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2013ISU世界選手権 女子シングルショートプログラム

2013年03月15日 | ISU Championships
女子シングル

公式リザルト プロトコル

ケイトリン・オズモンド選手(カナダ)
今シーズン急激に頭角を現してきました。スケートカナダで優勝した時、先に結果を見て「え?」と思いましたが、演技を見たら納得。CoP方式のお手本のような選手。GOEの加点基準を参照しどうしたら点を取れるかをコーチと振付師が研究し尽くしたような振付け。そしてそれを忠実に実行できるだけの力を持っているといつみても感心してしまいます。
FSSp以外のすべての要素がレベル4。ジャンプも含めた7要素すべてにGOE加点がされています。
リンクの上ですごく大きく見える選手。本当に17歳!?と聞きたくなるくらい華やかでしなやかで色っぽい。マンボは明るい曲調的にミスをすることが許されない曲だと思うんですが、自信を持って堂々と滑ってましたね。自国開催で初出場のワールドでこれは凄い。
StSqは観ていて笑顔になってしまう楽しさに満ちていて最後まで全く飽きさせないプログラムです。
FSもプレッシャーに負けないでのびのび滑ってほしい。これからの活躍が本当に楽しみな選手です。

ユナ・キム選手(韓国)
1年のブランクを置いた後で復帰してくるのがどれほど大変なことか。試合に対する恐怖感。今までの実績が実績なだけに下手なものは見せられないというプレッシャー。ずっと試合に出続けていくことも大変ですし、どちらが偉いという問題ではありませんが、復帰に至るまでのトレーニングは本当に厳しいものだったと思います。
立ち位置についてポーズを取ったところから目が離せないものがあって、演技中ずっと静かな迫力を感じました。
3Lz+3Tはファーストジャンプの幅が凄いですね。セカンドはさすがに五輪時ほどの高さは無かったですが、それでもまだこれだけ跳べるのは凄い。3Fのエッジエラーは、以前の採点だったら「!」がつく程度のものですね。今シーズンは「e」がついてもある程度ジャンプに流れがあるなら減点もさほどされないので、ここでも最小限の減点で済んでいます。
スピンのレベルの取りこぼしがもったいなかったですね。

グレイシー・ゴールド選手(アメリカ)
緊張もあったと思いますが、最後まで笑顔で元気いっぱいに滑ってくれました。
最初の3Lz+3Tは着氷に流れは無かったですが、回転自体は問題ないように見えたのですが、スローで見るとエッジがぐらついていましたね。この時点でUR判定取られたような気がします。厳しいですね。
要素間のTRを充実させて滑ることができるようになってきたら、もっと評価されてくる選手だと思います。

鈴木明子選手(日本)
全体としての印象は悪くなかったですが、気持ちに余裕があって曲の中に入りこめているときの彼女は、もう少し背中から肩、腕にかけての身体の使い方に余裕があって、しなる鞭のような動きができるので、それに比べると今回はちょっと動きが小さかったかな。このあたりはワールドだという緊張感もあったと思います。それでも目線を飛ばして決めるところは決めて、ハイドロブレーディングで観客から歓声が聞こえたのは嬉しかったです。
3T+3Tのセカンドは回転に余裕が無くステップアウト。四大陸選手権のテクニカルなら見逃してくれたかもしれませんが、ここでは即UR判定でした。3Fも空中姿勢に余裕が無かったので結構減点されてGOE加点がほとんどつかず残念。
最終グループから漏れてしまいましたが、上位との点差はわずかなので、気持ちを切り替えて明後日は頑張ってほしいです。何より完成版の「O」が見たい。あの滑りにあのプログラムに心を打たれない人なんていない。いい演技をすれば順位はおのずとついてくると信じたいです。

