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京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

アコウの木

2019-10-05 12:32:19 | 雑学・蘊蓄・豆知識
最近は使っていないコンパクトデジタルカメラに残っていた古いデータを整理していると、4年前の2015年に、どこで撮影したのか覚えのない樹木の写真を見つけました。よく見ると、まるでガジュマルみたいな樹木です。




データに残っている撮影日とその年のスケジュールの記録を照らし合わせ、ようやく思い出しました。名古屋国際会議場のシンボルツリーともなっているアコウ(榕)の木です。ガジュマルみたいと書きましたが、両種ともクワ科イチジク属に分類される近縁種です。ガジュマルは日本では屋久島と種子島以南の南西諸島に自生しますが、アコウは南西諸島だけでなく、紀伊半島や山口県、四国、九州にも自生しており、ガジュマルに比べると耐寒性があるようです。


(1枚目と同じ場所から縦構図で撮影)


ちょっと調べてみたところ、名古屋国際会議場のホームページにこのアコウの木の説明があり、1989(平成元)年に名古屋市制100周年を記念して開催された「世界デザイン博覧会」のときに、鹿児島県の小学校から寄付を受けて72本の杉の木と一緒に植栽したものだそうです。そして、その世界デザイン博覧会でテーマ館として利用された白鳥センチュリープラザをベースに整備して翌年の1990(平成2)年に設置されたのが名古屋国際会議場です。

なお、タコの足に見えるようなものは気根で、アコウの木はその生活史から「絞め殺し木」とも呼ばれます。この締め殺し木という言葉は立派な学術用語です。アコウの木の実を食べた鳥が他の木の樹上で種子の混じったフンを排泄し、枝の股やくぼみに残った種子がそこで発芽して気根を下へと伸ばし枝や幹に絡みついていきます。そして気根が地上に到達する頃には元の木が気根で絞め殺されているように見えることから、締め殺し木と呼ばれます。実際、絡みつかれて元の木が枯れてしまうこともあります。

4年前の撮影ですが、覚え書きも兼ねてご紹介。

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