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おらと煙は・・・  ~ Diary of  ”Maikuru” ~

高い所が好き。山の頂上で食べるラーメンが大好物。
密かにアクティブ宣言した勘違いオヤジの日記。

涸沢カール

2018年09月26日 | 山歩き
平成30年9月1日(土)~平成30年9月3日(月)     曇り時々雨




 昨年乗鞍岳に登った後に宿泊した上高地(⇒その時の日記)で涸沢カールに行くのを夢見た大先輩のKさんは、今年度事業計画(?)の最重要課題が涸沢カールでありました。

「マイクル、涸沢カールどうする?(おいマイクル旅行会社、涸沢カール早く企画しろ!) 去年の上高地の宿もう一回行くべ。あど夜出発もやめっべ。」

6月の忙しい時にめんどくさい指令が飛んできます。仕事が落ち着くまでは放っておいて、7月に入ってからまずはメンバーの調整に入りました。昨年のメンバーのみなさん、是非行きたいと感触がいいです。
次は日程です。9月前半の週末は地区の行事もあるし行くなら中旬の3連休のどちらかとなりますが、大先輩のIさんと飲んだ時に連休はダメだと言われ、Iさんなしで行く事も考慮しましたが今度は宿がとれません。今回の企画も難儀を極めました。

一度は今年はやめようという事になりましたが、

「やっぱり涸沢カール行ぐべ。命の洗濯さんなね。」

と大先輩のKさん。



 涸沢カールまでのルートを調べると、川に沿って歩いて上高地から17km位の距離があります。日程的には一泊目を涸沢カールになるべく近い横尾山荘にするのが当日山形を発っていくにはギリギリのようです。そして二泊目を上高地にしてオサレなところでゆっくりしてくる予定にしました。

(一日目)山形 → 上高地 → 横尾(宿泊)
(二日目)横尾 → 涸沢カール → 横尾 → 上高地(宿泊)
(三日目)上高地 → 山形

こんな感じです。上高地の山荘の空き情報を見ると、週末をはさんでは9月初め以外空きがありません。紅葉の時期や3連休は早めの予約がおススメのようです。
ということで早速9月初めの上高地の山荘をおさえ、一か月前からしか予約をとれない横尾山荘も予約開始の日の朝イチできちんとおさえました。できる男は仕事が早いです(パシリの時だけはきちんと仕事をするのです)。
しかーし、
「涸沢カールいいねぇ~、日程決まったら教えて。」
と言っていた仲間たちが次から次へと離脱していきます。世の中にはホンネとタテマエというものがあるという事を忘れていました。
結局職場の同僚のKだけが追加で参加することになり、大先輩のKさんと、同僚のKとおらの3人での涸沢カール行きとなりました。

1日目は10kmの歩行、2日目にいたっては登りも含めて23kmの歩行距離です。大先輩のKさんがどうしても上高地の宿に泊まりたいなんて言うもんだから仕方ありません。
少しでもトレーニングにでもなればと、2日続けて月山と鳥海山にいったり、重いリュックを背負って街歩きと千歳山を登ったりしてはみたものの、準備としては正直物足りないものがあります。特に千歳山の後は脚が筋肉痛にもなり、付焼き刃的であったことも否めません。不安が残ります。
また出発一週間前になって、「23kmあて歩ぐいど思うが?」などと大先輩のKさんが言い始めます。いったい誰のためにこの計画があるのかを少しは自覚してほしいものです。しかも2日目は朝5時出発の予定としましたが、「ほだい早ぐ起ぎらんなねんだが?ゆっくりでダメ?」などと今回の山歩きをナメているとしか思えない口ぶりです
着替えと防寒着と多めのカロリー食でパンパンになったおらのザックは、ゆうに10kgを超えておりました。薄くて軽い有名メーカーの服はこんな時に必要性を感じますが、そこは体力でカバーするしかないようです。




 9月1日朝4時、山形市内の待ち合わせ場所を出発。今回は大先輩Kさんが車を出してくれました。小国を抜け、関川のセブンイレブンで車の保険をかけてから高速を交代で運転します。大先輩Kさんの自動でスピード調節になるワイパーが超高速で動く程の強い雨の中、昼からは晴れる予報を信じて松本ICまで車は走ります。
やがて雨は上がり松本近くのSAで休憩、同僚Kがおやきを買ったので少しかじらせてもらいました。今流行りの五平餅も売っていて旅のネタにはなるのでしょうが、高いし限定○個というのが抵抗があってやめておきました。













11時45分、沢度(さわんど)駐車場に到着、シャトルバスに乗り換え上高地へgogo!
















