シッポ振ってられるかよ!

イラストレーター&デザイナー
マサキ・キャンベル公式(?)ブログ
日常の妄想と焦燥と衝動をあなたもどうぞ

コーヒーねーたん その5

2005年05月28日 | 焦燥&妄想事情
彼女と出会って早二ヶ月。
でも、もう彼女を追いかけるのはヤメにする。

今日の午後、駅前の本屋に行った。
何気なく向けた視線の先に、見慣れた女性の姿。
「あ、コーヒーねーたん……」
あの愛嬌のあるロリ顔と推定Fカップの巨乳はまぎれもなく彼女。
彼女はインテリア雑誌コーナーで立ち読みしてる。

びっくりしてその場で金縛り状態。
そりゃそうだ、夢の中とパチンコ屋以外で、しかも本屋で遭遇するなんて。
が、固まってはいても目だけは彼女を見つめ続けた。
ああ、やっぱりカワイイ。
夢の中では裏原系だっだが、現実の私服も裏原系、似合ってる。
しばらく見つめた後、意を決して声をかけてみることにした。
パチンコ屋では他の店員が気になって声をかけられなかったが、ここは本屋、怖いおにーさんの目を気にすることもない。
それに一応知り合いだし(パチンコ屋の店員と客の仲だが)、声をかけても決してナンパではないのだから(たぶん)、本屋の店員にマークされることはなかろう。
妄想狂いの日々に終止符を打つ。活路を開くのだ。
早速彼女のいるコーナーに足を向けた。

俺様は彼女の隣に立った。
……ああ、やっぱり緊張して声をかけられない。なんて意気地なしの俺。
とりあえず雑誌を読んで、彼女が気付くまで待つことにした。
毎回毎回ミルク多めのコーヒー頼んでる客が隣で立ち読みしてれば、いずれ気付くだろう。
それに彼女自身、俺様の注文が『ミルク多め』だと言うことを知っている。最近では何も言わなくてもコーヒーミルク多めで持ってくる。これは大きな強みだ。
首にネギ巻いていつもやってくる常連客が、場所が本屋でも隣にいれば気付かないはずがない……。


と、思ったのだが、しばらくたっても彼女は気付かない。アレ?
咳払いしたり無造作に雑誌を置いてみたりと、俺様の存在をアピールしたのだが一向に気付かない。夢中でインテリア雑誌読んでる……。
「あかん、これじゃ一生気付かれないかも」
焦燥は時として行動力を引き出してくれるもので、今まで声もかけられずウジウジしてた自分が嘘のよう、彼女が気付くのを待ちきれずに俺様は声をかけた。

俺様「あのう……。」
彼女「……?」



な、なんだこの反応の無さは。
断腸の思いで声かけたのに。ガックシ。
しかも目の前に常連客(俺様)がいるってのに気付かない、もしかして天然不思議ちゃんかこのコは。
仕方ない、もう一度。

俺様「あのう……。」
彼女「はっ?」






お、おかしい。
もしかして俺様のこと、覚えてないのか?

俺様「ボクのこと、わかりません?」
彼女「ど、どちら様ですか?」




……まったく覚えてないみたい(泣)。
そのまま何も言わず本屋から出てきた。
しょせん店員と客、毎回コーヒー注文する常連でも他人、店を出ても他人。とは言ってもサービス業なんだから常連客の顔ぐらいは覚えるでしょと思うのだが、ホントに覚えてないとは恐れ入った。

今までバカの一つ覚えみたくミルク多めのコーヒー頼んでた俺様は何だったのだろう。
彼女に顔を覚えてもらおうとミルク多めのコーヒー頼んでた俺様は何だったのだろう。

家に帰ってショックで寝込み……とはいかなかった。
むしろ、清々しい気分だ。
ベランダに出て、初夏の風を胸いっぱいに吸い込んでみた。
もうすぐ暑い夏がやってくる、か……。

彼女と出会って二ヶ月。
王子様のキスで眠りから目覚めた白雪姫のようだ。
俺様の場合、王子様のキスではなくコーヒーねーちゃんの暴言だったが。

さて、今度はいつ誰に『毒リンゴ』を食わされるのか、楽しみだ。

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コーヒーねーたん その4

2005年05月13日 | 焦燥&妄想事情
今日もまたパチンコ屋に行き、彼女にコーヒーを注文した。
いつもと変わらない風景。が、今日はちょっと違った。
コーヒー注文の後、彼女が話かけてきたのだ。
「今日の夜、時間あります? ヒマならちょっと付き合ってらいたいんですけど……」
と。


