくださるものと期待せずにはいられません。

引き続き情報を待ちたいと思います。

コメント一覧

Elaine's
ケイトさま、コメントありがとうございます。

もう日本版も大詰めになりましたね!

私は7日の夜のショーを見ましたが、大変素晴らしい出来でした。この作品は、ぜひ日本で、日本語でやってほしい。歌だけでなく、ドラマの面白さも使わってほしい~と思い続けていたので、みながら自然に涙が…(笑)という~

少しずつ感想の記事あげますね。よろしくお願いします~
ケイト
ヴァリ役
elaineさま

初めまして、映画でしかジャージーボーイズを知らなかった者ですが、観劇好きでして
キャストも全員知っていましたし
この作品はかなり
期待して待っておりました。

比較的都心に住んでいることもあり
白4回赤3回のチケットを取り
既に各2回ずつ観ました。
中川さんがヴァリ役を演ずるに当たっては
ボブゴーディオさん自身の厳しい選考があり
中川さんも相当数の曲のデモを送ったそうです。
他の方が候補になっていたかについては不明です。

が、ヴァリ役に付いては他のキャストの方々もいろいろ
議論を重ねていらっしゃいまして
赤トミー役の藤岡くんは自分でも歌ってみたけれど
違うと思った、ニック役吉原さんも
あっきー(中川)しかいないのではと
プログラムの座談会で語っていらっしゃいました。
また赤チームのアフタートークショーでは
冗談交じりなのでしょうけれど
森山直太朗さんに決まったとかという
記述も目にしました。
来日版の公演を観たという舞台仲間の友人は
日本版は全然良くなかったと言っていましたが
私は藤田さんの演出も含めて
かなり楽しく観ています。
そして日比谷は盛り上がっています。
Elaine's
nicoleさま、はじめまして!コメントありがとうございます。

青木さんはあれだけ多様な声が出せるというのは、やはり喉がお強いのではないかと思います。ミュージカルの舞台をこなすには、やはり壊れない喉を持っているというのが重要な条件ですよね。

「ジャージー・ボーイズ」は日本人の感性に合う作品だと思うので、関係者も並々ならぬ情熱を持って取り組んでいらっしゃると思います。どういう仕上がりになるのか本当に楽しみです。

これからもよろしくお願いします。
nicole
青木隆治さんがいい
はじめまして。

フランキー役、美空ひばりさんの歌まねで有名な青木隆治さんがいいのに、とひそかに思っています。小柄だし、フランキーのような多様な歌い方ができるのではないでしょうか。

あと、ロングランだとコメディー路線になりやすいというのも同意見です。

「Dance of the Vampires」に出演した市村正親さんがヘンな動きで客席を笑わせているのを見て、「こんな動きなんかしなくたって、この役は十分面白いのに」とドン底感を味わい、怒りがこみ上げました。

ウィーンでの初演の頃から「Dance of the Vampires」を見続けているので、小手先の手段で笑わせようと演じられているのが悔しくてなりませんでした。

Jersey Boysの日本人キャストはこんなふうにならないといいですね。
elaine's
なるほど!ロングランになるとコメディーに走りやすくなるというご指摘、さすがに熱心なブロードウェイ・ウォッチャーでいらっしゃるheather様ならではの視点で説得力があります。確かに、リピーター率が高くなると「お約束」を期待する空気も起きますよね。

国内のミュージカルを観る機会は殆ど無いのですが、来年のクリエのライナップを観ると、off BWで話題になった「ドッグファイト」も上演されたりなど、ディズニーなどの大作、話題作をそのまま日本へ…というのとは違ってきているのかな?と感じています。

今からニューヨークへ行ってきます。弾丸ですが、ジャージーボーイズの10周年をお祝いしてきます(*^-^*)
heather
ご無沙汰しております。
私も翻訳公演に出演される俳優さんを存じ上げないのですが、同じくフランキーを一人でやることに驚きました。よっぽど喉の強い方なのか、期間限定公演だからalternateを置かなくてもいける、という判断なのか...。だいぶハードそうですが、ほんとに喉を傷めずに最後までいけますように、と思いますよね。

それと、ロングランになるとなぜか最初の頃はやっていなかったコメディ要素が強くなる傾向にありますよね。そんな人物じゃない!!とか、そんな小手先な笑いに走らなくても十分に面白いのに!!とやきもきすることが多々あります。今回のニック役がElaine'sさまを唸らせる素晴らしいニック像を作ってくれた!!と感激レポートが読めることを楽しみにしています。
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