MARI’S ROOM

左利きの まり が考えたこと

「人間工学」

2005-03-26 17:11:16 | 左利き
「人間工学にもとづいて『使いやすく』してあります」
こういうのに限って、「右利きが持つ方の」手で使いやすく工夫して作られており、左利きにとっては、ただひたすら使いにくい工夫、たとえば邪魔なところに突起やくぼみがついてたりすることが多いです。

「人間工学」にもとづくと、たいてい右利きだけに使いやすいように、(それは自然と)左利きには不便なようにデザインがされます。

そんな状況でも、コピーひとつで、印象が違います。
■「人間工学に基づいて作りました (右手用)」■
実際は作ってなくても、「人間」のなかには左利きがいることは承知しているようだ、と。

■「右手にフィットする形を、人間工学に基づいて作りました」■
人体の一部「右手」を研究したんだな、と。
何で左手は研究しないんだ、とは思うものの、上に述べた"「人間」工学の対象外…"という不快感はないかもしれません。
よく似ているけれど、

■「人間工学に基づいて、右手にフィットした形を作りました」■
では、「人間」を工学的に分析したら多くの人は右利き→人間は右を使うので…→人間なら右利きなので…→左利きは人間ではないので…と変形しかねないのです。


「人間工学」は、右利きに使いやすい(そうすると自然と左利きに使いにくい)位置にくぼみが付いたデザインに象徴されるように思います。
わざとやっているわけではありませんが、「人間工学」には、右利きで健康な成人の健常者の男性に合わせ、それ以外を無視するようなおごりを感じています。

「ユニバーサルデザイン」は、本来はだれでも、つまり(人の抱える事情は色々なものがありますが、利き手に関しては)左利きだろうが右利きだろうが、万人に使いやすいことを目指しているはずです。
「ユニバーサルデザイン」という考えを広める動きが、「老人に使いやすい」という点ばかりクローズアップされ、ボタンを大きくすること、文字を大きくすること、ばかりに終ってしまうことを危惧しています。

「なおす」か「かえる」か

2005-03-26 17:09:40 | 左利き
「左利きを右になおす」…よく聞く言葉ですが、私にとって、「右になおす」と言うのには、大変抵抗があります。
この意味では右が正しくて、左は悪いということになるからです。
同様に、「正す」「矯正する」も抵抗があります。

「利き手」自体は変わりませんから、親や親戚、教育者は、子供の「使う手」を変えさせることがあるわけです。あくまで「変え」させるために「無理強い」「強要」「強制」しているのだと思っています。

「なおす」を辞書で引くと、大辞林では最初に
 (1)正常な状態にする。悪くなったものをよい状態に戻す。
   (ア)修理する。修繕する。「故障したテレビを―・す」
   (イ)誤りを訂正する。修正する。「誤植を―・す」
   (ウ)よくない状態をただす。矯正する。「英語の発音を―・す」「くせを―・す」
   (エ)形のくずれなどを正す。整える。つくろう。「服装の乱れを―・す」
   (オ)そこなわれた気持ちなどをもとの状態にする。「機嫌を―・す」
   (カ)(西日本で)しまう。「本を棚に―・す」
とあります。何らかの価値観でプラス方向というのが普通だと思います。
(カ)の「しまう」が、「悪い状態を良くする」という(1)の中にあるのには、一瞬違和感がありますが、しまわれていない状態、すなわち片づいてない状態を「不正常」と考えれば納得できます。

で、その次にあるのは
 (2)変更・変換する。
   (ア)別のものに変える。変更する。「羽織を着物に―・す」
   (イ)別の形態にする。変換する。「英文を日本文に―・す」
さらにまた、(1)と同じくプラス方向の意味で、
 (3)人や物をしかるべき地位・場所に改めてすえる。
   (ア)席を上級のものに改める。(用例略)
   (イ)妾などを正妻にする。(用例略)
   (ウ)改めて置く。置き直す。(用例略)
 (4)近世,遊里で,客が一定の時間遊女をあげたあと,改めて時間を延長する。

これも(1)と同じくプラス方向の意味で、
 (5)動詞の連用形の下に付いて,より良い結果を得るために,いったん行なった動作をもう一度する意を表す。「計算し―・す」「書き―・す」
 (6)「切る」「裂く」「むしる」などの忌み言葉。(用例略)


