ウラ伊予弁【愛媛新聞 伊予弁コラムで書ききれなかったコトを綴る】

大三島リモーネ Iターン就農から酒造り(リキュール)6次産業の取り組み色々想う事のコトダマを綴る主観ですのでご了承を

キ○ーピ―三分クッキング

2015-09-18 23:26:21 | 日記

アシスタント以下A
「こんにちは。お昼のクッキングです。本日の料理は、昨今、新聞紙上を賑わしている「地域創生」をテーマにした一品です。ズバリ、
          「簡単、誰でもできちゃう、地域活性化!」です。先生、よろしくお願いします」
先生、以下S 
  「よろしくお願いします」

A「まず用意するのは「限界集落」でよろしいですね」
S「はい。限界であればあるほどいいですね」
A「次に食材として「地域活性化」には欠かせない「若者、よそ者、馬鹿者」を用意しました。ここで先生、食材選びのポイントを教えてください」
S「大切なのは地域慣習に去勢された「若者」長いものに巻かれた「よそ者」を吟味することです。それ以外の者はすでに地域を離れているか、残っていてもアクが強く使えません」

A「馬鹿者はどうでしょうか」
S「馬鹿者は比較的、どの地域にも馴染みやすいので、どのタイミングで投入しても大きな変化はありません。好きなようにお使いいただいて結構です」
A「行事にはかかせないムードメーカー。地域にお一人居れば、重宝しますね!」
S「次に長年、『補助金』に漬けてあった「事業計画書」」
A匂いを嗅ぎ「先生、これは…ちょっと香ばしいというか
発酵というかかなり腐敗臭に近い…」

S「地域から東京、そして世界へ。採択員の心根をくすぐる見出しでしょう」
A「ええ。『資源活用』『再生』『雇用創出』『グローバル』『発信』いい具合に手垢の付いた単語が並んでいます」
S「フレンチオードブルが一皿に凝縮されたように華やかですね。採択されるキーワードです。ここポイントですからね」
A「もう一つ、こちらの食材は『NPO』ですね」
S「地域活性化の定番です。協議会でもなんでもお好きな名前をつけて結構です。
  参加者の肩書きに元大企業や元議員、あるいは有名大学卒業など添えられたら良いですね」
A「地域の皆様が大好きな『権威』『肩書き』でグッとお料理に説得力が出ました。そして本日はさらに、食材を用意しました。これはなんでしょうか」
S「地域活性プロデューサーです。コリアンダーがパクチー、シャンサイと言われる様
に地域再生マネージャーや、集落向上プロデューサーなど呼称がことなります。

しかし効果はどれも変わりません。中には同一人物が違う肩書きを称していることもあります」
A「それでも本日の料理には必要なのですね」
S「残念ながら地域の旗振り役としてこれらの方が必要なのです。ただしこの食材を使うことによって助成金を得られる可能性が向上します。注意点として「コンサルティング料」なるものが発生しますので費用対効果を考えて隠し味程度に使用しましょう。」
A「活性化が失敗した時の責任の矛先でもあるわけですね。次はこれらの食材を「限界集落」        
 に投入いたします。火加減は、先生どうでしょうか」
S「ええ、あくまで「ぬるま湯」です。しかし、あまりにぬるいと「こんなもんか」と見切られて出資が集まりません。かといって熱すぎると「自分にはとても」と同様に資金が集まりません」

A「まさにいい塩梅ですね」
S「ええ、旨みが地域有力者に行き渡る火加減が大切です」
A「ああ、お鍋にアクが浮いてきました」
S「厳選したつもりでも、やはり途中で脱落者が出てきます。そんな場合はこの
  『同調圧力』オタマでアクをすくい取ると…ほら」

A「ああ、澄んだお鍋の底に…」
S「見えるでしょう。『私的流用』『横領』『着服』そして『依頼心』」
A「まさに同じ穴のムジナというか、同病相憐れむといった感じですね」
S「でも見た目ほど濃い味ではないです。一口どうですか」
A「あ、あっさり。むしろ後に何も残らない」

S「後に残ると次年度の助成金取得に面倒なことが多々ありますので
 あくまでも単年度を視野に入れた味付けをしましょう」
A「はい。それでは盛り付けをお願いします」
S「ここに広げたのは地域ローカル紙、情報誌の数々です。この上にバサッと盛り付けます」
A「あくまで地域密着型の紙媒体ですね」

S「運が良ければ夕方のTVニュースでも取り上げられます」
A「なにやら、先ほどまでの華やかな感じは無くなりましたが、先生これは」
S「ええ、すでに助成金、補助金を取得した後なのでもう、惰性です。やっつけ仕事です」
A「なるほど。目的は果たしたわけですね。それでは先生、本日のまとめを」

S「地域活性のコツは決して『カタチ』にしないこと。カタチにしたら結果を求められ、
  成果を問われます。カタチにならないこそ、地域は夢を見続けることができるのです」
A「ありがとうございます。それでは次回の料理を紹介お願いします」
S「次回はさらにステップアップ「簡単、だれでもなれちゃう、地方議員!」です」
A「そこそこの人望とそれなりの根回しがあれば誰でもなれる簡単クッキングですね」
S「ただし人一倍、執着心がないと務まりません」
A「その執着心が「金」なのか「欲」なのか、「業」なのか、そのすべてなのか。次回、詳しく説明いたします。お楽しみに!」

★某行政機関誌で依頼された原稿だが掲載見送りとなった幻の原稿。 ま、いいけどさ。