《二日目つづき》
午後から公法系の論文式試験。まず、ざっと憲法、行政法の両方に目を通す。行政法で、そんなに難しいことを聞かれていないのを確認してから、憲法にとりかかる。憲法は、インターネット上の表現の自由が問題となり得るもので、わりと普段から自分でテーマ意識をもって考えていたもの。
だからできるかと思いきや、これは難しい。そして良問であると気づく。
架空の法律「フィルタリング・ソフト法」(※検閲法)によって起訴されたAの弁護人として、いかなる憲法上の主張ができるか。そして、検察官の反論をふまえ、自説を展開しなければならない。
ようするに、当該法律が違憲無効であるがゆえに、Aは無罪であるという主張ができさえすれば、なにを書いてもいい。きわめて自由度の高い出題。
そして、言うまでもなく、「自由は難しい」のである。去年までの傾向と、試験委員のヒアリング、出題趣旨をふまえると、論点はなにを選んでも、その中で論じるべきことをちゃんと論じていれば点数はつくはず・・・。
そこで、思い切って検閲(21条2項前段)一本、あるいは表現の自由一本で書いてやろうかとも思うが、さすがに勇気が出ない。
そこで妥協して、①検閲に該当する、②検閲に該当しなくても、事前抑制原則禁止の法理により禁止される、③また明確性の原則にも反する、④以上の諸点により違憲とはいえなくても、目的を達成するための手段が必要最小限ではないから違憲、とこれだけ書く。
対する検察官の反論は、①定義からして検閲ではない、②例外として認められる、③べつに不明確ではない、④本件では「公共の福祉」の範囲内として許される制約である、となり、
自説は①②③については検察側に理があるとしながらも、④で厳格な違憲審査基準に照らして、必要最小限とはいえないので、違憲・無効とした。
それなりに当該事案の事実に即して答えたつもりだったが、あとになって考えてみると、対立利益の考量が不十分で、表現の自由の側にやたらと傾いた、底の浅い答案になったと思う。
(※やっぱり、表現の自由一本に絞って、そのぶん中身を分厚く書いたほうが良かったと反省。ちまたで手に入る“上位答案”を読むと、意外とそういうものが多いのである)
答案構成40分、答案作成90分。6枚。やや時間がおしてくる。
1分だけ休んで、行政法にとりかかる。空調のせいか、もともと気管支が弱いので、のどがガラガラになっている。ヘルシア緑茶で洗い流すと、ちょっと気分が良くなった。
行政法は、例年通り、第1問が行政事件訴訟法上のとり得る手段の検討。
第2問が本案における実体法・手続法上の主張を検討するというもの。
だが、昨年までの過去問に比べると、すっきりと把握しやすい問題になっていると思う。
まずは、行政庁による「勧告」と「公表」という、ふつうだったら「行政処分」とはいえないものの、処分性が問題となる。
去年の出題趣旨やヒアリングを研究した結果、取消訴訟中心主義で行ったほうがよいことは分かっている。取消訴訟ができるのに、あえて当事者訴訟や、国賠を提起することは、よほど説得的にその理由を論じることができなければ、減点の対象になると心得る。
それで、まず「公表」に対する差止めの訴えと、「勧告」についての取消訴訟が考えられることを簡単に述べた上で、「公表」の処分性を否定し、問題となっている介護保険法の構造から、「勧告」の処分性を肯定して、これに執行停止をかけるという結論であっさりとまとめる。(※実際には、憲法でかなり力を使い果たしていたので、当事者訴訟は考えるのが面倒になったということもある)
第2問は、介護保険法に違反する「調査」が、つづく「勧告」に影響を与えることを述べ、違法性の承継(※違ったら困るので、あえてネーミングはせずに逃げる)を書いて、あとは事案からみえみえの違法事由を拾っておしまい。
答案構成30分、答案作成80分。5枚弱。最後の方は、時間がなくて殴り書きのようになる。が、なんとか書き切った。
点数は、憲法が薄っぺらい気がして仕方がないので、100点中45点。
行政法は、わりと好きで勉強していたし、人並みより多少いい感じで書けていれば、60点。(※ちなみに偏差値換算である)
合計105点なら、まだ合格圏内にいるはず・・・・と自分を慰める。
* * * *
この日は、午前中の知財から合わせて7時間論文を書いたことになり、ほぼすべての受験生がふらふらになる。
次の日は、中休みなので、精神値の回復が期待できる。(※というか、中休みがなかったら、死人が出る可能性がある)