次に「広辞苑」
 なお・す【直す】ナホス_他五_
 (1)曲ったこと・乱れ・間違いなどを本来の正常な状態にもどす。
   神代紀(上)(略)。 源氏物語 (紅葉賀)(略)。「機嫌を―・す」
 (2)地位・身分などをもとにもどす。復帰させる。源氏物語(澪標)(略)
   日葡辞書「ラウニンヲナヲス」
 (3)物や人を、しかるべき場所・位置にすえる。(用例略)。
 (4)とりつくろう。とりなす。源氏物語(夕霧)「人の御名をよさまにいひ―・す人は難きものなり」。日葡辞書「ナカヲナヲス」
 (5)修繕する。徒然草(略)。「車を―・す」
 (6)(ふつう「治す」と書く)病気や怪我を治療する。(用例略)
 (7)改める。かえる。源氏物語(藤裏葉)「あるじの御座は下れるを宣旨ありて ―・させ給ふほど」。「片仮名の部分を漢字に―・せ」
 (8)修正する。訂正する。三宝絵詞「経の文をたださしむれば口に誦して多く―・す」。日葡辞書「アヤマリヲナヲス」
 (9)添削する。(用例略)
 (10)(他の動詞の連用形に付いて)間違いなどを訂正するため、もう一度はじめから行う。狂、賽の目(略)。「書き―・す」「やり―・す」
 (11)仮の地位から正式の地位につける。誹風柳多留(11)「下女を―・すにつき縁者二人反そり」。「本妻に―・す」
 (12)乗物・劇場などで上級の席に替える。「一等に―・す」
 (13)「切る」「裂く」「むしる」などの忌言葉。
 (14)(遊里語)遊女を一定の時間あげ、その時間が切れた時、さらに延長する。
 (15)歌舞伎で、狂言方が幕開きの前に拍子木を打ちながら舞台に行き、大道具その他がととのって後、下座の前に間を短くして二つ打つのをいう。
 (16)(近畿・中国・九州などで)しまう。収める。片づける。


「広辞苑」はことばの成り立ちを重視し、古い意味を先に、後から派生的に出てきた意味を後に出します。いきおい前の方の用例は古文になります。
「大辞林」は現代用法を重視し、いま普通に使われている意味を前に掲げます。

そのどっちも「正常な状態に」する というのを先頭に掲げていますので、
 「なおす」
と言われたら、普通は「プラス方向に変える」の意味に取っていいと解釈しています。

以上、「右になおす」と言うのに抵抗があるという私の感覚は、それほど間違っていないものと考えています。

無意識の窮屈

2005-03-26 17:00:13 | 左利き
学校の先生には何も言われなかったのに、私はなぜ学校でまで右手で字を書いていたか。

父がノートをチェックして、左手で書いた字を見つけては、嫌味を言ったからです。

今考えれば、当時私の字を見て発見しては言っていた「左手で書いたような字がある」は、周りより、あるいはいつもより上手に書けている部分を見つけて、さも下手な字を見つけたように言っていたのだとわかります。
でも、小学生にとっては、左手で書いた下手な字を見つけた、と言われたように聞こえて、萎縮するしかなかった。
無意識の範囲まで支配されていました。
学校の先生による強要なら登校拒否ですむ(←それはそれで、大変に辛いことではあるでしょうが)けれど、子供にとって、帰る場所である「家」にそういう人がいるというのは、辛かったです。

幸い、母がいたので(今もいます)、「矯正」とやらも字だけで、食事は左で食べて、生きて育ちました。
食事中、父はよく立ち上がり、私の左側をかすめて通りました。
その時は、食事をやめる知恵を身につけました。
よろけたフリをして小突かれると、箸が口に刺さるからです。貫通するわけではなく、ただ痛いだけですが、父がいるときは、心落ち着いての食事は無理でした。

ちなみに右書きのその後です。
小学6年のとき、右手小指を突き指して、一週間包帯をまいて過ごしました。
保健室から教室に帰り、次の授業が始まったそのとき。私の左手は一文字目からあっという間に書き手として復活し、今に至っています。
5年半の努力は、水の泡でした。

使えるだけで有難いのか?

