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綾辻行人《Another》、読みました。

2011-03-22 | 本・映画・ドラマのレビュー&気になる作品



綾辻行人《Another》、
    読みました。

《Another》綾辻行人/著 角川書店刊 (1900円+税)

673ページの大長編です。
面白くて、読み始めると、こんなにぶ厚い本なのに、
電車の中でさくさく読んでしまう・・
でも自分を律して、
ほかの時間にずれ込まないようにしていたので、
結構読み終えるまでに時間がかかりました。
一日20分じゃあね(笑)

主人公は榊原恒一。
夜見山中学に転校してくるんです。
前の学校ではサカキバラという名前のせいでいじめられもしました。
ぎくりとしたんですが、このあたりで。
「透明な存在であるボク」でしたよね、学校殺死(ママ)の酒鬼薔薇。
透明な存在、というもの自体とシンクロしているわけではないのですが、
主人公にその名前をもってくるという確信犯ってどうなんだろうと、
ちょっと考え込んでしまいました。
でも、存在しているとはどういうことなのか、
根底からぐらぐらと揺るがす不気味さが衝撃ではあります。

《私が存在しているということを私はどうやって立証できるのか》

この中学校では26年前、
とっても人気者の男子がクラスにいるんですが、
事故死してしまうんですよ。
みんな、そのことに耐えられなくて、
担任の先生も生徒たちに同調して、
まるでその男子生徒が実在するかのように、
何ヶ月も過ごすわけですよ。
彼に話しかけたり・・。
ところが、卒業写真に、彼が写り込んでいるんですね、
その翌年から、
彼がいた3年3組に厄災が降りかかるわけなんです。
その厄災がある年、ない年、があって、
恒一が転校してきた年はどうやら、ある年になってしまったようで・・・。

左目が義眼の見崎鳴という少女が登場します。
彼女はまるで、クラスメートから見えない存在のように、
無視されまくるんですよね。

《いないものにかまうな》

そういう忠告をクラスメートから受けたりするんです。

読者としては、26年前に死んだ男子と絡めて考えてしまうじゃないですか、
彼女は実在しない人間なのでは? などと。

ネタバレになるので、詳しくは話せませんが、
このクラスの厄災をとめるために、恒一が活躍するわけでして、
終わりちかくになって、壮絶な決断を迫られるシーンが出てくるのです。
その決断はとても恐ろしくて悲しいものでしたから、
読み終えたあと、かなり引きずりました。
あそこで恒一がくだす判断、それしか助かる道はないとしても、
私ならできないだろうなあと、呆然とするのでありました。
しかしながら、この厄災の究極の解決にはなっていないので、
このお話のあとに、また、あの中学校ではあらたな厄災の年が
はじまっているのかもしれない、とぞっとする後味の恐ろしさもありました。


私はかなり、湿り気が好きな情緒過多の人間なので、
最初の26年前の死者、人気者の男子に感情移入したかったんですが、
あくまで書割の人間でしかないわけです。

また、このお話の核に当たる部分ゆえに、
死者と生者が、対峙しえないというか、
そのあたりに、ちょっと、この手の話にもとめる情緒、
せつなさとか悼みとか、悲しさとかを感じられなかったんですよね。
それがとっても残念。

かつて《学校の怪談》シリーズという映画があって、
私は実はとても好きだったんですが、
一番好きな第一作目、
そこでは新米教師と生徒6人が、旧校舎に閉じ込められ、
不安な一夜を過ごしましたよね。
とちゅう、虻川ちゃんによく似た少女が^^
「あれ、ひとり増えてる」というのだけれど、誰だかわからない、
だけど、ラストになって、
ひとりの少女が生霊で、実は生死の境をさまよったあげく、
死の世界に旅立つ・・というくだりになるのでした、
あの時、すっごくせつなくて、
ひとり、闇の世界におちてゆく少女を、救ってあげたくて、
みんなと一緒に過ごさせてあげたくて、大人だというのに泣いてしまいました。
《学校の怪談》シリーズはこういうのが得意だったし、
日本人ってドライにはできていないから、
めちゃめちゃこころに響いたものですよね。

あのせつなさ、悲しさ、愛しさが、
この小説には残念ながら感じられなかったですわ。

でも、大好きな球体関節人形のお店などが出てきまして、
これはアニメじゃなくて実写版で観たい、と思っていたら
実写版が製作されるそうです。

見崎鳴をどんな美少女が演じるか、
これにかかっているといっても過言ではありますまい^^





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2 コメント

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Unknown (うらら)
2011-03-22 14:30:38
樹さん、こんにちは☆

私の「好きそう」アンテナがピピっと反応しました(笑)
今は会社勤めしてた時と違って、本屋に行く頻度も少ないから
なかなか面白そうな本の発掘ができてないです。
(まあ、私が出不精なだけなんですけど(^_^;)

樹さんのオススメはどれも面白いので、
これは読んでみたいと思います(*^_^*)
ご紹介ありがとうございます♪
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うららさんへ ()
2011-03-25 15:28:15
こんにちは。

そうそう、うららさんが好みのジャンルだと思いますよ。
それにしても乙一くんはどうしてるんだろうねえ?
あのひとが多作だったら、山田さんとか東野さんとか有川さんとかと
肩を並べるんでしょうに、残念。

本はね、重いですよ、うららさん(笑)
でも、時間を取れたら、あっという間に読めちゃうと思います。面白いです。
私も藤原さんに教えてもらったんです。
藤原さんのお勧めもはずれがないです!!

あとからいろいろ思い返してツッコミ入れたくなる箇所も多々ありますが(笑)、
実写化ニュースが楽しみになりましたー・
できれば中学校を高校に変えて、
主演は岡田将生くんとか三浦春馬くんとかでお願いしたい←わがまま。
ヒロインは思いつきません←おいおい。
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