首都ルサカの中心部から南に5kmほど行くと、
チャワマという大きなコンパウンド(貧困者地域)がある。
そこに住んでいるのが、
「チャンジャナニ」というドラマグループを率いるムワコイ(35歳)。
3年前に奥さんを病気で亡くして、いまは2人の子どもを養っている。
ポップコーン売りなど水商売でなんとか生計を立てながら、
空いた時間でそのドラマグループの活動のために頑張っている。
それ以外にもサッカーチームを率いていて、
僕も一度見学させてもらったことがある。
また夜は学生として勉強している一面もある。
昔、JICA関係者と一緒に活動がしたこともあって、
日本人に分かりやすい英語で話してくれる。
(ザンビア人の英語は訛りがあってほんと分かり辛い!)
日本人の性格をよく理解してくれている面も含めて、
僕は彼に好感を寄せている。
そのムワコイが、いま活動資金を得るために、
IGA(Income generation Activity)に取り組もうとしている。
彼が新しいビジネスとして目をつけているのが、
セメントを使ったブロックづくりだ。
ルサカはセメント業が盛んで、
町のいたるところで袋詰めにされたセメントが売られているのをよく見かける。
それを使って、建設に用いるブロックをつくるのだ。
確かに、
いまルサカは建設ラッシュでブロックの需要はきっとあるだろう。
ひとつの家をつくるのにブロックを200~250個は使うらしい。
ひとつのブロックの相場は3000クワッチャ(約100円)だから、
いい商売になるというのが彼の考えだ。
ブロックのつくり方も知っているし、
活動メンバーが空いた時間にそのブロックづくりの作業をすると言う。
なんだか、うまくいきそうな感じもするのだが、
ひとつだけ大きな問題があってそのプランはストップしている。
その問題とは、ブロックマシーンをどうやって手に入れるかだ。
彼の話では4,000,000クワッチャ(約14万円)で手に入れられると言うのだが、
実際にザンビア大学で価格をチェックしてみると、
その約3倍の11,000,000クワッチャ(約40万円)もするのが判明。
そもそも、そんな大金をどうやって用意するのか?
最後はどうしても寄付の話になってしまう。
ここザンビアでは何か新しいことを始めようとするとき、
そのイニシャルコストを考えるとどうしても寄付に頼らざるを得ない。
どんなに良いビジネスプランでも最後はお金だ。
ザンビア人もいろんなアイデアを出して、
自分たちでお金を生み出すしくみを考えようとしている。
印刷業やネットカフェなどのプランはよく聞く。
でも、お金がないからできない。
そんな声を今まで僕は何人もの人から聞いてきた。
それらの声に対する答えは、まだ僕にはない。
一生懸命何とかしようと考えるムワコイという男と、
僕はその答えをこれからも考えていきたい。