2005-03-26 16:56:38 | 左利き
例えばハサミ。
柄がピンク、赤、黒、水色、オレンジ、さらに各色の透明樹脂製、各種キャラクター付き、…などの各デザイン。
刃自体も砥げる鋼製、サビないステンレス製、磁気テープ編集用のセラミック製、さらに針金も切れるパワフルはさみ、リサイクル用のペットボトル切り、牛乳パック切り…などなどの各用途。
…色々ありますが、そういうのは、まず確実に右用です。
私の歩く町で買う左用のハサミは、緑のリング付きステンレス製か、ダイソーの2種類だけ、だったりします。もちろんフェリシモの通販など、他にも存在はしていますが、その場では手に入りません。
左利き用品は、選択の余地がほとんどないと言える現状です。

左利きの「くせに」好みがあるのは生意気、とでもいうのでしょうか?
左手用にできているものが「ある」というだけで、有難がらなければならないのでしょうか。

また左利き用腕時計も町で見たことはなく、ネットショップでも「機能のみ、おしゃれ感ナシの1種類だけ」と感じます。
私の行動半径内では、「デザインをとるか機能をとるかの、二者択一」という状態です。
 (私が腕時計に情熱を傾けていないため無視した格好になりましたサイトの、管理者の方から苦情をいただきました。どうしても欲しい方は「腕時計 左利き」で、 GOOOGLE検索などしてみてください。)


以前、デザインが気に入って、思わず買った腕時計がいくつかありますが、右利き用ですから微妙に使いにくく、私は自然に腕時計を見捨て、いつのまにか、携帯電話の時計に頼るようになりました。

ブランドものである必要は全然感じない私ですが、デザインの好みは、はっきりしています。
だから自分の気に入ったものが、右利き用で使いにくい場合、買うべきか見送るべきか、かなり迷います。
買った場合は使いにくさで後悔し、買わなかった場合はデザインへの執着が残って後悔する…多分買っても買わなくても、それぞれ別の意味で悔しさが残ると思います。

けっこうな数、売れるのに…

2005-03-26 16:52:36 | 左利き
「左利きは人口の約1割」とか、自動改札の機械を左手で入れる人は15%くらいとか、諸説あります。
少数派とはいえ、それだけは確実にいるのですから、メーカーが左利き用品を作っても、それなりの数は、売れるはずです。
なのに「多数派」ではないというだけで、たいていのメーカーが無視するし、肝心のユーザーである左利き自身も、右用の物をなんとかして使えたりするため 「今さらいいよ」 と、めったに声をあげなかったりします。

確かに、一つ一つの不便は、それぞれ死ぬほどの不便でもないので、いちいち、ことさらに声をあげるほどではないのです。

だけど包丁が右づかいの人は、1980円の安売りの包丁を何も考えずに買え、どこの100円ショップでも、ハサミを気軽に買えるんです。
その一方、安売りの左砥ぎ包丁は見たことがありませんし、100円の左ハサミも「どのヒャッキンでも売っている」わけではありません。

1%ではありません、約1割、ふつーにいる左利きのために、ふつーに道具を売ってくれるのが理想です。
せめて「介護用品」なんていう扱いでも、左利きのマニアショップという色合いでしか売られていないよりは、進歩だと思います。
百歩譲って、売ってくれさえすれば、どこ行っても売ってないよりは、マシ。現状はこれに近いと思います。
ダイソーの100円・左バサミは画期的です。これに続いて、他のものも何らかの手でコストを下げ、普通の値段で買えないものでしょうか。

…もしも右利きの人のように、色柄が気に入ったというだけの理由で自分が使いやすいものを「ふつー」に買えるようになったら…すごく快適だろうと夢見ます。

ジレンマ

2005-03-26 16:49:36 | 左利き
左利き用に作られた道具は、左利きにとっては、右利きがふつうの右利き用の物を使うような使い勝手で使えて便利です。
多分、手にとって自然な動きなのだと思います。
左利き用のがまぐちを手に入れて、初めて開けた時の感激は忘れられません。こんなに開けやすいものなのかと…。
しかし、その10秒前、「開かない」とあせった事も忘れられません。
それまでの右利き用のがまぐちを開ける時と同じ方向に、ねじあけようとしたからです。
そして、それ以来、母のがまぐち(右利き用)から母に替わってお金を出そうとした時など、親指がつるようで、右がまぐちの左手での開けにくさを激しく感じるようになってしまいました。
左利き用を知らないうちは、親指と人差し指を交差させて、えいやっと開けていたはずだったのですが、左利き用の開けやすさを知った途端に、もう戻れなくなっていたのです。

