『ありがち日記』

門井慶喜『銀河鉄道の父』

直木賞受賞作、地元岩手の偉人でもある宮沢賢治にまつわるお話。



あらすじ:
明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。
賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。
地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。
父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。 

父親・政次郎の視点から、賢治さんの生涯、家族のことを描いた作品。作品のイメージから、宮沢賢治は貧しい暮らしをしていたのだろうと思われがちだけれど、生家は裕福。意外な一面も垣間見れるのではないかしら。私も先生をしていた時代や妹トシが亡くなる頃のことは知っていましたが、子供時代~宗教にはまるあたりはよく知りません。

政次郎は厳格な父であろうと努めるも、何だかんだで息子・賢治に甘くなってしまう…。父でありすぎる、と出てくるけれど、本当にその言葉に尽きるというか。明治~昭和と激動の時代の中で田舎の富裕層っていう立場もまた特殊。宮沢賢治を描く視点という話に戻るけれど、家族関係も含め、周囲の様々な環境が賢治さんに与えた影響が大きかったと思われる中で、父親との関係に焦点を当てているのは新しい!と思います。

そこそこのボリュームがありながら、読みやすかったのも良かったです。岩手の訛りも全く問題なくすんなり入ってきますしね。

父と息子との関係っていうのは案外、現代でもこんな感じなのかもなーなんて思いながら読み終わりました。解説にもありましたが、普遍的な親子関係の物語としても読めるのかもしれません。
(私は父親でも息子でもないのでわかりませんけれども…)

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