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後から家に帰ったお母さんは、一度だけ僕の部屋を覗き、深くため息をついてリビングへと戻って行った。
しばらくして、お父さんに電話をしているらしい声が、ドア越しに聞こえてきた。
単身赴任で遠くに住んでいるお父さんをあまり心配させたくないからと、少々の事では電話をしないお母さんが、珍しく自分からかけたようだった。
「葉介を傷つけてしまったかもしれないの…。
私…私…一体どうしたらいいのか、わからないわ…」
泣いているようなお母さんの声は、夜遅くまで聞こえていた。
そして僕は、いつの間にか眠ったらしい。
気がつくと、カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいた。
台所から、朝ごはんの良い匂いがする。
着替えを済まして部屋を出ると、お母さんがいつものように言った。
「おはよう、葉介。ほら、早く食べないとご飯冷めちゃうわよ」
泣き腫らしたような目をしていたけれど、お母さんの態度は、いつもと全く変わらなかった。
そのおかげで、僕もいつも通りにする事が出来た。
でも一つだけ、僕はいつもとは違う僕になった。
それはもう二度と、普通の人には見えない何かを見たと、誰かに言わないと心に決めた事だった。
その後の僕とお母さんの間では、僕がその話をしない事もあって、あえて触れない部分になった。
だけど僕は相変わらず、タバコ屋さんの角の前に立つおじさんを見るし、それ以外にも色々な人を見ることは変わらなかった。
ただ僕には、その人が生きているのか死んでいるのか、その違いが分からなかったから、家の外に一歩出ると、帽子やフードをかぶって、一切の物に目を向けない癖がついていった。
完全に生きている事の証明できる人が、話したり関わっているかを確認してからじゃないと、話す事も触れる事もしなかった。
その事で、何回かお母さんは学校に呼ばれていたみたいだけど、学校にも僕にも、何も言うことはなかった。
(そうだ…。僕はあの時から、随分と薄暗いやつになったかもしれないな。
実際、小中学校時代の友だちは、もうほとんど付き合いがないもんな)
僕は、隣に陣取ったまま、夕べ見たテレビの話を楽しそうにする、光希の顔をまじまじと見つめた。
(ま、こんな僕に愛想を尽かさず、この高校に入学した時から仲よくしてくれてる光希は、ある意味ありがたいよな…)
「な…なんだよ」
光希が急に向けられた僕の視線に、照れくさそうに言った。
「いや、なんでもない。ただ…」
「ただ…? 」
「光希って、いいやつだなって思ってさ」
「な…なんだよ、葉介。急に何を言いだすかと思ったら…ってかお前変だぞ?
朝から変なもんでも食ってきたんじゃないのかよ? 」
そう言って光希は、大きな声で笑うと、僕の背中をばしばしと叩いた。
…痛かった。
でもなんか、嬉しかった。
お母さんとはその後は親子だからさ、見た目には何の問題も無いようにしてきたんだろうけど、どこかで見えない壁なんかもあったりしたんだろうね。
小中学校の友達は、ほとんど付き合いが無いってトコを読むとさ、前にミナモさんに直接聞いた、ミナモさんの子どもの頃とダブった気もして・・・
そんな流れで読んでたら、未完成小説の「彼は星になった」もその頃に話が及ぶから書きにくくなったのかな?なんて思ったりもして、いろいろ僕の中でミナモさんの頭の中を探っちゃったりもした今回の小説でした。
ってか、まだこの話はこれからスタートか
プロローグってトコだもんね。
そうやって考えると、今回のプロローグ部分はみんなの人物像が最初っからわかりやすいから、長編になってもこの部分を読みさえすればすんなりそれぞれの章で(章でわけるのか知らないけどさ)読み出してもすごく読みやすいかもね。
この小説はミナモさんのその時の感情だの想いがこの小説に乗っかってくるような気がしてるよ。章ごとに分けれるだろうから別の小説を書きたくなったらそこに割り込ませられるだろうし、そんなんを思うと忙しいミナモさんだから、長く付き合える小説なんだろうなって感じたよ。
こりゃ楽しみだよ。
こんなにいっぱいコメントをコンスタントに入れてくれてるのに、お返事出来ずにごめんね
そっか。
今回の話は、sadayaan的には裏の裏まで読みとれるって感じだったんだね
なんか恥ずかしいなぁ
でも確かに、小説を書く上で、やっぱり自分の経験や体験なんかを元にする所があるからさ、何となく自分の気持ちや過去にダブるなんて事は多々あるのかもね
そうそう。
今回のメッセンジャーは、そんな感じで考えてもらえると嬉しいね♪
長ーく付き合える長編小説として、頑張っていきたいんだ
って言う事で、今後も末永くお付き合いおねがいしまーす