中国広州発成田行きのフェデラル・エクスプレスFX80便が着陸に失敗、滑走路を逸脱し大破炎上した。成田空港はこの事故でA滑走路を終日閉鎖し、欧米路線を中心に数多くの欠航便が発生した。
事故原因のひとつと言われているウィンドシアというのは、空港付近で発生している降下気流の中に航空機が入ると、風向き風量が急激に変化し、航空機が揚力を失う現象を言います。着陸態勢に入っている航空機がこの状態に入ると、スピードが遅く高度が低いこともあり、回復措置が取れず墜落したり、ハードランディング(強着陸)となったりします。今回の事故も着陸から横転までの映像を見ると、ハードランディングによる着陸失敗と見受けられます。
確か初めてウィンドシアによる着陸失敗事故が確認されたのは、アメリカ・テキサス州のダラス・フォートワース空港で発生したデルタ航空の墜落事故と記憶しています。
あやふやな「記憶」ではダメだと思い、調べてみたところ、私の記憶にあったのは1985年の事故でした。ウィンドシア自体は乱気流の一種なので高空でも発生し、それ以前にも事故の原因とされていましたが、地表付近で発生するウィンドシアはダウンバーストとも言われ、それが墜落の原因とされたのはデルタの事故が初めてのはずです。後年の解明でそれ以前の事故でもウィンドシアが原因と推測された事故もあります。
日本でも、ウィンドシア(ダウンバースト)が原因のハードランディングとして1993年の事故が記憶に新しいです。
ウィンドシア(ダウンバースト)による事故は航空業界では回避が極めて難しいものとして認識されており、ダウンバーストからの脱出対策よりも、ダウンバーストの予測による回避対策が重点となっています。空港にはドップラーレーダーを設置して周辺の局地的下降気流を観測し、航空機の側ではレーダーを用いて前方の気流を観測することによって、ダウンバーストを避けて運航することを目指しています。つまり、ダウンバーストに捕まると逃げられないので、捕まらないようにしよう、ということです。
今回も先行着陸機からウィンドシアの報告があり、事故機を含めて後続の着陸機にウィンドシアの存在が伝えられていました。アメリカではあまりに強烈なウィンドシアが存在する場合(大陸性気候の内陸部では竜巻が発生しやすいのと同様にウィンドシアも強烈なものが発生しやすい)は、横風用の滑走路などへ着陸機を振り替えることも行われます。今回の事故の遠因の一つには、横風用滑走路を持たない成田空港の特殊性もあると思われ、日本の航空整備の貧弱さも事故とは無縁とは言い切れません。
今回の事故の原因の解明が今後の航空安全に役立つものとなることと、不幸にもなくなった二人の操縦士の冥福をお祈りいたします。
航空事故は一度起こると、立て続けに起こることがあります。次の事故が起きないことも祈念します。
事故原因のひとつと言われているウィンドシアというのは、空港付近で発生している降下気流の中に航空機が入ると、風向き風量が急激に変化し、航空機が揚力を失う現象を言います。着陸態勢に入っている航空機がこの状態に入ると、スピードが遅く高度が低いこともあり、回復措置が取れず墜落したり、ハードランディング(強着陸)となったりします。今回の事故も着陸から横転までの映像を見ると、ハードランディングによる着陸失敗と見受けられます。
確か初めてウィンドシアによる着陸失敗事故が確認されたのは、アメリカ・テキサス州のダラス・フォートワース空港で発生したデルタ航空の墜落事故と記憶しています。
あやふやな「記憶」ではダメだと思い、調べてみたところ、私の記憶にあったのは1985年の事故でした。ウィンドシア自体は乱気流の一種なので高空でも発生し、それ以前にも事故の原因とされていましたが、地表付近で発生するウィンドシアはダウンバーストとも言われ、それが墜落の原因とされたのはデルタの事故が初めてのはずです。後年の解明でそれ以前の事故でもウィンドシアが原因と推測された事故もあります。
日本でも、ウィンドシア(ダウンバースト)が原因のハードランディングとして1993年の事故が記憶に新しいです。
ウィンドシア(ダウンバースト)による事故は航空業界では回避が極めて難しいものとして認識されており、ダウンバーストからの脱出対策よりも、ダウンバーストの予測による回避対策が重点となっています。空港にはドップラーレーダーを設置して周辺の局地的下降気流を観測し、航空機の側ではレーダーを用いて前方の気流を観測することによって、ダウンバーストを避けて運航することを目指しています。つまり、ダウンバーストに捕まると逃げられないので、捕まらないようにしよう、ということです。
今回も先行着陸機からウィンドシアの報告があり、事故機を含めて後続の着陸機にウィンドシアの存在が伝えられていました。アメリカではあまりに強烈なウィンドシアが存在する場合(大陸性気候の内陸部では竜巻が発生しやすいのと同様にウィンドシアも強烈なものが発生しやすい)は、横風用の滑走路などへ着陸機を振り替えることも行われます。今回の事故の遠因の一つには、横風用滑走路を持たない成田空港の特殊性もあると思われ、日本の航空整備の貧弱さも事故とは無縁とは言い切れません。
今回の事故の原因の解明が今後の航空安全に役立つものとなることと、不幸にもなくなった二人の操縦士の冥福をお祈りいたします。
航空事故は一度起こると、立て続けに起こることがあります。次の事故が起きないことも祈念します。