……ションベン漏らしそうになった。
想像もしなかった。彼女から誘ってくるなんて。
「も、も、も、もちろんヒマです空いてます」
少々、いやかなりどもりながらもOKした。
「じゃあ6時に店裏の駐輪場で待っててください」
彼女はそう言って去って行った。

今日はなんて素晴らしい日なんだ。このまま昇天してもいいくらい。
おっと、死んだらそれまで、この予想外の展開を逃してなるものか。
彼女と仲良くなれる、最初で最後のチャンス!
……しかし、浮かれ気分と同時に彼女の微妙な変化に気付いた。
そう、今日の彼女は何か違う。
目元がなんとなく暗く感じ。いつものあのロリスマイルではなかった。
彼女に何かあったのか……ちょっと心配である。

約束どおり、6時前に店裏の駐輪場で待ってた。
彼女は4分遅れて店から出てきた。
「ごめんなさい、待ちましたか?」
私服の彼女を見るのは初めて。裏原系ファッションがロリ顔とマッチしててカワイイ。
「とりあえず、飲みにでも行きましょうか」
彼女はそう言って、自分の自転車にまたがった。チャリ通勤らしい。てことは近所に住んでるのか? 居酒屋に着き、最初にそのことを聞いてみた。
「この辺にアパート借りてます」
一人暮らしらしい。しかもウチの近所。とても親近感がわく。
注文した生中がきたのでとりあえず乾杯した。いつも営業スマイルしか見てないせいか、うまそうにビールを飲む彼女がやたら可愛く見える。
とりあえず自己紹介やら世間話やら、当たり障りのない話をした。
コーヒーの売り子以外の彼女を知ることができてうれしい。
でもやっぱり、パチンコ屋で見せた彼女のあの「暗い影」が気になって仕方ない。でも俺から切り出すのも失礼だし。
そんなことを思いながらビールを飲んでたら、やがて彼女から切り出してきた。

……そこから小一時間、彼女の話を聞いた。彼女は最後は鼻声だった。
詳しくは書かないが、要は彼女のラブアフェア。元彼(現時点では別れてるらしいから)の愚痴を延々聞かされた。そうとうストレス溜まってたみたい。
普段は他人の恋愛事情など気にもとめない俺様だが、惚れた彼女の悩みなら進んで聞きます聞かせてくださいってな感じで真剣に愚痴を聞いた。
話を終えた彼女はすっきりしたらしく満足した顔をしてた。
「ごめんなさい、つまらない話で」
と言って笑った。いつもの彼女の笑顔だ。そうそう、その笑顔だよ。いつもその笑顔で癒されるんだ、と俺様は言った。彼女は営業スマイルとは違う、とびっきりの笑顔をした。
「でも俺じゃなくても愚痴を聞いてくれる人はいるでしょう?」と、何気なく今日誘った理由を聞いたら、彼女は「やさしく聞いてくれそうだったから……」と、顔を赤らめながら返してきた。
ああ、なんて幸せなんだ俺様は。
「今日はトコトン飲もうか」
「飲もう飲もう!」
酒が入ってるせいか、彼女は大胆になってきた。
「どうせなら、私の部屋で飲みませんか?」
ま、マジっすか~!? 酔いがいっぺんに醒めた。

それから一時間後、俺様はいま、彼女の部屋にいる。
彼女はいまシャワーを浴びてる。俺様はさっき浴びたところ。
やっと『店員と客の仲』の関係を打開したと思ったら、もうこんな展開に。
はやい、はやいよスレッガーさん!
彼女がでてきた……どうする俺。
彼女は無言でベットに潜り込んだ……どうするよ俺。
もういい、どうにでもなれ。本能に身をゆだねるのもいいさ。
欲望に溺れて、それから考えよう。
ベットに入り、瞳が重なった。地球上のどの生物よりも彼女は美しい。
その可憐で潤んだ唇をそっと重ねて……











……ここで目が覚めた。
ずいぶん長い夢だった。
今日はとんでもない夢を見てしまった。これも日頃の妄想のおかげか?

