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ねぐら(進化する弁護士ブログ)

(-. -)zzz...  
 
その都度、興味のあるネタを書いて行きます。最近は、投資話が熱いです。。

今年(2008年)の新司法試験(5)

2008-05-21 | 合格するまで(2008年の新司法試験)
《二日目つづき》

午後から公法系の論文式試験。まず、ざっと憲法、行政法の両方に目を通す。行政法で、そんなに難しいことを聞かれていないのを確認してから、憲法にとりかかる。憲法は、インターネット上の表現の自由が問題となり得るもので、わりと普段から自分でテーマ意識をもって考えていたもの。

だからできるかと思いきや、これは難しい。そして良問であると気づく。

架空の法律「フィルタリング・ソフト法」(※検閲法)によって起訴されたAの弁護人として、いかなる憲法上の主張ができるか。そして、検察官の反論をふまえ、自説を展開しなければならない。

ようするに、当該法律が違憲無効であるがゆえに、Aは無罪であるという主張ができさえすれば、なにを書いてもいい。きわめて自由度の高い出題。

そして、言うまでもなく、「自由は難しい」のである。去年までの傾向と、試験委員のヒアリング、出題趣旨をふまえると、論点はなにを選んでも、その中で論じるべきことをちゃんと論じていれば点数はつくはず・・・。

そこで、思い切って検閲(21条2項前段)一本、あるいは表現の自由一本で書いてやろうかとも思うが、さすがに勇気が出ない。

そこで妥協して、①検閲に該当する、②検閲に該当しなくても、事前抑制原則禁止の法理により禁止される、③また明確性の原則にも反する、④以上の諸点により違憲とはいえなくても、目的を達成するための手段が必要最小限ではないから違憲、とこれだけ書く。

対する検察官の反論は、①定義からして検閲ではない、②例外として認められる、③べつに不明確ではない、④本件では「公共の福祉」の範囲内として許される制約である、となり、

自説は①②③については検察側に理があるとしながらも、④で厳格な違憲審査基準に照らして、必要最小限とはいえないので、違憲・無効とした。

それなりに当該事案の事実に即して答えたつもりだったが、あとになって考えてみると、対立利益の考量が不十分で、表現の自由の側にやたらと傾いた、底の浅い答案になったと思う。
(※やっぱり、表現の自由一本に絞って、そのぶん中身を分厚く書いたほうが良かったと反省。ちまたで手に入る“上位答案”を読むと、意外とそういうものが多いのである)

答案構成40分、答案作成90分。6枚。やや時間がおしてくる。


1分だけ休んで、行政法にとりかかる。空調のせいか、もともと気管支が弱いので、のどがガラガラになっている。ヘルシア緑茶で洗い流すと、ちょっと気分が良くなった。

行政法は、例年通り、第1問が行政事件訴訟法上のとり得る手段の検討。
第2問が本案における実体法・手続法上の主張を検討するというもの。
だが、昨年までの過去問に比べると、すっきりと把握しやすい問題になっていると思う。

まずは、行政庁による「勧告」と「公表」という、ふつうだったら「行政処分」とはいえないものの、処分性が問題となる。

去年の出題趣旨やヒアリングを研究した結果、取消訴訟中心主義で行ったほうがよいことは分かっている。取消訴訟ができるのに、あえて当事者訴訟や、国賠を提起することは、よほど説得的にその理由を論じることができなければ、減点の対象になると心得る。

それで、まず「公表」に対する差止めの訴えと、「勧告」についての取消訴訟が考えられることを簡単に述べた上で、「公表」の処分性を否定し、問題となっている介護保険法の構造から、「勧告」の処分性を肯定して、これに執行停止をかけるという結論であっさりとまとめる。(※実際には、憲法でかなり力を使い果たしていたので、当事者訴訟は考えるのが面倒になったということもある)

第2問は、介護保険法に違反する「調査」が、つづく「勧告」に影響を与えることを述べ、違法性の承継(※違ったら困るので、あえてネーミングはせずに逃げる)を書いて、あとは事案からみえみえの違法事由を拾っておしまい。

