善長谷教会は長崎市深堀の山中にある教会です。


教会の前には、小説にも描かれていた大きな椋の木が立っていました。


よく見ると、木には今も鐘が吊してありました。
教会の建物は建て替えられていましたが、木と鐘は今も当時の面影を残しているようです。

古賀十二郎がここを訪ねたのは大正14年のことですが、その時の教会の様子が小説「長崎ぶらぶら節」には次のように書かれています。
「屋根の先端には十字架はあるが、どう見てもただの農家だった。教会の前に、高さ十数メートルはあろうかという大きな椋の木が一本立っていた。その木の中ほどの高さの太い枝に古びた鐘がさがっていた。幹には梯子が立て掛けられてある。梯子を登って誰かが鐘をたたくのだろう。この背の高い椋の木はこの教会の鐘楼の役目をはたしてきたのか。そう思ってもう一度見直すと、教会と椋の木は絶妙ともいえる美しい取り合わせであった。」
よく見ると鐘が吊られている枝は大きく切断されていて、100年の歳月に耐えた跡がうかがえます。「ただの農家」に見えたという教会も建て替えられ、当時とは違った「教会と椋の木は絶妙ともいえる美しい取り合わせ」を見せています。
「古びた鐘」も新調されたのでしょう。

教会の中も見学させてもらいました。

見学上の注意事項の一文「ここは観光施設ではありません」を目にしたとき、小説の中の、古賀と村人とのやりとりが蘇り、ここは受難の時代にも耐え、信仰を守り抜いた祈りの場だということを再認識しました。
教会を少し下りたところにルルドがありました。





「ようこそ善長谷ルルドへ」の説明板

この洞窟は自然のものではなくて、信者が「冬は寒気に耐え、夏は炎暑にやかれながらも、喜びと祈りを込め1年半の工期を経て完成した」と書かれています。
再び教会の前

教会の前には海が広がっています。

香焼

高島
この景色は、ここに暮らす人たちの心を癒やし続けてきたのでしょう。