56 ツレずれ雑文-17
■ 本を貸すバカ返すバカ
イヌエッチケイBSPでクリントイーストウッド出演の「マディソン郡の橋」が放送されていた。
むかし、その単行本を貸したらとうとう返ってこなかった得意先ゼネコンのHさんの事を思い出した。 理由・・・「次にカミサンが読んでその後どうのこうの・・・」 ついでに1/3も見ていないコルビジェのVHSのビデオもとうとう返ってこなかった。 理由・・・「押入の奥に片づけてしまって簡単には出てこない」
高校時代に国語の先生は「本を貸すバカ返すバカ」と言っていたなあ・・・なんだか気になっていまさら調べてみた。 だいたい、人に貸した本は、だいたい、戻ってこないことをいう。本は安易に人に貸すなといういましめ。返ってこないのがわかっているのに、本を人に貸す方も貸す方だが、借りたら返さないと思われている本を、わざわざ返す方も返す方だということ。「本を貸す馬鹿、戻す大馬鹿」などともいう。
子供の頃、吹雪の中「少年ジャンプ」を友人宅に貸しに行ったことがあった。 母は「それは人が良すぎる、借りたい人が来るものだ」と僕をなじった。 性格は弱かったが友人が喜んでくれるなら届けることは自分にとっては何でもないことだったがそう言われてなぜか腑に落ちなかった。 僕は本を貸しに行くバカだったのだ。
■ ホッケ
XでFF(*1)さんがホッケは好きだが都内では美味しいホッケは食べたことがないとかで、 ヘエ~と思ったらそのFFさん都内育ちだが以前、北海道にいたことがあるという事だった。で、ちょっと調べたら、昔ホッケは良く獲れたので安かった上、鮮度落ちが早いので道外に出ることがなかったそうだ。 皮は厚いがしっかり焼き直して食べる。 数年前に帰省した時にスーパーでフライを見つけたので買ってみた。とても美味しかったがフライは売れ残りそうな鮮度ギリギリの魚がパン粉をまとう運命にあるという観念があって・・・多分どう考えてもそうなのだろうと思ってしまう。
昔、北海道での中学時代では中一の半ばまで給食がなかった時期があって、貧しい農家の同級生は新聞紙で包んだ弁当箱の蓋で隠しながら弁当を食べていた。 覗いてみたらおかずが魚の切り身の一種類だけで、それが多分、ホッケの開きだったなあ。
それから15年ほど経って、札幌の刺身居酒屋が東京進出してきたときに店舗内装工事に立ち会ったことがあった。 夜になって街の居酒屋チェーン店に調査がてら食事に出た。 早速、ホッケの開きを注文した刺身居酒屋の社長、ひと口食べたら「こんな油が落ちたのは食えない!!」とペペッと吐き出した。 その後、東京進出した一号店では当然油の乗ったホッケの開きが提供された。
(いや、 でもね、最近コンビニで50円引きだったホッケ塩焼き弁当を期待なしに食べてみたら案外美味しかったなあ・・)
■ クロシバリュウノスケ
数年前からご近所に黒シバ犬と散歩をされているご年配の紳士の方がおりまして、時々愛犬と自転車引き散歩の途中にご挨拶をさせて頂いた程度だったのだがある日お会いしたら、僕に「歳いくつなの?60才過ぎているならそろそろ危ないから辞めたほうがいいよ~~」とご忠告を頂いた。 ギグレース(*2)ごっこをしていた我々にとっては余計なお世話だよね!! とその後会わないようにしていたがしばらくしてお会いしたら 「最近、走ってるの見ないけどどうしました??」なんてとぼけた事をおっしゃるので「いえいえ、あなたに見つからないようやっていますよ」と答えた。
昨年になって近所の公園のベンチでお話をする機会を得た。 クロシバ紳士は10歳年上でムラコシさんといいガチ阪神ファンで我が同胞であることがわかった。クロシバ犬はパパが虎ファンのくせになぜかリュウノスケくんと言った。それからというもの散歩でお会いするとまずタイガースの話題から始まるというかほとんどその話で帰りがけだった僕らはもう一度ご一緒に散歩コースを戻ったりしたものだ。
■ Mクン
学生の頃、高校時代の友人が下宿先にやってきて「彼女と高速道路をドライブデート中にスピード違反で捕まった。反則金の捻出の為、LPレコードを買って欲しい」とのことで友人宅を回っているという。 実家は寿司店経営の一人っ子で裕福なはずだったがそんな粋な事をする友人だった。 欲しかったLPの中から1枚だけ選んで確か千円で買った。さて、そのレコードはなんだったけ??・・・ああ、思いだせない
(*1 FFはSNS上でのフォロー&フォロワーのことでお互いに認識していることを示す言い方 *2 ギグレースとは、犬ぞりの代わりに自転車とハーネスをつなぎ、犬に引っ張らせる競技)(2023/1011 未発表)
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