答案構成30分、答案作成80分。5枚弱。最後の方は、時間がなくて殴り書きのようになる。が、なんとか書き切った。

点数は、憲法が薄っぺらい気がして仕方がないので、100点中45点。
行政法は、わりと好きで勉強していたし、人並みより多少いい感じで書けていれば、60点。(※ちなみに偏差値換算である)
合計105点なら、まだ合格圏内にいるはず・・・・と自分を慰める。

* * * *

この日は、午前中の知財から合わせて7時間論文を書いたことになり、ほぼすべての受験生がふらふらになる。

次の日は、中休みなので、精神値の回復が期待できる。(※というか、中休みがなかったら、死人が出る可能性がある)

今年(2008年)の新司法試験(4)

2008-05-21 | 合格するまで(2008年の新司法試験)
《二日目》 5月15日。

05時20分起床。06時20分ぐらいの特急(指定席)で、東京まで。

09時30分より知的財産権法(特許・著作)の論文式試験開始。

まず、ざっと二問に目を通す。著作権法は「小説家」とあり、そんなに特別なことは聞かれていない雰囲気だったので、まず特許法から手をつけることにする。

しかし、どちらも小問形式に問題が分かれていて、著作権などは、甲の乙に対する請求、甲の丙に対する請求、甲のA市に対する請求、乙の丙に対する請求、と四つも並んでいる。
これは、時間配分が命になる、と思う。

それで、特許法の問題を見ていくと、設問1は特許権者と専用実施権者が、それぞれ無断の実施者に対してなにを請求できるか、というもので、利用発明の知識が必要なのと、独占的通常実施権を書くべきか迷う(※結局、書かないほうに決断したが、これが吉と出るか凶と出るか分からない)以外は、ごくごく基本的な出題。

設問2は、あまり考えたことのない問題だった(※単に勉強不足なだけである。選択科目は、直前の二日間と、一ヶ月前に五日間しか勉強する時間がとれなかった)が、該当する条文と、考えられる趣旨から、あるべき結論をその場ででっちあげて、なんとか答案を完成させる。

個人的には、設問2の、2の(1)と(2)で、対比する視点を打ち出せたことが、ポイントとしては大きいのではないかとひそかに感じているが、希望的観測かもしれない。

答案構成に約20分。答案作成に80分。枚数4枚きっちり。やや、時間がおしてくる。


休むまもなく、著作権に取りかかる。単純な問題かと思いきや、編集著作物、複製権、譲渡権、公表権、同一性保持権、創作性の範囲、無償貸与など、かなり色々な問題がごっちゃになっている。

やや気持ちがあせって来るが、著作権法においては、問題となる支分権を落とさないように緻密に拾うことと、ありうる抗弁を事案に即して論じること、そして、ちゃんと条文を引くこと。これさえできていれば十分に合格点がつくと思い直す。

それでも小問が4つあるので、時間との戦いになるが、各問題点をできるだけあっさりまとめて、なんとか時間内にぜんぶ書ききる。(※あとでローの仲間に話を聞くと、けっこう時間切れで途中答案におわった人もいたようだ。僕の唯一の特技は、絶対に途中答案にしないこと。しないと決めたら、しないのである)

答案構成に約15分。答案作成に65分。枚数3枚半。

感触としては、100点満点で60点もらえれば、万々歳。55点でも、十分に満足。
これは、そういう試験である。

今年(2008年)の新司法試験(3)

2008-05-21 | 合格するまで(2008年の新司法試験)
《初日のさいご》

一時間の休憩のあと、いよいよラストは刑事系のマークシート。

ここで伝家のグロンサン強力内服液を飲む。問題の傾向として、刑事系がいちばん頭を使う(※単純な知識に加えて、穴埋めやパズルっぽい問題が多く出題される)ので、疲弊感を払拭することが重要である。

僕のように頭の回転が平凡なタイプは、はっきり言って刑法パズルはニガテである。まあ、昔の司法試験のように、まず穴埋めをして、それから文章を並べ替えて、その上で何かに答えるとかいうような、非人間的なものは、新試では出ないと分かっているので、過度に恐れる必要はないのだが。