ハサミも、右利き用は使いにくさを実感するようになって、自分の左利き用ハサミが手放せなくなってしまいましたし、扇子も左利き用を手に入れたら、右利き用のを開けるのに苦労を感じるようになってしまいました。

左利き用の品物は、右利き社会で生きている左利きを、それを使っている限りは幸せにすると言えますが、その反面、それがなくては不便で仕方ないという状態にしてしまいもします。
人の物(←たいてい右利き用の物)が借りられなくなります。

はたして、左利き用品は左利きを本当に幸せに出来ているのでしょうか…

左利き用ハサミ

2005-03-26 16:47:54 | 左利き
私は、右利き用のハサミにすっかり慣らされてから、左利き用ハサミに出会いました。
それまでに右利き用ハサミに対応するために、手に、不自然な(本来のやりやすい動きではない)癖がついていたので、初めのうち、左用にも違和感がありました。
そこで

★親指の力だけで切ろうとする癖がついていたので、この癖は、両方の刃を離す方向に力を掛けてしまうことになるので、改めてみました。

★特に決められた線のちょうど上を切るようなとき、刃を、外側から覗き込む癖がついていたので、ゆうゆうと内側から見るようにしました。

ということで、今は快適です。
右利きの人には、ぜひ一度、左利き用ハサミを使ってみて、左利きが右利き用ハサミを使った時の使いにくさを、逆バージョンで実感してみて欲しいと思います。
ただし!!!!!
左利き用ハサミは、持ち主の左利きの者にとって、やっと手に入れた物であることも多いので、無神経な取り扱いは慎んでほしい。
持ち主の宝物だということを認識して、丁寧に扱ってほしいと思います。

自動改札

2005-03-26 16:46:18 | 左利き
「左手で入れるな、時間がかかる」という右利きの方の意見を、その方のホームページ上で読んだことがあります。
確かに、右利きの人が利き手ではない左手で、しかも体をねじってまで右側に切符を入れようとしたら、それは当然時間がかかるでしょう。

でも、私は左利きです。

私が右手で、あの細い差し込み口に切符を命中させようとしたら、狙いを定めるのに時間がかかります。命中するまで差し込み口周辺を試行錯誤することになります。
体をひょいとねじってでも、左手で差し込む方が、まだしも早くできます。
細い差し込み口に、利き手でない右手で命中させるのと、体をねじって左手で入れるのでは、私にとっては後者の方が早いのです。

右側についている差し込み口に、私が左手で入れようとするのを見て、右利きの同行者が「何でわざわざ」という感想を持ち、「まるで宗教上の理由で右手を使わないかのように、かたくなな態度だ」と評することもあります。
でも私は「わざわざ」ではなく単に、まだしもやりやすく、人の流れを止めないようにやっているだけなのです。
やりにくく、不確実で、人の流れを止めてしまいやすいやり方を強要する、その人の態度にこそ、むしろ宗教的なかたくなさを感じます。

右利き社会が、左利きにとって便利な時

2002-08-10 12:00:00 | 左利き
私は大抵のことが左使いなので、普段、右利き用にできている世の中に、どちらかといえば不満を持っています。
しかし左使いな自分が、右利き社会を便利だと感じる時…それは利き手を怪我した時です。
左利きが利き手を封じられた時、世の中は、残された(不器用な右)手に優しくできています。右手で使いやすいように特化して作られたものが、残された右手のために、いくらでもあります。
家族全員左利きの家庭でもない限り、たいていの家にある「右利き用ハサミ」などの小物から、右手でないと火加減が難しい「押し回し式のガス台」、外に出れば自動改札のような装置。自宅から公共の場まで、右利きグッズはあふれています。
自動改札は、右利きの人の右手のようには上手に入れられませんが、右手を怪我した右利きの人が、不器用な左手で体をねじって入れるよりは楽なはずです。

右利きの人が利き手を怪我した時のことを想像すると、哀れという他ありません。
訓練しようとしたことも、訓練させられたこともない、無垢(?)な左手が、それまで気持ちよく過ごしていた右利き用の世界(?)に立ち向かうハメになるのです。


