刀城言耶シリーズの2作目です。とは言いつつ、3→1→2と読んできたので3冊目なんですけど。
ストーリー:
空前絶後の人間消失。巫女が消える!
見事な消失、ミステリー界騒然!! 瀬戸内海の鳥坏島、断崖絶壁の拝殿で行われる<鳥人の儀>とは何か? 刀城言耶シリーズ第二長編、待望の刊行。
(『凶鳥の如き忌むもの』(三津田 信三):講談社文庫 製品詳細 講談社BOOK倶楽部)
これまで読んだ2作に比べると、ホラー的要素がだいぶ抑えられています。その分、孤島にある断崖絶壁の拝殿という密室空間で起きた人間消失の謎解きがメイン。どうやって消えたのか様々な可能性を検証してはみるのですが、どれもこれも不可能で、本当に何か怪異的なことが起きたとしか思えない状況。
ところが、その真相がこれまた別の意味でゾクッとさせられるもの…いや、その前からヒントはあったんですけどねぇ。「鳥人の儀」の由来とか、気付きそうなもんなのに。巫女である朱音が、一体どんな思いでその儀式に臨んでいたのか、よくよく考えてみると恐ろしい…。鵺敷神社の代々続く巫女として、自分の役割を全うしているとも言えるけれど、そこに戦後における神社の権威低下とか、信仰、伝承、いろんなものが混ざってくるので、非常に複雑な気持ちになります。朱音には娘がいるけれど、朱音の弟・正声が最後に気にかけていた彼女の代で、この儀式はもう終わりになるんじゃないかしら。終わってほしいよね。
時代背景もあって、獄門島を思い出しちゃいました。
それにしても、事件が起きるまでが非常に長い!!それが特徴なんだろうし、じっくり読みこむとその後のヒントも出てくるから、しっかり読み込んでいるけれど、ここで挫折してしまう人もいるんじゃなかろうか。そして見取り図がないと、事件現場となる拝殿の位置関係がさっぱりわからないという😅(私の場合、見取り図があっても怪しかったな)前作では名前のサギリ問題で悩まされたけど、今作では拝殿の位置関係で悩まされました。
このシリーズは世界観が好きなので、少し時間を置いて4作目に進みたいと思います。どんな謎や怪異譚が待っているか楽しみにして(刀城言耶みたい)。