刑事訴訟法をものすごいスピードで先に解いて、時間を余らせて刑法をじっくり攻める作戦で行く。ところが、刑訴法の最初の問題を見て、「あ、こりゃ分かんないや。あははははは」(※すでにパニックになりかかっている。実は、後でじっくり解けば刑訴1問目はたいして難しい知識ではなかった)

それで、やむを得ず急遽作戦変更して、刑法から順番に解いていく。

今年の問題はパズル性がほとんどなく、単純な知識で解けるものが多い。これで精神的に持ち直す。

持ち直してしまえば、刑法の問題は論理性が重視されているだけに、分かる問題は「これが正解」と確信を持ってマークできるのが嬉しい。

刑法の各論で、「危険運転致死傷罪」が出たのがまいった。なんとなくニュースのうろ覚えで、これは正解、と分かる問題だったので良かったが、危ないところだった。

刑訴法の改正部分で、「被害者参加」の制度が絶対に今年は出ると思って、脳内に準備していたが出ず。同様に「裁判員制度」も出なかった。

また、最後の方で「再審」について聞かれ、それは超有名な判例の知識であって、ローの授業でも司法試験委員の先生が担当する「刑事法総合」の授業でしつこくやったところなのだが、なぜか中身をすっかり忘れていて、悲しい気持ちになる。

それで現場思考する。「わが国の最高裁判所が、そんなに簡単に再審を認めているはずがない」と気づき、一番厳しい結論になる肢を選んだのだが、答えは正反対だったようだ。(※帰りの電車の中で、判例六法を開いて確認。悲しい気持ちになる)

17時30分終了。配分は、刑法45分。刑訴45分でわずかに時間余る。
マークミスをしていないか、なんども確認して、提出。

全体の感触としては、民事系7~8割、公法系6割、刑事系7~8割とれていると思うので、第一次発表での落選はないと信じたい。(※時間がたつと、この感触は次第に揺らいでくる)

* * * *

マークシートが終わると、明日からはいよいよ論文式試験である。
試験時間中、六法全書が貸与されるので、マークシートに特有の細かい知識を覚え続けている必要がなくなるのが、大変に嬉しい。

精神値がわずかに回復するのを覚える。

今年(2008年)の新司法試験(2)

2008-05-21 | 合格するまで(2008年の新司法試験)
《初日のつづき》

昼食はウィダーインゼリーとおにぎり二個。できるだけ内臓に負担がかからず、それでいて空腹は避けることができ、かつ脳が疲弊しないものを選ばなくてはならない。
心強い友、“グロンサン強力内服液”は、最後の科目である刑事系の前に飲むことに決める。

午後から公法系のマークシート。これは憲法から順番に解いて、行政法へと進んでいく。

憲法第1問「形式的な意味の憲法」「立憲的な意味の憲法」フランス人権宣言かなにかの、有名なせりふとか、そんな風な問題。そんなの知らんがな~~と思いながらも、どうせみんな同じように思ってるだろうと高をくくって、てきとうに前に進む。

悪名高い「1122」問題が、今年からは「112」問題に変わった!(※正しいものに1をマークし、間違ってるものに2をマークして、全部当たると3点もらえるという、もっともよく夢に出てくるやつ)

ということは、得点しやすくなっているはずなのだが、例年通り、憲法の肢は微妙なものが多くて、「これが正解」という確信が持てないものが多い。

いいかげん疲れが出たのか、「天皇の国事行為」に関する問題で、パニックに陥る。「天皇は国会を召集する」と言われて、「天皇は、そんなことしないよなぁ・・・」と考えてしまったのが、間違いの元である。なんのことはない、条文に書いてあるのだが、現場でいったん取り付かれると、後で冷静に考えれば一瞬で分かる問題を、間違えたりする。