利き手の左手を怪我した時に、さらに不便が少ないのは、食事や文字を右使いする左利きかもしれません。
食事や文字には不都合がないし、右手で入れやすくできている自動改札には、反射的には出てこないけれどそこそこ使える、右手で入れれば済みます。
先日左の中指に切り傷をつくった、母を見ていて思いました。
母は物心つく前に食事や筆記を右に変えさせられたらしい、とっさの時や自動改札で左手が出てくる左利きです。

ところで。
左利きの私が利き手を怪我したときに、「右じゃなくて良かったね」と、決め付けられるのは悔しい。
もしも、わざと言う人がいれば、そういう人格の人とは、それ以上会話しても無駄だと思っています。

左箸は迷惑か

2002-06-30 12:00:00 | 左利き
カウンター席のように狭い所では特に、左手が隣の人にぶつからない席に陣取らせて欲しい。
できればさり気なく。
左端は私の指定席、空けといてほしい!
これは左利きの私にとって、結構切実なことです。

しかし…左隣の右利きとぶつかるのは、実はこちらの左利きが原因ではありません。
私が食事するとき(左手で箸を持ってます)、左の人とぶつかるのは、右の人がひじを真横に広げて場所を取っているとか、テーブルに肘をつき、上空で箸を振り回しているとき(箸がこちらの目に入りそうで怖いです)などです。
普通に食べている人なら実際はぶつかりません。
こっちはなにしろ極端に脇を締めているのですから。

また、メーリングリストで、Cさんの右利きの同僚の人が、右隣にいた右利きが左手を頬杖で突き出していたため、ひどく迷惑してたという話を読みました。
   「脇をしめる。肘をつかない。」
これらは最低限の食事のマナーです。
大多数である右利きの人も皆、これらのマナーを守っていれば、右利きの右に左利きがいようと「左利きが周りに及ぼす迷惑」などないはずです。

右利きの人が左利きを見て「目ざわりだ」というなら、これが「左利きが及ぼす迷惑」とでも言うのでしょうか。
しかしそれを言うのなら言わせてもらいます。

 右手で持てばいいってもんではありません。

摩訶不思議な持ち方で右手で箸を持ち、ねぶり箸・探り箸などする方が、私は目ざわりです。
むしろ「鏡の中の小笠原流」といった風情で左手で食べる方が美しいと思っています。

右利き用の道具には「右利き用」と

2002-06-28 12:00:00 | 左利き
●右利きは気付かない
右利き用品に「右手用」と書いてあれば、右利きの人の、左利きに対する誤解が解けるきっかけになると思います。

備えつけや学校指定の(右用)ハサミを使うのが下手なのは、不器用ではなく、右手用の物を左手で使っているからだと、わかってもらいたいものです。
私の左手用のハサミを、私の右利きの家族は、実に使いにくそうに使っていますが、そんな経験をする人は多くありません。
右利きですーっと暮らしてきた人は、自分が利き手(右手)で使っている右手専用の道具に不自由を感じたことがないため、使う手を特化した「右手用」だとは気付きません。

特に左利きの子供に初めての道具を買ってやる時から、右利きの親や教師に認識していてもらいたいので、「右手用」表示を希望します。


●「右手用」は普通・「左手用」は特殊という現状と、親心の関係
従来の「普通の」道具という言い方では、

 普通=正常   (この場合に頭をよぎる対語は「異常」)

と感じがちな親心を刺激し「わが子を『普通』にしなければ」…との焦りにつながります。
「直す」「正す」などと考えて「矯正」を強行するかもしれません。
右使いに順応できる子ならいいのでしょうが、完全に左利きな子供は、右手を使う事を強制されても、心身が傷むだけです。
敗北感や劣等感を植えつけられるかもしれないし、自分というものを否定されたと感じるかもしれません。
敗北感・劣等感を一切知らない、過剰な自信が必要とはいいません。しかし、余計な敗北感を与えることがいいともいえません。
少なくとも、これは「立派な大人はみんな、これを乗り越えて大きくなった」というような種類の試練でないことは確かだと思います。
右利きの子が、
「左手で何でも(せめて字だけは、箸だけは)できるようにならなければけなされる」
という状況で苦しみ、それができなかった劣等感を植えつけられるということは考えにくいですから。

いわゆる普通の道具を「右手用の」道具と言ってもらいたい。
右手専用の道具を左手で使いにくいのは自然な事だということを、アピールできる、わかってもらえると期待します。