王宮護衛団本部では罵声が響く。
「フザケてんのか!?
悪魔どもがやって来るってのに、王城区域の警備強化だぁ!?
城下町の北門に出て、悪魔どもを迎え撃てばいいだけじゃねーか!!!」
ごもっとも。
だがそんな簡単に迎え撃つ行動が取れないのも分かりきっていた。
分かりきっていたから余計に腹が立つ。
「自衛と批判しか能のない腐れ貴族どもが!」
「少しは落ち着け。」
王宮護衛団責任者のセイクレッド・ウォーリアは、
「フザケてんのか!?
悪魔どもがやって来るってのに、王城区域の警備強化だぁ!?
城下町の北門に出て、悪魔どもを迎え撃てばいいだけじゃねーか!!!」
ごもっとも。
だがそんな簡単に迎え撃つ行動が取れないのも分かりきっていた。
分かりきっていたから余計に腹が立つ。
「自衛と批判しか能のない腐れ貴族どもが!」
「少しは落ち着け。」
王宮護衛団責任者のセイクレッド・ウォーリアは、
目の前で吠える息子を前に肩をすくめる。
「護衛団の北門班だけでどうにか出来る相手じゃねーぞ。
日和見なとこで無聊を託ってる場合かよ!」
「言い分は分かるがな、女王の話では今回我々の出番は無さそうだ。」
「・・・どういう事だ?」
「アークデーモンが、第4棟を敵に回したらしい。
ウェストブルッグ家が動いている他、寺院前の花屋も関わっている。
挙句、星界の陣が自ら駒を1つ送り出した。
マルコシアスだったか、俺も一度顔合わせをしたが、
「護衛団の北門班だけでどうにか出来る相手じゃねーぞ。
日和見なとこで無聊を託ってる場合かよ!」
「言い分は分かるがな、女王の話では今回我々の出番は無さそうだ。」
「・・・どういう事だ?」
「アークデーモンが、第4棟を敵に回したらしい。
ウェストブルッグ家が動いている他、寺院前の花屋も関わっている。
挙句、星界の陣が自ら駒を1つ送り出した。
マルコシアスだったか、俺も一度顔合わせをしたが、
あれは正真正銘のバケモンだな。
実力はお前と互角かもしれん。」
「星界の陣は国の組織だからまだいいが、他は一般国民だろ。
民まかせってのは問題じゃねえのか?」
「フィルがくっついている、目付役も兼ねてな。
まぁヴェスターんとこの嬢ちゃん・・・ケイトだったか、
実力はお前と互角かもしれん。」
「星界の陣は国の組織だからまだいいが、他は一般国民だろ。
民まかせってのは問題じゃねえのか?」
「フィルがくっついている、目付役も兼ねてな。
まぁヴェスターんとこの嬢ちゃん・・・ケイトだったか、
あれは感が良すぎるから、目付っての黙認して
フィルと行動しているだろう。」
「・・・なるほど、この機会にフィルの実力を
「・・・なるほど、この機会にフィルの実力を
無理矢理でも引きずり出そうって魂胆か。
ならアテが外れたな。」
「フィルでは実力不足だと言うのか?」
「何言ってんだ、逆だ。
アークデーモン相手でも真の実力なんか欠片も出ねえよ。」
セイクレッドの息子アルフレッドはそう言うと背を向けた。
「どこに行く?」
「言いつけ通り王城区域の警備に戻る。
他の奴らにも説明する必要があるしな。」
「ああ、それは任せた。」
アルフレッドはそのまま去っていった。
セイクレッドがニヤリとする。
「デーモンスレイヤー(悪魔殺し)の異名を持つお前に
ならアテが外れたな。」
「フィルでは実力不足だと言うのか?」
「何言ってんだ、逆だ。
アークデーモン相手でも真の実力なんか欠片も出ねえよ。」
セイクレッドの息子アルフレッドはそう言うと背を向けた。
「どこに行く?」
「言いつけ通り王城区域の警備に戻る。
他の奴らにも説明する必要があるしな。」
「ああ、それは任せた。」
アルフレッドはそのまま去っていった。
セイクレッドがニヤリとする。
「デーモンスレイヤー(悪魔殺し)の異名を持つお前に
そこまで言わせるか。
まあ、フィルのお手並み拝見と言ったところだな。」
ケイトたちが家を出た後、母アニスの薬局にお客様が見えていた。
「素材は全てこちらでご用意致します。
引き受けていただけないでしょうか。」
「・・・結構な数ですわね、まぁいいですけど・・・。
どこかの国と戦争でもなさるのかしら?」
