先週末に「少しずつ色づいてきました」というタイトルで、クヌギ(櫟)の実が少しずつ色づいてきたことをお伝えしましたが、その記事内でアベマキ(棈)との違いに触れました。
でも、アベマキの写真も掲載せずにそのまま終えるのはちょっともったいないなと思いましたので、先週の土曜日に京都御苑へ行ってアベマキがないか探してみたら、ありました。それもクヌギが植えられている場所の近くでした。
両種ともブナ科コナラ属に分類される落葉高木で、それぞれ堅果は花が咲いた翌年に熟す2年成です。クヌギが東北地方の岩手県や山形県以南の本州や四国、九州に分布しているのに対し、アベマキは関東地方以西の本州や四国、九州に分布し、瀬戸内海地方に多く分布するといった違いがあり、高度においてもクヌギのほうが少し高い標高の場所にも分布しているようです。
前置きはさておき、まずはアベマキの樹皮ですが、こんな感じです。
アベマキの樹皮
前回の記事で紹介したクヌギの樹皮はこんな感じ。
クヌギの樹皮(先日の投稿より再掲)
先日の投稿でアベマキのほうがコルク層が厚いと書きましたが、見た目ではクヌギのほうが細かい網目模様に裂け目が入るのに対し、アベマキはもこもこと盛り上がるように不規則にでこぼことなると言えるでしょうか。そのため、クヌギより裂け目あるいはシワが深くなると表現されることもあります。そして現在、コルクは地中海地方に分布するコルクガシ(コルク樫)から採取しますが、第二次世界大戦の戦時中から戦後にかけてはこのアベマキからコルクを採取していたようです。
また葉裏がアベマキは白くなるとお伝えしました。それぞれ落葉してから間もないと思われる落ち葉を拾って比較した写真がこちら。まずは葉の表。
葉の表(左がアベマキ、右がクヌギ)
そして葉の裏。
葉の裏(左がアベマキ、右がクヌギ)
写真では伝わりにくいのですが、葉の表だけ見ると違いはほとんどなく、実物の葉の裏を見るとクヌギが黄緑色でツルツルとした触感であるのに対し、アベマキは灰白色と表現されますが白っぽい緑色でうっすらと薄い綿のような白い毛に覆われています。ルーペがないと見えませんが、アベマキの葉の裏には星状毛が生えているためです。
そして、こちらもそれぞれ比較的きれいな状態で落ちていた堅果と殻斗を拾ったものです。
堅果と殻斗(左がアベマキ、右がクヌギ)
おそらく2つ一緒に渡されたらどっちがどっちかわからないほど、見た目に違いはありません。あえて違いをあげると、アベマキの堅果のほうがちょっと小さくて細長いかたち(球形というよりやや楕円形)をしていて、殻斗は少し厚みがあって鱗片が長いようです。
ひさしぶりにドングリ拾いをしたので、家に持ち帰ってコマ(独楽)を作ってみました。
ドングリのコマ(左奥と左手前がアベマキ、右奥と右手前がクヌギ)
4つのコマのうち、やっぱりというか、上の写真で右奥にある寸胴のクヌギのドングリが一番安定して回り続けました。
そういえば小さい頃はやじろべえなど、いろいろなものを作って(というより親に作ってもらってたほうが多かったかも)遊んでいたことを思い出しながら、くるくると回して眺めていました。意外と楽しいものですね。きれいに回らないと、納得した回り方をするまで飽きずに回してしまいました。