愛の詩集

あなたに元気を与える愛の言葉、愛の心、生きる希望、今何かで困っている方へ心に響くメッセージ

ありさんと大きなクリの木②  (小さな絵本)

2007-07-05 19:21:18 | 小さな絵本 (物語)


ありさんは、今日も大きなクリの木さんの所へ来ていました。
あれ以来(前回①をみるとわかります)、
ありさんは、何かあるとここへきて
大きなクリの木さんとお話しをするようになったのです。


「大きなクリの木さん、大きなクリの木さん 聞いて下さい」


「きょうはどうした?いつもになく神妙な顔をして」


「どうして、ぼくのパパは、ぼくのことをからかうのでしょう」
ふだん勉強しろとか、男だから身体をきたえて丈夫にならないと
だめだとか言って、いろいろぼくのことを心配そうにいうくせに
きのうはひどいんだ。
ぼくのもっとも苦手なクモを、ぼくの知らないうちに2匹も
かばんの中に入れたんだ。
ぼくは、飛びあがってギャーと逃げ回ったんだ。
ぼくが死ぬほど嫌いなのを知っていてやるんだ・・・
まだあるよ。
ぼくは、こわい話が嫌いなのを知っていて、わざとこんなことを言うんだ。
夜、トイレに行こうとするたびに、トイレの鏡にお化けが写っているとか
言っておどかすんだ。
ぼくは、おしっこがもれそうになっても、
パパはニヤニヤして笑うんだ。
ほかの兄妹にはしないのに ぼくにだけ。
こんなことばかりするから、パパのこと好きになれないんだよ。
そのくせパパは、逃げまわるぼくを思いっきり抱きよせたりして、
大きな声を出して笑ったり・・・
ぜんぜん嬉しくないし、おもしろくもない・・・
ぼく、いやなんだ。そんなふうにからかうパパがいやなんだ・・・」


「キミは大変だね。
キミのパパは、そんなふうにからかうことでしか、キミを愛せないんだね。
キミのパパは、まだきみがこんなに嫌がっているのを知らないんだよ。
キミのことを軽く見ているんだよ。
キミがこんなにキズついているのを知らないんだよ。
ある意味、子どもより悪い。
キミなら、最もいやがることを相手にここまでしないだろう。
キミのパパに早く気づいてもらいたいね・・・
それでも、
キミのパパは、誰よりもキミを愛しているということを忘れないで。
キミのパパは、キミのことを可愛くてしょうがないんだよ。
私はいつも、キミの見方だよ。
これからも何でも話してみるといいよ。
キミは悩んでいる分、誰よりもたくましいアリになれるんだよ。
いつも私がここで見守っているよ。」



「ありがとうございます。大きなクリの木さん
ぼく、少し元気が出てきたよ。
ぼく、パパを信じるよ。
パパ、たまにぼくを、ほめてくれるものね」
    ・・・ by masako


※親は子を鍛えるつもりで言っていることが、子の中では大変キズついて
 いることがたくさんあります。からかうという行為は、自分より弱いものを
 いじめ、それによる快感を覚え自分自身を楽しむという本人のエゴに
 ほかならないのです。親はこのことを気づかなければならない。



今日も読んでくれてありがとう。
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