トゥエンデ ポレポレ

マライカのひとりごと

パレト(その二)

2009年08月28日 | 東アフリカの植物さんぽ道


パレト摘みは、パレトの花くびを人差し指と親指をハサミのようにして
左右の手を交互に動かしながらリズミカルに摘んでいきます。
中腰の姿勢が長く続く作業なので見た目より労力がかかりますが、
ショショ(おばあちゃん)の手の動きは早く、腰につけたムケベ(容器)
にパレトをどんどん入れていきます。



ショショの娘さんもパレト摘みを手伝います。



パレトは耐干性があるだけでなく耐寒性もあり、ケニアの標高2000m以上
ある冷涼なキクユ高地の土壌によくなじみ、ケニアの主要産業のひとつとまで
なっていました。
ケニア・リムル地方のパレト産業が衰退した大きな原因は合成アレスリンの
台頭ですがもうひとつ、これらのパレトを買い上げるケニア政府の価格が不当
に低すぎるため、多くの小規模農家がパレト栽培をやめてしまいました。
ケニアはパレトが不作というようにいわれていますが、現実にはパレトはこの
ような厳しい干ばつにも耐えうる強い有用植物で、しかしパレトを栽培して
も小規模農家の生活の支えにならないためパレト離れが起こっている、という
のがケニア・リムル地方のパレト産業のもうひとつの裏の現実です。

パレトの殺虫力は合成殺虫成分アレスリンほど強くありませんが、パレトの
蚊取り線香は目やのどに刺激が少なく、人体と大地に安全で安心です。
自然のものが見直される昨今パレトの薬効成分が再研究され、さらに拡がりと
可能性のある植物としてリムル地域のキクユの大地に復活することを願って
やみません。



ショショに写真撮らせて、とお願いすると、ショショは恥ずかしがり
そのはにかんだ動作と表情がかわいい少女のようでした。



ショショの摘んだパレトも見せて、と頼むと、ショショは大切な宝ものを
見せる子どものようにそぉ~っと見せてくれました。



ショショの摘んだパレトです。やさしい香りがします。
ショショによると、これらパレトは摘んだあとムケカ(ござ)のうえで
二、三日天日干しするそうです。
わたしはこの生の花のままほしくて、ショショからこの摘みたての
フレッシュパレトをゴロゴロモジャ(ひと缶)譲ってもらいました。
パレトの用途はいろいろありそうで、何ができるか楽しみです。

ショショ家族のパレトと笑顔は、キクユの乾いた大地で出会ったオアシス
のようで、わたしはパレトを大事に抱えて家に持って帰りました。
パレトの匂いに包まれてしあわせな昼下がりでした。






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