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子どもに納得させること

2009年03月03日 | フィギュアスケート
 女子選手の体重管理について、長光歌子コーチの指導法にちらりと触れられていたのですが、どうして体重管理をしなければならないか、子どもたちに納得させるための方法がとても印象的でした。

 1キロの水ボトルを持ってごらん、と説明するそうです。
 そんなものを抱えて跳べば、当然ジャンプが跳べなくなります。
 1キロ体重が増えるということは、この水ボトルを抱えて跳ぶのと同じなのだと、理屈ではなく実感で納得させるんですね。(詳しい内容は梅田さんのブログでどうぞ。)

 子どもが成長するのは当たり前ですし、身体は日々刻々と変わっていきますから、それに合わせてジャンプも矯正しなくてはいけないし、減量ばかりすればいいというものではありません。

 でも根本部分で子どもたちになぜそれをする必要があるのか、自覚させるのはとても大事です。頭ごなしに、太るから間食するな!とか筋力トレーニングをしなさい!と言ったって、どうしてそれが必要なのか実感しなければ、真面目にととりくもうなんてしないですよね。
 ですから説明しなければいけない。けれど理屈で説明しても子どもには伝わりにくい時があります。そうした時に身体を使って実際に体感させたり、わかりやすい比喩を出してかみ砕いて説明させてあげることが必要になります。

 私が一時期教育産業に勤めていた時、生徒たちにはどう言ったらわかりやすいか、すんなり納得できるのか、ということを考えて子どもに接するように指導を受けました。 
 例えば子どもに毎日勉強することがどうして必要なのか?一夜漬けがなぜだめなのかを納得させるとき、上司の先生が示した手本はこんな感じでした。
 「りんごが目の前に10個ある。これを全部一気に食べろと言われても、とても無理。けれど1日1個ずつ10日間で食べなさいと言われたらそれはできるよね。
 同じように勉強も一気に全部覚えるのは無理。けれど少しずつなら覚えられる。だから毎日やることが大切なんだ」
 これは小学4年生くらいの子相手の説明でした。こんな感じでわかりやすい例えを常に考えていましたね。

 長光コーチが実際に生徒たちに水ボトルを抱えさせてジャンプを跳ばせているのかはわかりませんが、彼女はそういう風に子どもの目線に立って、彼らがすんなり納得できるように説明するための上手なメソッドをたくさん持っている人なのではないかと思います。

 人あたりはとても良いけど、実は相当頑固そうな高橋大輔選手が、長光コーチをあれほど信頼しているのは、中学時代からの信頼関係もあるでしょうが、長光コーチのこういう部分にも理由があるのではないかと思ったエピソードでした。