猫をなでる男
『結局衛門督は望みどおりに女三の宮の猫を得ることができて、夜などもそばへ寝させた。夜が明けると猫を愛撫するのに時を費やす衛門督であった。
人馴つきの悪い猫も衛門督にはよく馴れて、どうかすると着物の裾へまつわりに来たり、身体をこの人に寄せて眠りに来たりするようになって、衛門督はこの猫を心からかわいがるようになった。
物思いをしながら顔をながめ入っている横で、にょうにょうとかわいい声で鳴くのを撫でながら、愛におごる小さき者よと衛門督はほほえまれた。』
愛におごる小さき者よ。
猫と男の関係。まつわりに来たり、身体をこの人に寄せて眠りに来たり・・・当たり前だが、同じだ。
女に近づくに猫を落とす柏木。源氏の留守に女三宮に思いを遂げ、女三宮は薫を身ごもり、源氏に皮肉を言われた柏木は恐怖のあまり死の床につく。
秋を浄むるすずむし
『すずむしは釈迦牟尼仏のおん弟子の君のためにと秋を浄むる(晶子)』
秋を浄むるがいい。
そういえばなぜかバリでは虫が鳴かない。なぜだろう。
かすかな香と富士の煙
『女房たちが煽ぎ散らしているそばへ院はお寄りになって、
「空だきというものは、どこで焚いているかわからないほうが感じのいいものだよ。富士の山頂よりももっとひどく煙の立っているのなどはよろしくない。
説教の間は物音をさせずに静かに細かく話を聞かなければならないものだから、無遠慮に衣擦れや起ち居の音はなるべくたてぬようにするがいい」』
富士の山頂よりももっとひどく煙の立っている・・・この当時、富士山は常時煙を出していたのだ。
松虫は人の庭ではよく鳴かない
『院のお言葉のように、多くの虫が鳴きたてているのであったが、その時に新しく鳴き出した鈴虫の声がことにはなやかに聞かれた。
「秋鳴く虫には皆それぞれ別なよさがあっても、その中で松虫が最もすぐれているとお言いになって、中宮が遠くの野原へまで捜しにおやりになってお放ちになりましたが、それだけの効果はないようですよ。
なぜと言えば、持って来ても長くは野にいた調子には鳴いていないのですからね。名は松虫だが命の短い虫なのでしょう。人が聞かない奥山とか、遠い野の松原とかいう所では思うぞんぶんに鳴いていて、人の庭ではよく鳴かない意地悪なところのある虫だとも言えますね。鈴虫はそんなことがなくて愛嬌のある虫だからかわいく思われますよ」』
鈴虫は飼ったことがあるが、松虫は知らない。確かに鈴虫はよくなく。名は松虫だが命の短い虫?
風は巌も動かす
『風は巌も動かすという言葉に真理がある』
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