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ちょっと思うこと

2013年05月10日 | フィギュアスケート
 フィギュアスケートとは直接関係ない話からです。
 日テレ系列の地上波バラエティ番組で頻繁に取り上げられているのでご存知の方もいらっしゃると思うのですが、全日本吹奏楽連盟の主催する全国吹奏楽コンクールには「三出制度」(※2013年度から廃止)というのがあります。どんな制度かというと、「全国大会に3年連続で出場した団体はその3年目の翌年は予選(県大会等)から出ることができない、つまりコンクールに出場できない」という制度です。
 強豪校・団体ばかりがその地域の代表になってしまうと、他の学校や団体は全国コンクールのレベル・雰囲気を知ることができず、全国の吹奏楽のレベル向上につながらないという意図から、全国大会へ行ける機会を全国常連の学校・団体以外にも与えようということで行われてきたものです。
 ただ中学・高校生は引退年となる3年生時にこの「三出制度」に当たってしまうと、最後の集大成としたい年に最初から全国へ挑戦する機会そのものも奪われてしまうわけで、当然賛否両論の意見が出ていました。(しかし廃止するということは吹奏楽連盟の求める基準に全国的に達したということでいいんですよね。)

 このことについて前に母と会話していたのですが、
 私「××高校が今年『三出制度』で出られないんだよね~」
 母「そうなの?」
 私「うん。いつも思うけど最初からチャンスすらもらえないのってどうかと思うし、他の高校の子たちも××高校の演奏聴きたいと思うのに、もったいないよね」
 母「そうね。それに××高校を倒す目的で練習している高校も目標見失っちゃうよね」
 私「へ?いや、倒すとかそういうのじゃなくて。評価ってその時の自分たちの演奏で決まるものだし、そこに倒すとかないから」
 
 母の言ったことは、まさに「その発想は無かった」でした。
 私は中学時代は吹奏楽部だったのですが、コンクールに出て「××中学を超えよう!」とか「前の中学より上手い演奏しよう!」なんて思ったことはありません。自分たちの演奏で精いっぱいで、間違えないか、指揮者の先生の指示を漏らしてないか、ちゃんと自分の理想とする音が出せたかどうかに意識が集中していて、他の学校の演奏を気にする余裕なんてありませんでした。
 もちろんリハーサルでいい演奏を耳にすれば「上手いなあ。凄いなあ」と思い、自分たちはここまでの演奏ができているかと不安になったり落ち込んだりとかはありましたが、誰かを上回るために演奏をしようと思ったことは一度もありません。
 「金賞を取りたい。上の大会に行きたい」という気持ちはありましたが、それを決めるのは自分たちではなく、本番どれだけの演奏ができたか、にかかっていたからというのもあります。
 本番が終わればリラックスして他の学校の演奏も楽しんで聴くことができましたけどね。

 フィギュアスケートの選手たちも心境としては似たような気持ちで試合に臨んでいるのではないかと思っています。
 誰より上だったか下だったかというより、自分の演技ができたか、できなかったか。
 コンクールとコンペティションは違いますし、実際にはライバルがミスするのを見て裏でガッツポーズしてしまったとか正直に告白しちゃう選手もいますが(笑)、それでも自分も油断してミスしてしまったら意味のない事ですし、誰かの出来に左右されるよりも、結局は自分の演技次第だというのはあまり変わらないのではないかと思います。

 なので、マスコミの「打倒○○」というような、選手を倒すべき敵扱いし、対立構造を煽り、××に勝つにはどうしたらよいのか、と専門家に尋ねるような報道はどこかずれているし、この競技にはそぐわないもののように感じます。

 そのあたりの違和感を本来ならスケート連盟や解説者、コーチが指摘し、軌道修正を図るような働きができるといいと思うのですが、やっぱり「取り上げてもらっているうちが華」ということで、取り上げ方には目をつぶっているのが現状なのでしょうか。
 でも誰かが声を上げないと競技の本質が根本から崩されていってしまうような気がして心配でならないです。