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機内食工場でのアルバイト

2005-03-03 13:00:43 | 航空旅行お役立ちメモ
もう10年以上前のこと、学生時代のアルバイトの話。
大学から自宅とは正反対の某空港の近くでアルバイトをしていました。そこは機内食がメインで副業としてセンダー業務(ツアーや団体の旅行会社のお客様のチェックイン代行や案内業務)もやっており、短い間でしたが両方の職種を経験しました。今回はそのときのお話。

機内で提供される食事というのはあらかじめ地上で調理しておきます。それをチルド状態で運び込み、上空で温めて出すのが基本です。ご飯なんかはタイマーで炊き上がるようにセットする会社もありますが、エコノミークラスはまず無理で、そういうサービスは上級クラスでしか実施していません。

その機内食、当然のことながら旅客数に応じて毎日変わります。概ね前日にはオーダーが来るようです(夜発はまれに当日朝)。会社によっては機内食手配後の予約受付を止める会社もありますが、そんな会社でも200人の予約が入っていて、機内食200人分ということはまずありません。必ず予備を搭載します。日韓線などは当時でも当日予約の搭乗がそれなりにあり、各航空会社は機内食数に苦心していたようで、追加発注もよくありました。予備があるということは余るということで、航空会社によっては機内食の“おかわり”を頼めばくれることもあります。

さて、機内食はコックが作った食材をパートのオバサンがトレイや専用容器にセットし、それがカートに収められて専用のトラックで飛行機まで運びます。僕は概ねこのトラックに同乗していましたが、何度か機内食詰め合わせのお手伝いをした事があります。といっても効率よく詰めるなんて無理な話で、もっぱらトレイをカートへ詰め込む係でした。そんなある日-

「おい、メシ食わないか」と顔なじみの社員サンが夕方の機内食搬入ラッシュを終えた帰り道に言ってきました。「ハイ、どこか行くんですか? 今日ちょっとお金が・・・」と財布の中身を思い出して答えましたが、遮るように「タダ飯だよ、タダ」と。
工場に帰ってみると、普段はもう静かになっているはずの作業場がなにやら賑やかです。なんとテーブルの上には機内食がズラリと並んでいます。

何が起こったかといえば、某外国航空会社の飛行機が日本に向かってくる際にトラブルを起こし、日本の別の空港に緊急着陸したらしく、修理が必要なため、折り返しのフライトがキャンセルになったのでした。既にその時点で、機内食はほぼ出来上がっていたのですが、保存のきく食材以外は再利用できません。で、無駄になった食材がテーブルに並んでいたのでした。
その数、ほぼ200食。パートのオバちゃんは手馴れた手つきで、どこに仕舞ってあったか大量のタッパーウェアが登場し、今夜のおかずを詰め込んでいます。こちらも肉や魚を手当たり次第、その辺の食器に乗せて休憩室へ持ち込みます(工場では衛生上食べることは禁止でした)。ビジネスクラスの食事もあった筈ですがどうせ、社員サンかコックあたりが素早く隠匿したのでしょう、バイト君はエコノミークラスで我慢です。しかし、単調な味付けのメイン料理を大量に食えるはずもなく、そこそこお腹に溜まったところで、帰宅しましたが、帰るときにもう一度休憩室をのぞくと、社員サンがどこかで仕入れてきた缶ビール片手に居酒屋状態になっていました。

本来ならば、不要になってしまった食材は処分することが航空会社との契約で、勝手に食べることはルール違反であり、また保健所などの絡みでもマズイ事だと知ったのはそれからしばらくあとのことでした。まぁ、今はやっていないでしょうけど(多分、きっと)。

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