門をくぐると、主屋がある。その主屋には蔵が併設されている。主屋の向こうに中庭があり、蔵が併設されている奥座敷があり、奥座敷の向こうにはさらに中庭があり、また、蔵が併設されている別の奥座敷があった。主屋と二つの奥座敷は、それぞれ渡り廊下で繋がっていた。
当時、蔵のある家はそれほど珍しくはなかった。しかし、三つの蔵となるとなかなかない。実母は、村井家のおばに「着物が一杯あるんやね」と言ったようである。その返事は、「この蔵は什器の蔵で、その蔵はお道具(掛け軸等)の蔵で、あっちの蔵は着物の蔵」、と三つの蔵の収納目的の説明があったそうである。