目が覚めて、ふと思った。
「もしかして、これは正夢!?」
早速着替えてパチンコ屋に向かう。
彼女がやってきた。夢での展開を思い出し、期待で胸が膨らむ。
「コーヒー、ミルク多めですね?」
……その後、夢ではその後にセリフが……あれ!?
俺様「あのう……」
彼女「は?」



……会話終了。
期待した俺様がバカだった。
儚い初夏の夢だった。新緑が眩しすぎるぜ……OTZ。

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コーヒーねーたん その3

2005年05月06日 | 焦燥&妄想事情
パチンコ屋に通い始めて早2ヶ月。
この2ヶ月の間、彼女のことでわかったことといえば勤務時間ぐらい。
平日は朝10:00~午後6:00、土日は休みらしい(いないから)。
相変わらず店員と客の仲。それ以上でもそれ以下でもない。
話はするようになった。といってもコーヒー注文する時にだが。内容も「コーヒーいかがですか?」「ミルク多めに!」……うぅ、こんなの会話とはいえない。いや、最近は「ミルク多めですね」と彼女から言ってくるので、俺様は「それでよろしく」と返答してるだけ。「ミルク多めに!」は俺様のセリフなんだが。ああ、本当は大声で彼女に向かって「ミルク多めに!」と叫びたい……。

ち、ちがう。なんか間違ってる。
俺様は彼女に向かって「ミルク多めに!」と言いたいだけなのか?
ちょっと間違えればとっても卑猥なセリフを彼女に浴びせたいだけなのか?

ああ、なんかむなしい。
考えてみれば、彼女のこと何一つ知らないのだ。
そう、俺様は彼女を知りたい! 彼女と話がしたい!! 彼女とコーヒーの注文以外の会話をしたい!!! 恋愛は会話から、と言うではないか。生年月日誕生日家族構成趣味特技好きな食べ物勝負服の色寝てる時のパンティーの色……俺様はもっともっと彼女を知りたい、知り尽くしたい!
しかしそう思っても、彼女を前にすると「ミルク多めに!」しか言えない俺様。ああなんて小心者で可哀想な俺様……。





コーヒーねーちゃんに会いにパチンコ屋に通い始めて早2ヶ月。
ふと気付いたんだが、自分がストーキングという名の棺桶に片足突っ込んでるような気がして怖い。

まずい、まずいよ。
このままだと間違った方向に行っちゃいそうだ。
妄想が暴走しはじめる前に、彼女とコーヒー注文以外の、「ミルク多めに!」以外の会話をしてみよう。うん。

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コーヒーねーたん その2

2005年05月03日 | 焦燥&妄想事情
その後、彼女との進展は……変化なし(泣)。あいかわらず『客と店員』。
それでもヒマさえあればパチンコ屋に向かい、彼女にコーヒー注文してる。もちろん「ミルク多め!」で。
……ホントのこと言うと、俺様はコーヒーのミルク入りが大嫌いなのだ。男なら黒く塗れ! とストーンズをこよなく愛する俺様はコーヒーもブラック一筋、ミルクを入れた後のあの軟弱なブラウン色には耐えられない……のだが、毎回毎回彼女に向かってミルク多め! といってたおかげで最近はあの生温いブラウン色にも慣れた。っちゅうかなかなかおいしいよコーヒーにミルクも。嫌いなものも好きになるとは愛の力は偉大である

話を戻すが、毎回コーヒー注文してるおかげで顔を覚えられた。
今日なんて、コーヒー注文したら頼んでもないのに「ミルク多めですね」と聞いてきた。
……これは大きな進歩だ。継続は力なりと言うが、日頃の努力が報われたのはとても気分がいい。そして顔を覚えられたと言うことは、俺様が彼女にとって、パチンコ屋に来るどんな客よりも立場が上、大切な存在って訳だ。裏を返せば『ネギ背負ったカモ』なんだがそんなことどーでもいい。顔を覚えてくれたことが俺様には重要なのだ。

明日もパチンコ屋に行けば、彼女から「ミルク多め、ですね」と聞いてくるのか。たまんねぇなぁおい。ここまでくれば俺様の術中にはまったのも同然、羊の皮を半分脱いだ気分だ。
パチンコよりも彼女を撃つ日がくるのも、そう長くはない。

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