マダム南平台のサロン

法とことばと社会についてのおしゃべりコーナー

村井家住宅 その8

2011-01-09 09:39:54 | Weblog

子供達は、夜もその奥座敷で寝た。10人くらいいるので、夜、必ず誰かがトイレに行きたくなる。厠は、座敷の廊下を進んで、蔵の先の、さらに奥まった所にある。夜は、あたりが真っ暗で、屋敷も広大なため怖かった。村井家の子供達ですら、普段は主屋で寝ていて主屋の厠しか使っていないので、奥座敷の厠は怖かった。一人がトイレに行きたいと言うと、残りの者全員がこの機会にトイレに行っておこうと思う。怖くないようにと全員で厠に行く。厠を使う順番をじゃんけんで決める。ビリになると、誰も待っていてくれず、一人で奥座敷まで戻らなければならないかもしれない。真剣になってじゃんけんをする。全員で最後の人が終わるまで待っていると約束はするのだが、終わった人も待っているのが怖いので奥座敷に戻ってしまう。結局、ビリの人が終わって厠の外に出ると、誰もいない。ビリの人は、怖くてワーっと叫びながら一目散に奥座敷に戻る。その声を聞いて奥座敷に戻っていた子供達も怖くなりギャーっと叫ぶ。

あれから70年余りの時が流れた。実母や叔母は、当時を思い出して、まだ、「村井の家は、本当に楽しかった」と言っている。古き佳き時代である。


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