どうやら国からの依頼らしい。
戦争などと語るあたり、大量の回復系ポーションを依頼されたのだろう。
「今夜あたりヴェスター殿からお聞きになると思いますが、
まあ、フィルのお手並み拝見と言ったところだな。」
ケイトたちが家を出た後、母アニスの薬局にお客様が見えていた。
「素材は全てこちらでご用意致します。
引き受けていただけないでしょうか。」
「・・・結構な数ですわね、まぁいいですけど・・・。
どこかの国と戦争でもなさるのかしら?」
どうやら国からの依頼らしい。
戦争などと語るあたり、大量の回復系ポーションを依頼されたのだろう。
「今夜あたりヴェスター殿からお聞きになると思いますが、
悪魔の軍勢が城下町にやってきます。
それの対応と聞いております。」
「・・・分かりました、お受け致します。」
「とりあえず20本急ぎで欲しいのですが、
それの対応と聞いております。」
「・・・分かりました、お受け致します。」
「とりあえず20本急ぎで欲しいのですが、
いつ頃に来れば宜しいでしょうか?」
え、急ぎで20?
・・・あ、そういう事か。
アニスは一瞬疑問に感じたが、すぐに理解したようだった。
だけど・・・。
この薬だけで大丈夫なのかしら。
それは国も分かっているはず・・・よね?
考えても仕方ない、か。
「明日の朝イチで来て下さい。
20本用意致しますわ。
但し、夜間の間にも装置を動かしますので、
え、急ぎで20?
・・・あ、そういう事か。
アニスは一瞬疑問に感じたが、すぐに理解したようだった。
だけど・・・。
この薬だけで大丈夫なのかしら。
それは国も分かっているはず・・・よね?
考えても仕方ない、か。
「明日の朝イチで来て下さい。
20本用意致しますわ。
但し、夜間の間にも装置を動かしますので、
割増料金で請求しますけど。」
稼げる時はとことん稼ぐアニスであった。
目の前の優男は即答で
「はい、もちろんそれでOKです。
宜しくお願い致します。」
そう言って、優男は契約書に自らの名前をサインした。
アニスが確認する。
「はい、確かに。
名前はルクター・ソーンね。」
「では明日の朝、お伺いします。」
ルクターはニコニコ顔で薬局を後にした。
「ルクターがまた出張に行くんだって?」
エルとイヴがニードル本部のロビーで
稼げる時はとことん稼ぐアニスであった。
目の前の優男は即答で
「はい、もちろんそれでOKです。
宜しくお願い致します。」
そう言って、優男は契約書に自らの名前をサインした。
アニスが確認する。
「はい、確かに。
名前はルクター・ソーンね。」
「では明日の朝、お伺いします。」
ルクターはニコニコ顔で薬局を後にした。
「ルクターがまた出張に行くんだって?」
エルとイヴがニードル本部のロビーで
コーヒーを飲みながら受付嬢と話をしていた。
「ええ、またマーキュリー領地に。
北から悪魔が来るので、
「ええ、またマーキュリー領地に。
北から悪魔が来るので、
西門からガベラ山脈沿いに遠回りするみたいですけど。」
「御苦労様なことで。
悪魔たちの進行速度は分かってるの?」
「ゆっくりと近付いてくる感じらしいです。
国に対して恐怖を植え付けようという考えじゃないかって。
たぶん明日の夜には北門に到着するという話だったけど。」
「なるほど、ドス黒い悪魔の考えそうなことだわ。
ま、間に合ったみたいだからいつでもいいけど。」
エルがそう言った直後、ケイトの妹キャサリンが玄関から入ってきた。
「エルー、できたよー。」
そう言ってキャサリンがエルに手渡したのは投擲武器。
元々投げナイフやダガーを主に使ってきたエルだ。
それの悪魔対策という事なのだろう。
イヴが素直に驚く。
「いつの間に頼んでたの?」
「念話でなんとでもなるでしょ。」
・・・。
グウの音も出なかった。
それにしても変わった武器ね。
先端に向かって鋭く尖っていて、突く事に特化した短刀みたい。
エルはイヴに説明するように言う。
「これは苦無っていう投擲に特化した武器。
御庭番に忍者が一人いたでしょ。
手裏剣は扱いが難しいから、短刀みたいな投擲武器はない?
