ウラ伊予弁【愛媛新聞 伊予弁コラムで書ききれなかったコトを綴る】

大三島リモーネ Iターン就農から酒造り(リキュール)6次産業の取り組み色々想う事のコトダマを綴る主観ですのでご了承を

西日本豪雨

2018-08-21 08:48:55 | 日記
西日本豪雨
天空の彼方。織姫と彦星の間にどのような修羅場があったのか、
知る由もないが今年の七夕は大荒れだった。
豪雨に備え、崩れやすい農道のり面にはシートを被覆していたが
今回の豪雨はレベルが違った。
私の拙策をあざ笑うかのような爪痕を豪雨は園地に残した。

園地だけでなく地域一帯が被害にあった。
中でも「多々羅温泉」近辺の凄まじい土砂災害による惨状には声を失う。

自分の園地のみでなく周囲の複数人の園地がまるごと土砂に流され
跡形もなくなった。
園地上部にあった農業用水「ため池」が決壊し一気に流れた濁流が
氾濫した川と合流し畑と民家を飲み込んだらしい。
実際に決壊する数時間前、私は車で周辺を見回りしていた。
もしその瞬間に決壊していたら、と思うとぞっとする
ネーブルチェッロの原材料であった大三島ネーブルの園地であり
越冬八朔の園地でもあった。
様々な苗木も混植し収穫間近に育った樹もあったがすべてが流され跡形もない。
移住して最初に借りた園地でもあった。

喪失感の一方で吹っ切れた感がある。
実害が畑だけの自分は家を失ったり、浸水したりした地域の方の被害や
地主さんの落胆を思いはかると
「落ち込んでいる場合じゃないだろう」
喝が入る。むしろ命があるだけ良かったと感謝すべきだろう。

多々羅温泉の周辺はあまりにも規模が大きすぎて市町村ではなく県と国が復旧対応していると聞く。
役場も被災した家屋のゴミ処理の手続きのため被災証明書発行を求め
訪れる住民で混雑している。
土砂崩れはいたるところで起こっている。
緑に覆われた山や畑の中に現れる不自然なベージュ色の山肌のすそ野を見れば
土砂が堆積している。
当然、土砂の撤去作業はバス路線道や公道が優先される。
山の奥にあるみかん園地などは、こちらが報告しないかぎり後回しになるだろう。
現況を伝えるために写真に収め役場に足を運び担当者に報告する。
道をふさぐ土砂のカタマリは
遠目でも確認できるが、陥没した裏道はいつ車が落ちても不思議ではなく危険極まりない。
復旧はいつになるのだろうか。
地主でもない自分にできることは現況を役場に伝えること。
その経過を地主さんに報告すること。
もっと甚大な被害を負った農家さんもいるのは充分理解したうえで
いつになるかわからないが、撤去作業の予定に組み込んでもらうことのお願い。
もちろん人力で出来ることは試みる。
店の裏も浸水したが人力でどうにかした。
被害に遭っていない園地は草も伸び草刈りや
摘果作業も酷暑のなか行う。

一年365日のうち362日は穏やかに過ごせる瀬戸内海。
だが豪雨による土砂崩れや台風など自然災害によって
身の縮む思いをすることも数日ある。

この島で暮らす。
その想いは
天災により島で死ぬ覚悟を持つこと。
そんな悲壮な決意にいつからなったのだろう。

いつ崩れてもおかしくない我が家の裏にそびえる
小高い山を見上げると、ため息が漏れる。

豪雨からひと月が過ぎた。
島内のいたる空地には撤去した土砂が
うず高く積まれており、いまでも毎日、土砂大型トラックで
被災場所から土砂を運んでいる。

心配になり声をかけてくれた方々
物資を送ってくれた方々
買って応援!していただいた方々
ありがとうございました!
感謝です!