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日本共産党 群馬・太田市議 水野正己のブログ
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高校授業料無償化-県と太田市で対応に違い

2010年06月12日 | 子育て・教育

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高校授業料無償化
留年した場合
県と市で違い


  今年4月から高校の授業料が無償化されたことにともない、都道府県や市町村は公立高校の授業料に関する条例の改正を進めています。
  太田市でも、6月議会に条例改正案が提案されています。

留年の場合
太田市は無償化せず
群馬県は無償化


  しかし太田市の条例改正案では、市内に1校ある市立高校である商業高校の授業料について、留年した期間は「授業料を徴収」としています。

  いっぽう、やはり6月議会に条例改正案を提案している群馬県は、留年した場合でも「授業料は不徴収」としています。

  県教委と市教委に、あらためて問い合わせたところ、次のようなことが分かりました。

群馬県

  県教委では、留年した場合は一律「不徴収」とし、例外として既卒者(一度高校を卒業した人が再度入学した場合)のみ「徴収」としています。

太田市 

  太田市教委では、留年の場合は原則「徴収」とし、「特別の理由」のある場合に授業料を免除とするとしています。

  市教委のいう「留年した場合に授業料を免除できる『特別の理由』」とは、どんなものかを確認すると、「おもに経済的な理由」が考えられるが、ケース・バイ・ケースで病気などほかの理由でも授業料を免除することは考えられるとしています。

「原則・徴収」か
「原則・不徴収」か
県と市で決定的な違い

  留年した生徒の授業料を「原則・不徴収」とするのか、「原則・徴収」とするのか。

  県と市では「原則」という“入り口”で決定的な違いがあります。
  市教委では、「高校は原則として3年間で卒業するもの」としています。
  しかし県教委では、「留年していても、勉強し、卒業する意思があると考えられる」としています。

  「原則」という“入り口”を“狭き門”にせず、高校授業料無償化という法律の趣旨を生かした条例改正が求められます。

新たな矛盾を生むことも
県立から市立への転学で
授業料徴収も


  何らかの事情によって、県立高校から太田市立商業高校に転学し、その生徒が留年した場合(県立・市立高校の在学期間が通算で3年間を超えた場合も含めて)は、原則として授業料を払うことになってしまいます。

  しかし、逆に太田市立商業高校から県立高校に転学した場合は、「不徴収」となります。

  これでは、同じ太田市民でも、あるいは同じ群馬県民であっても、通う高校によって新たな“格差”と矛盾を生み出しかねません。

  市教委では、「『特別な理由』がある場合は、留年でも『不徴収』」としていますが、それなら最初から、留年でも「原則・不徴収」とすべきです。

  やはり、県教委と市教委間の「原則」という“入り口”の違いは決定的です。

  なお、一度卒業して再入学した場合は、県教委も市教委も原則「徴収」とし、「特別の理由」がある場合に免除としています。

法律は
意思ある高校生すべて対象


  文部科学省のホームページでは、「社会全体であなたの学びを支えます」として、次のような記述があります。

 家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生等が、安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、国の費用により、公立高等学校の授業料を無償化するとともに、国立・私立高校等の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金を創設し、家庭の教育費の負担を軽減します。
文部科学省・公立高校無償化・高等学校等就学支援金のページより)

  法律では、留年や一度卒業し手再入学した場合に授業料を徴収するかどうかは、学校設置責任者(自治体)の判断とされています。

無償化で新たな負担増

  高校の授業料無償化によって、新たな負担増がもたらされる問題もあります。

  政府が無償化の財源の一つとしているのが、特定扶養控除額の引き下げです。

 
特定扶養控除は、16歳以上23歳未満の子どもを持つ場合に適用される控除で、16歳から18歳の控除額が高校無料化とともに引き下げられます。

  この問題では、日本共産党の宮本岳志議員が3月10日の衆院文部科学委員会で質問しています。

  宮本議員は、学校に通えず、就労もしていない子ども、特別支援学校の高等部に通う子ども、定時制・通信制に通う子どもなどを持つ家庭は、これまで授業料の負担はないか、あるいは低廉だと指摘。

  「高校無償化の負担軽減より、特定扶養控除の一部廃止で負担増となる家庭は少なくない」と迫りました。

  川端文科相は「そういう事態が生じると想定される。実態を把握し、対応を講じていきたい」と述べました。

  また、法律の問題として、授業料を無償化するための国の交付金(私立高校への就学支援金も含めて)が、留年した生徒や一度卒業して再入学した生徒を対象外としていることがあります。

  しかし、国が授業料無償化に踏み出したことは大きな前進ですから、さらに自治体が法律の趣旨もふまえて、自治体間格差を生まないための手立てを取ることが求められます。

  なお、私立高校の場合は、公立高校の授業料に相当する額を無償とするため、国の就学支援金が交付されます。
  さらに、保護者が低所得の場合は、所得によって国の就学支援金が1.5倍から2倍まで加算されます。

群馬県高等学校教職員組合
中塚書記長の話


  意欲をもって入学した生徒でも、さまざまな理由から全日制で3年、定時制・通信制で4年という修業年限を超えて在学したり、中途退学を余儀なくされることがあります。
  また、生涯学習の意義が叫ばれるなかで、再度高校で学ぶことは時代の要請でもあります。

  「社会全体で学び支える」という法律の趣旨を生かすために、教育費無償化をさらに前進させるために、自治体の積極的な取り組みを今後も求めたいと思います。

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