アデリナ・ソトニコワ選手(ロシア)
GPSはずいぶんと苦しんでいて、周囲の期待の大きさに押しつぶされやしないかと、見ていて心配になりましたが、ヨーロッパ選手権から殻を破った感があります。
今季が正式なシニアデビューとは思えないほどすでに風格のある選手ですが、成長の余地はたくさんあって、将来どんな選手になるか本当に楽しみにしています。
中盤のスローパートでの余裕を持った表現は本当にこの間までジュニアだったの?と聞きたくなりました。3T+3Tのセカンドの判定は厳しいように思えましたが、スローで足元だけ見るとこれは仕方がないですね。LSpでバランスを崩したのが残念。
でもこういう演技を続けて行けばPCSも上がってくると思います。
終わった後に満足そうな笑顔が見られて嬉しかったです。

エリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手(ロシア)
公式練習から調子がよくなさそうだというレポートは目にしていました。
それでも3Lz+3Tをしっかり決めてきたのは凄い。途中まで上手くいっていただけにFSSpの入りで転倒し、動揺を引きずったのかアクセルがポップしてしまったのが痛恨のミスでした。
こういうこともあります。今日の失敗から気持ちを切り替えて、FSでは「リーザここにあり」と言うところを見せてほしいです。それだけの力はある選手ですから、頑張って。

村上佳菜子選手(日本)
スピン、ステップすべてでレベル4を取り、ジャンプは基礎点の高い3T+3Tに3Fを係数1.1倍になる後半に2つも配置、とすごく攻撃的な構成を全部成功させました!TESは全選手1位です!おめでとう!!
昨季からずっと取り組んできたしっとりした曲調での大人の演技。もうそんなこと意識しなくていいくらい、本当に成長してきたなあと思います。背伸びしなくてもこういう曲ができるだけの力を身に着けてきた。それは精神面の成長もあるだろうけど、彼女がいつも誠実に曲と向き合ってきた結果だとも思います。
FSも気負わず焦らずいつもの佳菜子ちゃんで頑張ってほしいです。

アシュリー・ワグナー選手(アメリカ)
すべてのジャンプに余裕があって綺麗でした。特に最初の3Fの高さと幅が申し分なかったです。GPEでも1.0点の加点もらえていますね。
スピンのレベル取りこぼしが無ければもうちょっと点数伸びていましたね。
ステップは大分よくなってきたけれど、ここがもう少しスピードが落ちずにできるようになればPCSももっと上がってくると思います。
頑張れアシュリー。FSは彼女の十八番の曲調なので、素晴らしい演技が見られることを期待しています。

カロリーナ・コストナー選手(イタリア)
身のこなしがほかの選手とは別格。どの瞬間を切り取っても美しい。
これまでのカロはジャンプをミスしてしまうといつもそのあとも危なっかしい瞬間が結構あって、がっかりしてしまうことも多いのですが、今のカロは本当にこれまでとは全然違うなと思いました。
ミスしたことを忘れてしまうような演技。本当に強くなりましたね。
ステップに入る前の恐怖に彩られた表情もはっとさせられ、2分50秒間のドラマを見た気分です。
最後のスピン二つも完全に惑乱と恐怖を表す振り付けとして機能していて技術要素をこなしている感がまるでない。
PCS1位は納得の出来でした。



全体的に今回のテクニカルパネルはスピンのレベル判定が厳しかったように思えます。ジャンプの回転不足判定も甘くは無かったですね。
ジャッジの点数のつけ方に一つ疑問があり、もう一度今シーズンのGOEのガイドラインを記載したcommunicationNo.1724を確認しましたけれど、両足着氷のジャンプはGOE減点が最大-3で、加点と相殺するにしても「最終的なGOEはマイナスにしなければならない」という規定に入っていますね。それなのに加点がついている選手がいるってどういうことでしょうか。ラッキーって喜んでしまっていいんだろうか。
こういう判定、たまにありますけどそのたびにジャッジのルール理解度が不安になります。この後のジャッジミーティングでレフェリーにつっこまれたらどう釈明するんでしょうか?