なにかと話題の憲法9条が出ると思って、いつのまにか条文を空で言えるまで脳内準備が進んでいたのだが、今年は出なかった。

あと、制定されたばかりの「憲法改正手続法」が出るかと思って、ひそかに脳内準備を進めていたのだが、これもついに出ず。改正の96条は出たが、その場で考えてだれでも解ける問題で、準備は無駄となった。

行政法は、情報公開法が絶対に今年も聞かれると思っていて、主要な条文をぜんぶ覚えていたのだが、判例を聞かれて撃沈。

個別行政法規をその場で読んで考えるタイプの問題は、いまいち確信が持てない。が、これは「1212」問題なので、三つ当たっていれば1点もらえる(たぶん)

行政法ラストの「○×○」問題(※三つの話題について、それぞれ○か×かを考えさせ、8通りの組み合わせの中から正解を一つ選ぶという、これまた夢によく出てくる問題)で、どっちが正解だったか忘れてしまい、悲しい気持ちになるが、終了のチャイムと同時に、てきとうにマークしたらどうやら当たっていたらしい。

15時終了。時間配分は、憲法45分、行政法45分で、ちょうどぴったり。

今年(2008年)の新司法試験(1)

2008-05-21 | 合格するまで(2008年の新司法試験)
今年(2008年)の新司法試験について記しておこう。

万が一、来年もう一回受ける羽目になった場合に、本番の臨場感を思い出す手がかりにするためと、受かれば受かったで、それなりに良い思い出になると考えるからである。


《初日》5月14日

朝5時起床。05時55分発・東京行きに乗る。東京で京葉線に乗り換え、新木場、そこからさらに臨海線に乗り換え、国際展示場へ。初日の集合時間は、08時30分だから、それなりにゆとりがある。

試験会場となった「TOC有明」には、コンビニから、薬局、ファミレス、ドトールまであり、環境としては大変によろしい。試験中に腹がへったら大変なので、ドトールでコーヒーとチーズトーストを食する。

会場入り口には“本日の催し物・四階新司法試験”と書いてあり、なんかのどかな感じがした。

09時着席、09時30分試験開始。

最初の科目はマークシートの民事系。得意の会社・民訴から先にものすごいスピードで解いて、できるだけ時間を余らせて、前半の民法をじっくり考えるという、去年からの作戦で行く。(※実際には、そんなにものすごいスピードではない)

会社法は、ほとんど条文さえ知っていれば解けるという問題。
商行為の分野で、比較的マイナーな「匿名組合」が出るが無視する。あと、手形・小切手の分野で「為替手形」の知識が必要な問題が出たが、これも無視。大切なことは、みんなができる問題を落とさないようにすること。

民事訴訟法は、要件事実と主張立証責任を聞いてくる設問があり、「あれ?なんだっけ。どうしても正解が三つあるぞ」と迷う問題があった(単に、以前ローでやったことを忘れているだけ)他、さして問題なし。

民法は、直前期に死ぬほど条文を読んだのと、問題内容が年々平易かつ素直になっているので、さほど迷わずに進む。

ただし、家族法だけはいくら勉強してもなぜか必ず知らない知識が聞かれるという、不思議。(※ただ単に、勉強の仕方が薄いだけかもしれない。しかし、今年は時事ネタとして、絶対に772条(例の、“婚姻解消後300日以内に生まれた”というやつ)が出ると思って脳内に準備していたが、出なかった)

民事系全般の感想としては、プレテストだかサンプル問題だかで、以前出題された知識がそっくりそのまま聞かれていたこと、某受験予備校の直前模試に出題された問題が、ちらほら当たっていたのが印象深かった。

それと、抵当権の譲渡・放棄や、共同抵当の按分計算、連帯債務者の求償関係、条件・期限、袋地通行権、懸賞広告など、いちおう押さえておかないと不安な択一プロパー知識は、ほとんど聞かれなかった。この傾向は、きっと来年以降も維持されるだろう。

試験終了12時ちょうど。会社法と商法で30分。民訴に35分、残りをぜんぶ民法に当てるという方法で、ぎりぎりの時間配分だった。(※ようするに、民法は苦手意識が強いのである)

その後、1時間半休憩となる。