午後から公法系の論文式試験。まず、ざっと憲法、行政法の両方に目を通す。行政法で、そんなに難しいことを聞かれていないのを確認してから、憲法にとりかかる。憲法は、インターネット上の表現の自由が問題となり得るもので、わりと普段から自分でテーマ意識をもって考えていたもの。
だからできるかと思いきや、これは難しい。そして良問であると気づく。
架空の法律「フィルタリング・ソフト法」(※検閲法)によって起訴されたAの弁護人として、いかなる憲法上の主張ができるか。そして、検察官の反論をふまえ、自説を展開しなければならない。
ようするに、当該法律が違憲無効であるがゆえに、Aは無罪であるという主張ができさえすれば、なにを書いてもいい。きわめて自由度の高い出題。
そして、言うまでもなく、「自由は難しい」のである。去年までの傾向と、試験委員のヒアリング、出題趣旨をふまえると、論点はなにを選んでも、その中で論じるべきことをちゃんと論じていれば点数はつくはず・・・。
そこで、思い切って検閲(21条2項前段)一本、あるいは表現の自由一本で書いてやろうかとも思うが、さすがに勇気が出ない。
そこで妥協して、①検閲に該当する、②検閲に該当しなくても、事前抑制原則禁止の法理により禁止される、③また明確性の原則にも反する、④以上の諸点により違憲とはいえなくても、目的を達成するための手段が必要最小限ではないから違憲、とこれだけ書く。
対する検察官の反論は、①定義からして検閲ではない、②例外として認められる、③べつに不明確ではない、④本件では「公共の福祉」の範囲内として許される制約である、となり、
自説は①②③については検察側に理があるとしながらも、④で厳格な違憲審査基準に照らして、必要最小限とはいえないので、違憲・無効とした。
それなりに当該事案の事実に即して答えたつもりだったが、あとになって考えてみると、対立利益の考量が不十分で、表現の自由の側にやたらと傾いた、底の浅い答案になったと思う。
(※やっぱり、表現の自由一本に絞って、そのぶん中身を分厚く書いたほうが良かったと反省。ちまたで手に入る“上位答案”を読むと、意外とそういうものが多いのである)
答案構成40分、答案作成90分。6枚。やや時間がおしてくる。
1分だけ休んで、行政法にとりかかる。空調のせいか、もともと気管支が弱いので、のどがガラガラになっている。ヘルシア緑茶で洗い流すと、ちょっと気分が良くなった。
行政法は、例年通り、第1問が行政事件訴訟法上のとり得る手段の検討。
第2問が本案における実体法・手続法上の主張を検討するというもの。
だが、昨年までの過去問に比べると、すっきりと把握しやすい問題になっていると思う。
まずは、行政庁による「勧告」と「公表」という、ふつうだったら「行政処分」とはいえないものの、処分性が問題となる。
去年の出題趣旨やヒアリングを研究した結果、取消訴訟中心主義で行ったほうがよいことは分かっている。取消訴訟ができるのに、あえて当事者訴訟や、国賠を提起することは、よほど説得的にその理由を論じることができなければ、減点の対象になると心得る。
それで、まず「公表」に対する差止めの訴えと、「勧告」についての取消訴訟が考えられることを簡単に述べた上で、「公表」の処分性を否定し、問題となっている介護保険法の構造から、「勧告」の処分性を肯定して、これに執行停止をかけるという結論であっさりとまとめる。(※実際には、憲法でかなり力を使い果たしていたので、当事者訴訟は考えるのが面倒になったということもある)
第2問は、介護保険法に違反する「調査」が、つづく「勧告」に影響を与えることを述べ、違法性の承継(※違ったら困るので、あえてネーミングはせずに逃げる)を書いて、あとは事案からみえみえの違法事由を拾っておしまい。
答案構成30分、答案作成80分。5枚弱。最後の方は、時間がなくて殴り書きのようになる。が、なんとか書き切った。
点数は、憲法が薄っぺらい気がして仕方がないので、100点中45点。
行政法は、わりと好きで勉強していたし、人並みより多少いい感じで書けていれば、60点。(※ちなみに偏差値換算である)
合計105点なら、まだ合格圏内にいるはず・・・・と自分を慰める。
* * * *
この日は、午前中の知財から合わせて7時間論文を書いたことになり、ほぼすべての受験生がふらふらになる。
次の日は、中休みなので、精神値の回復が期待できる。(※というか、中休みがなかったら、死人が出る可能性がある)