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書籍処分のついでに(横溝正史編5)(結) 『女王蜂』 (ネタバレ)

2011-03-17 | 読書
『女王蜂』横溝正史

前回、イライラした思いを吐き出したおかげで無事読了。処分決定。
書籍処分のついでに(横溝正史編5)(仮) 『女王蜂』


その名も「大団円」で終章をハッピーエンドで結んでおり、それは結構なのだが、本作における金田一の存在理由が今一つ。
金田一耕助の推理とは無関係に神尾の遺書で事件の真相に関して決着は付いている。
金田一の推理は従って、加納弁護士ひいては読者に対するサービスとしての意味合いしかない。
しかもばら撒いた伏線を回収するために、かなり駆け足の印象である。

しかも自身でことわってはいるものの、早い段階で犯人の目星は付いていたと見苦しい言い訳。
先入観を排し事実のみに基づいて判断するという自身のモットーを優先し、
三宅、九十九、大道寺欣造、神尾を見殺し、ひいては槙の死期を無駄に早めた。

それにしても、第一の殺人、遊佐殺しに関しては、
屋上で殺害→現場の工作→3フロア分を一気に階段で駆け下り→本館から離れそばの家族風呂に到達→窓から浴室に戻る→
入浴して返り血、凶器に付いた血を洗い落とす→体を拭いて着衣→部屋へ戻る

ここまでが10分で完了したというなら、金田一がいかに犯行時刻を誤認しようと
いかなるアリバイ検証も無意味のように思える。

そういえば誤植の追加。
ピンポンがピンボンになってた。しかし30年近くも校正を手抜きするとは。

月琴島や修善寺の情景描写が巧みで、温暖で明るいイメージ。
それが新旧の事件の陰惨さを緩和しているように思う。
多門、智子、九十九など、登場人物も魅力的に描かれている。(文彦、三宅といった例外もあるが)
しかし金田一耕助の役立たず振りと言い訳の見苦しさが鼻につく。


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