経営学者の野田一夫は孫正義成功の秘密は下記の5点だとを実に的確に表している。まっかっか、ぼろぼろの逆風の今だが「悪運に翻弄されず、屈しない」だろう。常々感じていた思いと一致するのでメモしておく。
笑顔
時に会えばいまだ僕は彼を、自然に「孫ちゃん」と呼びかけてしまう。その孫君が、赤坂の僕のオフィスを突然訪ねてきたのは、孫君が九州で創業して間もなく、東京に出てきた1981年、つまり、孫君がいまだ20歳そこそこの頃だった。小柄で、今も変わらぬ「じつに人懐こい」笑顔を見せる好青年だったから、僕は今も鮮明に覚えている(笑)。
『志』と『夢』の違い
僕は彼らに、「君たちは『志』と『夢』の違いが分かるか」と問いかけ、そしてさらに、「夢は、クルマを買いたい、家を持ちたいといった快い願望だが、志は未来への真剣な挑戦だ。『志』と『夢』では次元が違う。『夢』を追うような男にはなるな!『高い志』を追いつづける人間になれ」など、と言ったという。
運がいい
世間では、「成功者はみんな運がいい。失敗者はみんな運が悪い」と言う。たしかにそうだろうが、むしろ、「成功者はみんな、幸運に身を任せず、甘えず、悪運に翻弄されず、屈しない」という一言も、付け加えなくてはならない。
孫君は、創業から間もなく慢性肝炎になって社長職を辞し、復帰するまで3年ほどかかったが、この間彼は、自らがめざすべき事業のあり方を徹底的に内省したと言う。
謙虚
孫君は、国際ビジネスの世界で他を圧するほどの威風堂々という体格の持ち主ではないし、風采だって小柄だし、とくに良いわけではないだろう。だが、大事なのはあれだけの実績を出し続けているにもかかわらず、謙虚であり続けてきたことだ。
こんな姿は決して戦略的に見せているのではない。彼の本質的なキャラクターなのだ。それこそが孫君の最大の秘密と思うのだ。
日本大好き
たとえば孫君は、よく知られるように在日韓国人として、若い頃はたいへんな苦労をしたという。その彼がアメリカの大学を卒業してから、わざわざ日本へ戻り、日本で起業した。なぜシリコンバレーではなく日本なのかと問うと、彼は目をキラキラさせて「僕は日本が好きですから」と言うのである。