今回の修理は、「SHARP MD-Z1 MDラジカセ(発売日:1994年2月)」だ。年に一度くらいは修理依頼をいただくような一台だ。過去の紹介記事はこちら。
[SHARP MD-Z1 MDラジカセ]
■主な故障と原因
- CDトレーの開閉不良 → 同ゴムベルト及びグリス劣化
- CD再生時の音とびが酷い → ピニオンギア破損(亀裂)
- MD再生時に音とびがあり、録音にも失敗する → MD光ピックアップの経年劣化 → ※修理不可と診断
■修理
申告の不具合症状が無事に確認できたので、分解を開始。
CDローディングユニットを分解・清掃・グリース再塗布。同ユニットのゴムベルトを交換し、CDトレー開閉の回復を確認。
CD音とびは、やはりピニオンギアに生じた亀裂が原因だった。本機種では、CD光ピックアップよりも、こちらの劣化の方が早いケースが多い。
同型中古機の流通もほぼなくなり、入手できたとしても同様の故障を有する確率が高い。
今回、修理方法を思案した結果、破損した既存歯車を撤去し、代わりにエラストマーパイプを設置した。歯車駆動ではなく、摩擦駆動へ変更した次第だ。同パイプの内径と外形を試行錯誤し、正常にCD演奏する状態に回復できたことは幸いだった。
一方のMDの不具合は、MD光ピックアップの劣化が原因だということは判明している。しかし、同部品は既にメーカーの部品供給が終了して久しい。これまでは中古品で何とか修理してきたのだが、今日(2016/5)に至り、修理を断念する状況となった。
理由としては、(1)MDの論理調整に必要な技術情報が入手できないこと、(2)これを回避するために必要な正常な同MD中古ユニットが入手できなくなたこと、だ。
上記を修理の依頼主にご了解いただき、修理完了とさせていただいた。
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