ものみだか日記~平井堅のことばかり考えるまいにち(仮)~

ものみだかい私が、ふなふな書いております。
柔軟剤はダウ●ー、料理は卵かけごはん。
そんなマスターに今夜もズキュン!

[生観] おそろしくハイクオリティなジャイアンリサイタル

2004-06-26 22:24:39 | ものみだか生日記
ル テアトル銀座で、市村正親さんのひとり舞台『新 市村座』
を観て来ました。


私は市村さんのものすごいファンというわけではないんですが
(もちろんわりかし好きな俳優さん―というか「この人ならハズレなし!」と信頼してる、ってのが一番近いか)

いろいろ盛りだくさん
でなんだかお祭りっぽくて面白そう、ってのと、
公演期間がちょうど自分の誕生日だったもんで
何かパーッと楽しそうな演目を観たい!と思ってチケットを取ったのでした。

内容から言っても、客席で自分のまわりをぐるーりと見回しても、
「これはもー、ほとんど市村さんのファンクラブイベントやね」と
ある程度ついてけない部分があるのはしょうがないな、と思ってるうちに、開幕。

市村さま、いきなし客席内から登場。マイク片手に「♪ようこそ市村座へ~」と歌いながら
通路脇のお客さんと握手などしつつステージへ。おおお、ソフトな歌声。そして軽妙な語り口。


この時点で私は、上品なユーモアがちりばめられた、「くすっ」ってほほえんじゃうような
オトナのエンターテイメントを想像していました。
BGMにもミュージカルの曲が散りばめられていて、ちょっと「わかる人はわかる」なのかぁ~?
みたいな高尚な感じがしたし。(私は半分知らんかった。たぶん市村さんの出演作メドレー)


最初に「あれ?」と思ったのは2つめのプログラム「口上」のとき。
まあ、要はご挨拶なんですが、その中での市村さんの言葉
「今回も自分本位、自己中心的に…」
ん?んん~?? 普通言わんよな、お客を前に…(笑)。
そうは言っても、普通の舞台でだってサービス精神溢るる彼のこと、
まぁ単に言葉のアヤでしょ、とその時は流しました。

つづいて「音楽講談『噫無情』だけど一人の巻」。(私はこれがいちばん良かった)
「レ・ミゼラブル」に、報われない片想いの末に死んじゃう、
悲惨極まりないエポニーヌ(と聞くと島田歌穂のアゴを思い出す私…)っつー女の子が出てくるんですが、
レ・ミゼラブルの名曲やさまざまな役の声色を巧みに織り交ぜた「音楽講談」スタイルで
市村さんが彼女を主役に物語をかたるのですよ。
てっきり「50過ぎたオッサンがエポニーヌ?わはは」と、絶対パロディだと思い込んでたんですが
これが大っ間違い!
レ・ミゼラブルっちゅー話やミュージカルでの曲そのものがすでにドラマチックなん
でしょうが、
市村さんの歌い語り?に引き込まれて、どんどんエポニーヌに感情移入。
彼女が天に召されるエンディングでは、ほろりときました。(でもあんな報われない恋は嫌)

一転して、ヘボさがご愛嬌の西洋奇術。まぁ、手品(笑)。


このあたりで2度目の「あれ?」
……普通、こんなヘボヘボなマジック、人前でやらんよなぁ。
いや、そのヘボさをネタに、人を引き込む市村さんの「芸」は素晴らしい。
だが、考えてみれば、エポニーヌだってついつい泣かされちゃったけど、
冷静に考えたら、裏声で小さな女の子(リトル・コゼット)の歌を歌う50過ぎのオッサンて…。


休憩をはさみ、この日とのメインとも言うべき 芝居仕立人情喋『文七元結』。

この時点で私は確信しました。
「このおっちゃん、本気でに自分の好きなことだけやってないか…?;」
この演目、歌舞伎や落語では人情モノとして有名らしいですが、
普通、選ばんだろ、こんな演目…。
いや、そもそも歌舞伎役者でもないのに羽織袴で口上だとか、講談だとか。
異様に和というか伝統芸能というか、昔っからの庶民の娯楽?に走ってますね。
なんだか、いわゆるミュージカル俳優のイメージとは、ほど遠い気が…
実際、私のイメージしていた「市村正親ひとり舞台」とは、じぇんじぇん違ってたのでした。
このギャップはやはし「ひとり舞台だから好きなこと詰め込んじゃえー!」の表れなのか?
そういや「大変だ大変だ」といいつつ、満面の笑み…

口上での「自分本位」「自己中心」という四字熟語が、脳内をリフレイン。
そそそそれってまるで、ジャイアンリサイタル
のび太のものはオレのもの。オレのものはオレのもの。
ギャグじゃなかった、本気だったのね…。
だがしかし、観ている側は何を演じられても、そのクオリティの中差にひれふすしかないのじゃ。
そう、「オレさまに逆らうのか~!?」とジャイアンにスゴまれたのび太のように…


最後の「大喜利」(ってつけるあたりが、また趣味だな)、すごかった。
キミドリにピンクの着物に、ギンギラギンの袴で(いや将軍様よりはシックだけども)、
大熱演で歌うは故・三波春夫の浪曲調の大曲「俵星玄蕃」。

驚きません、もう私、驚きません。

もうね、観てるこっちが好きだとかなんだとか、関係ないです。
市村さんが、楽しければそれでいいんです!
勢いと芸さえあれば、何をやったところで、観てる側は巻き込まれるしかないのです!!
いやー、あれだけ利己主義に走られて、ちゃんとエンターテイメントとして成り立ってるのがスゴい。
昔、高校の政経の時間に習った、
「個人の利益を追求することが、ひいては社会の利益を生み出すんじゃ」
みたいな文言を思い出しました。誰の言葉かは忘れたけど。


そして思いました。

「人間、いくつになっても体力とよくわからん勢いがあれば、どーとでもなるな」

そして、実力さえあれば、何でも好きなことやってゆるされるのだ!
55のオッサンに元気付けられた、三十路のバースデイイブでした。いや、ええもん観た。


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