「御苦労様なことで。
悪魔たちの進行速度は分かってるの?」
「ゆっくりと近付いてくる感じらしいです。
国に対して恐怖を植え付けようという考えじゃないかって。
たぶん明日の夜には北門に到着するという話だったけど。」
「なるほど、ドス黒い悪魔の考えそうなことだわ。
ま、間に合ったみたいだからいつでもいいけど。」
エルがそう言った直後、ケイトの妹キャサリンが玄関から入ってきた。
「エルー、できたよー。」
そう言ってキャサリンがエルに手渡したのは投擲武器。
元々投げナイフやダガーを主に使ってきたエルだ。
それの悪魔対策という事なのだろう。
イヴが素直に驚く。
「いつの間に頼んでたの?」
「念話でなんとでもなるでしょ。」
・・・。
グウの音も出なかった。
それにしても変わった武器ね。
先端に向かって鋭く尖っていて、突く事に特化した短刀みたい。
エルはイヴに説明するように言う。
「これは苦無っていう投擲に特化した武器。
御庭番に忍者が一人いたでしょ。
手裏剣は扱いが難しいから、短刀みたいな投擲武器はない?
って聞いたらこれを教えてくれたのよ。」
言いながらイヴに10本渡す。
「地下の訓練施設に行くわよ。
今のうちに扱いを覚えておきなさい。」
はい?
「ちょっと・・・エル、それってつまり・・・。」
「もちろん悪魔狩りに行くに決まってるでしょ。」
「・・・聞いてないわよ!?」
「だから今言ったんでしょ。
悪魔の素材は高価なの。」
「だからって、あたしたちも狩るの!?」
そこに、ボソッと一言ホエホエが追加する。
「あたしも狩りに行くよー。」
へ?
このホエホエが?
イヴはまだ、キャサリンが戦う姿を見た事が無かった。
だから余計呆気にとられる。
「大丈夫・・・なの?」
「発明家に素材は欠かせないんだよー。」
相変わらずのノンビリ口調であったが、そこにエルが割って入る。
「イヴ、キャサリンより討伐数少なかったら、罰ゲームね。」
え・・・。
この娘に負けるわけないでしょと言いたかったが、
言いながらイヴに10本渡す。
「地下の訓練施設に行くわよ。
今のうちに扱いを覚えておきなさい。」
はい?
「ちょっと・・・エル、それってつまり・・・。」
「もちろん悪魔狩りに行くに決まってるでしょ。」
「・・・聞いてないわよ!?」
「だから今言ったんでしょ。
悪魔の素材は高価なの。」
「だからって、あたしたちも狩るの!?」
そこに、ボソッと一言ホエホエが追加する。
「あたしも狩りに行くよー。」
へ?
このホエホエが?
イヴはまだ、キャサリンが戦う姿を見た事が無かった。
だから余計呆気にとられる。
「大丈夫・・・なの?」
「発明家に素材は欠かせないんだよー。」
相変わらずのノンビリ口調であったが、そこにエルが割って入る。
「イヴ、キャサリンより討伐数少なかったら、罰ゲームね。」
え・・・。
この娘に負けるわけないでしょと言いたかったが、
キャサリンに何を感じたのか、
イヴはいそいそと地下の訓練施設に向かう。
「・・・初めての武器だからね。
練習してみるわ。」
悪魔を狩る。
それも迷宮ではなくオープンフィールドで。
この情報は、当然のように冒険者ギルドにも流れていく。
「・・・初めての武器だからね。
練習してみるわ。」
悪魔を狩る。
それも迷宮ではなくオープンフィールドで。
この情報は、当然のように冒険者ギルドにも流れていく。