今回からTriggerplantの仲間を少しずつ御紹介します。300以上の種があり、新種も次々と報告されています。これらの中から、園芸価値が高く日本での栽培が容易なものを中心に写真をアップしていきます。
写真の種は多年草でこの個体は開花初年度です。春の状態です。数本の花茎を伸ばしまたそれぞれの花茎が枝分かれします。うっすらと見えている茶色の鉢が4寸(12cm)鉢です。開花初年度からかなり豪華です。花後、分げつして次年度はさらに壮観になります。自生地では花後乾季が訪れますが、こちらの栽培下では毎日たっぷりと灌水しているので乾季は訪れません。温室内で遮光なし、45度を超えテラテラと強い日照に当てていますが、一向に衰える気配すら見せません。現在今年二度目の花期の最盛期を迎えています。梅雨時の晴天などの急激な変化にもへこたれません。冬も植物体が凍結しなければ可なりの耐寒性があります。
今回はThysanotus 4種の写真をアップします。このブログのアドレスから「いつかこの植物が出てくる」と予想されていた方も多いかと思います。
Thysanotusの仲間はフリンジリリー(Fringe Lily, Fringed Lily)と呼ばれる事もありますが、「英国皇太子の羽飾り」「プリンスオブウェールズの羽飾り」の方を使いたいと思います。孔雀の羽ですね。4種とも栽培は簡単で、他の園芸植物と一緒に灌水していて大丈夫です。この仲間は花がら摘みをしないでよいという良い特徴があります。豪華に広がった花弁はほとんどもとの蕾の中へ納まってしまいます。若干残ってもほとんど目立ちません。花の写真をご覧になると花後さぞかしとっ散かってしまいそうに思われるかもしれませんが、綺麗さっぱり元通りになります。上の写真の種で一ヶ月前後、下の写真の右下の種で二ヵ月半以上花を楽しむ事が出来ます。左下の種はこれまた少し開花特性が違うのですが、これについてはまたお話します。次回以降はしばらく、Triggerplantsについて少しずつ写真をアップします。
2007年の事ですが、「市場(園芸店など)で流通しているByblis filifolia(ビブリス フィリフォリア)は3倍体である。」という噂が流布されている事を知りました。以下のスレッドをご覧下さい。日本語表示にはYahoo!翻訳(http://honyaku.yahoo.co.jp/url)にアドレスを貼り付ければ表示できます。かなり頓珍漢で逆の意味で翻訳されたりもしていますが、ざっくりと意味がお分かりいただけるかと思います。
http://icps.proboards.com/index.cgi?board=byblis&action=display&thread=524
このスレッドの中の写真に写された植物はすべて3倍体ではありません。ジャイアントタイプのByblisを含めてすべて2倍体です。
今年に入ってもまだ噂を流す方とそれを聞かれて納得される方がいらっしゃるようです。ご両方共にとても間違っています。
多分この噂のきっかけとなったのが、2002年に開催された国際会議のポストエクスカーションとしてAldrovandaの自生地とこちらの温室の見学会が開かれた事が原因と思われます。このとき、倍数体育種としてジャイアントタイプのByblisの2倍体、3倍体、4倍体を展示しました。市場に流通しているものが3倍体と誤解されるような説明はしなかったつもりですが、どうやらこれが原因のようです。3倍体、4倍体植物共にここから出た事はありません。
同じスレッドの中でByblisという植物について述べられていますが、補足的に説明すると
スレッドの中でAvatarとしてスイートピーの写真が使用されていますが、このMOLLIE RILSTONEという品種はすでに固定されている品種で、この名前で種を買えばMOLLIE RILSTONEがでてきますし、その個体から種を播けば同じくMOLLIE RILSTONEがでてきます。もちろん、混入種子が入っている場合や庭園用にあまく選抜されたものは別です。ところが、Byblis属は日本の愛好家の間で普及しているByblis linifloraの幾つかの系統を除き品種として固定する事が出来ません。とても乱暴な例えをすると、あなたの子供はあなたと同じ人間(種)ですが、あなたではありません。あなたとあなたの配偶者がモンゴロイドであれば、あなたの子供もモンゴロイドです。あなたやあなたの配偶者にすごく似ている場合もあるかもしれませんがあなたの子供は別の個体(個人)です。Byblisの仲間は野生での生存戦略として同じ地域の同じバリエーション同じ集団内で遺伝的に雑ぱくであることを選んでいます。形質、性質を品種として固定する事が出来ません。