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Lechenaultia

植物関連

Byblis(ビブリス)属はなぜレインボープラントと名付けられたか?

2009-11-17 21:49:00 | 

Byblisの仲間はRainbow Plant(レインボープラント)と呼ばれる事があります。Rica Erickson女史の「Plants of Prey」で初めて見たように記憶します。

Byblisの仲間を初めてレインボープラントと呼んだ人が誰なのか(アボリジニーの方々か?)またどの様な光景を見てそう呼んだのか知りません。
Byblisの仲間を逆光で観察すると無数の輝きで圧倒されますが、この条件で虹を見る事は出来ません。ずいぶん前はどうしてレインボープラントと呼ばれるのか正直分かりませんでした。
先日も御紹介した以下のスレッドのreply#13で虹について少し触れています。日本語表示にはYahoo!翻訳(http://honyaku.yahoo.co.jp/url)にアドレスを貼り付ければ表示できます。かなり頓珍漢ですけど・・・。
http://icps.proboards.com/index.cgi?board=byblis&action=display&thread=2348
いつでも見られるわけではありませんが、虹が見えるときの条件を説明します。
ハウスは南北棟でベンチも南北に配置されています。太陽に背を向けて、つまり北を向いてベンチへ目を落とすとベンチ幅で大きな虹が見えます。ちょうど空に架かる虹をベンチへ倒したようにByblisの茂みの中に現れます。Byblis一株が担当しているのは虹の一部分です。ベンチの間の通路を太陽に背を向けたまま南北へ前後して動くと虹も一緒になって動きます。とても美しい光景です。
友人の話では時に道路沿いにByblisが群生している事があるそうです。時間帯によってはそこで虹を見る事が出来るのではないか?レインボープラントと名付けた人はそのような光景を見たのではないか?と想像しています。


Byblis filifolia(ビブリス フィリフォリア)は乾燥気味を好むか?

2009-11-17 20:36:14 | 

国内外でTropical Byblisの栽培において「用土をやや乾燥気味に」という記述を散見します。実際非常に大きい鉢を使用すると生育初期を除き上手く栽培できる場合があります。これ自体を否定するつもりはないのですがかなり違和感を覚えます。
幸運にも自生地を訪れる機会を得た人々の観察、そして撮影された写真の多くがかなり乾燥気味の大地に生育するTropical Byblisを写し出しています。これが「用土をやや乾燥気味に」という根拠になっているのかもしれません。
Tropical Byblisの栽培をはじめて高だか三十数年、育種に取り組んでやっと10年という、植物たちの長い歴史を考えれば、瞬きする時間にすらならない経験ですが、「用土をやや乾燥気味に」という栽培方法はとても間違っているように感じます。園芸として栽培を楽しむ場合、一般的には5寸前後の鉢(または更に小さい)を利用する事が多いと思いますが、大量の水を蒸散するTropical Byblisで「用土をやや乾燥気味に」に保つのはとても難しい事です。真夏の日中に付きっ切りで少しずつ灌水でもしなければ、例えば少し昼寝でもしようものなら目覚めたときには、昇天しているでしょう。余談ですが、Byblis linifloraをはじめて栽培した年、訳も分からず栽培したのによく分枝してずいぶんと良い出来になりました。秋口の植物の集まりで山野草の大家故志方先生にお褒めの言葉を頂いた事を懐かしく思い出します。この時も腰水で管理していました。
自生地の調査を年に数回行っている友人の話では、調査の予定地に近づく事すら出来ない事が度々あるそうです。ぬかるんでいて四輪駆動車でもどうにもならないそうです。予定を変更する事で新種が見つかったりするのでオーストラリアという所はすごい国です。現地を訪れて「用土をやや乾燥気味に」という栽培方法を発想された方々は、幸運にもやや乾燥していたので、そこまで到達できたというのが実際のところかもしれません。その場合も根が張っている深い場所ではそれなりの水分があるようです。その自生地も更にその状態が続いたり、乾期が訪れたりしてしまえば根の存在する深さまで乾燥してしまいます。Tropical Byblisはそのような環境では生きていけません。
実際の栽培において、少なくとも発芽から旺盛に生育して充実するまではかなりの水を必要とします。園芸用の鉢で栽培する場合、蒸散に応じた水分補給が必要です。真夏も強い日照を好むTropical Byblisの蒸散量に追いつくためには腰水などで補給しなければ間に合わなくなります。

この写真はかなり育種の進んでいるものです。「矮化剤を使っている」と強く主張する人がいて困惑していますが、これは数あるヴァリエーションの中から厳選したものに更に選抜を繰り返して実現したものです。

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Byblis guehoiの選抜

2009-10-20 22:58:36 | 

Byblis guehoi(ビブリス ゲイホゥアイ)はやはりTropical Byblisの一種です。2008年に学術発表された新種です。Byblis rorida(ビブリス ロリダ)と一緒に自生していても交配種は出来ません。発見者のRuss Guého(French Mauritius)に因んで名付けられました。こちらでは2006年から選抜を始めました。当時はguehoiにもう一文字多い学名で論文が準備されていましたが、最終的にその一文字は削除されました。学術発表前に名前が漏れると学名として登録できなくなるので、こちらでは「Ab」と言う文字と番号を付けて管理していました。初期の個体は以下のスレッドのreply#1の最初の写真とreply#12photo 8 photo13を見ていただくと良く特徴が出ていますが、主枝が側枝よりかなり先行して生育する個体が高率で現れました。

http://icps.proboards.com/index.cgi?board=byblis&action=display&thread=1634

鉢物向きにこの特徴を消したものが写真のタイプです。これは主枝をピンチしたものではありません。主枝と側枝がバランスよく生育します。

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Byblis roridaの変化花

2009-09-26 23:27:53 | 

Byblis rorida(ビブリス ロリダ)はTropical Byblisの一種です。この変化花は現在形質を固定中のものです。かなりの高率で出現するようになりましが、今一歩です。Byblisの仲間は形質の固定が少々厄介です。花型自体は質的形質ですが、個体間の差を見ると量的形質を匂わせます。ポリジーン関与となると少々固定に手間取ります。栄養繁殖よりも種子繁殖が適した花なのでこの点が常に付いて回る問題です。近年、Byblis filifolia(フィリフォリア)とByblis guehoi(ゲイホゥアイ)は園芸店やネット(園芸店と同じもの)で流通するようになりましたが、このByblis roridaはどちらかと言うと愛好家の間で普及するようなタイプです。残念な事に、このByblis roridaは産地データが欠落しています。愛好家の間で普及するにはデータが有るか無いかで価値に雲泥の差が出てしまいます。現在産地データを再確認していただいています(日本の研究者)。

写真のように変化がグロテスクでないところがお気に入りです。

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栽培下での生頂点付近の様子 Tropical Byblisの中で特別多花の種ではないのですが、生頂点付近は蕾が目立ちByblis rorida特有の姿です。

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