 12時30分上高地バスターミナル着、まずはテーブルの一角を確保し昼食にします。











おらは節約のために朝食と昼食は妻からヤギミス握ってもらったのときゅうり漬けを持たせてもらっていますが、食堂に行った2人は混んで列ができていると戻ってきました。売店でふかすとポテトを買って食べるようです。

1年ぶりの梓川と河童橋。天気がイマイチなのか気持ち人が少ないように感じます(それでも多いですが)。










 1時10分河童橋を出発、しばらくは林の中を歩きます。







途中、団体さんに追いつくとガイドが道を譲って下さいみたいな事を大きな声で伝えてくれます。先頭を歩く同僚Kがスピードを上げてズンズン抜いていきますが、団体さんの人数も多く列の長さがとんでもなく長いです。追い抜き者がいることが伝わっていない真ん中より前の列は横に並んだりして追い抜きに苦労しますが、同僚Kがとんでもない速さで抜いて行く一方、大先輩のKさんが息が切れてそのスピードについて行く事が出来ません。しかも団体さんの歩くスピードもそんなに遅くはなく、なかなか先頭までたどり着かずすれ違いにも気を遣います。少しパーティーを分けるとかして、すれ違いの時はスペースを作ってほしいものですがいかがなものでしょう。
その後ガスがかかる明神岳にお参りしているとまたその団体さんがおら達の前に出ます。一度歩き出しましたが、列の途中に割り込む形になったので再度立ち止まり、団体さんを見送ってから再度歩き始めました。







大先輩Kさんが疲れてきているので、団体さんとは距離を置いてペースを落として歩きます。

1時52分、明神館に到着。少し休んで出発しようとするとまたさっきの団体さんが歩きだして行きました。再度距離を置き、今度も追いつかないようにゆっくりと歩き出します。













疲れが見えた大先輩のKさんは、
「マイクル、疲れねが?息切れすねが?」
などとおらに聞いて来ます。去年の葉山の時(⇒その時の日記)におらがバテバテだったときと立場が逆転したかと疑いを持っているようです。
途中、護岸工事みたいなのをしていましたが、重機にはケイリュウという建設会社らしき名前がペイントされていました。

2時50分徳沢園到着。明日の帰りにソフトクリームを食べる予定。



















3時10分、徳沢を出発。雨が落ちてきたのでザックカバーを被せて傘をさして歩きます。

新村橋。涸沢カールに通じるパノラマコースに通じている道ですが、上級者向けのようなので今回は行きも帰りも使わない予定です。










山の形に沿って、いく先の景色が見えたり見えなくなったりを繰り返しながら歩きます。次の到着地点は本日の宿泊地なので、時間に余裕があるし気持ちに余裕を持って歩けます。













4時5分、横尾山荘着。先ほどの団体さんがガイドさんから連絡事項を聞いているところでした。同じ宿のようです。
休憩所のどこからか「上で遭難が発生したらしい」みたいな事が聞こえてきます。自分たちも同じ山域にいる事を肝に銘じておかなくては。















受付時に明日の朝は早いので朝食は弁当でお願いしますと頼みました。中には乾燥室なるものがあって、そこはサウナのように暑く、ハンガーがたくさん並んでいて登山靴や着物などを乾かす事ができる施設もありました。
部屋には2段ベッドが左右にあって、相部屋で8人泊まれるところでした。小さい頃2段ベッドの上で寝ションベンしたのを忘れていないおらは下の段に陣取ります。おらだの他に3名の方が同室でした。

風呂に入って(感動!)缶ビールで乾杯(感動!)し、食堂で温かい夕食をいただきます(感動!)。こんな山の中の山小屋なのに至れり尽くせりです。
部屋に戻り持ってきた焼酎700mlパックを飲もうとすると、まだ7時というのに大先輩のKさんと同僚Kはバタンキューです。届いた朝食弁当の袋を見てみると、イチゴのジャムパン1個とクロワッサンが2つ、他にチーズが2個とソイジョイ一つ、野菜ジュースも入っていて、なかなか豪華なセットでした。こちらも至れり尽くせり。

後で部屋に入ってきた3名の方の山の話に一人焼酎を飲みながら耳を傾け、地図を見たりして明日の行動を想像しながら9時に就寝しました。(後におらのいびきがとてつもなくうるさかったと苦情あり。)




 2日目朝4時、目覚ましのバイブレーションで目を覚まします。4時半にもう一度鳴るまでは布団の中でモゾモゾしているつもりでしたが、上の段から同僚Kが下りてきて準備を始めているようです。隣の大先輩Kさんも準備を始めました。同室者に迷惑がかからないように布団をたたみ、朝バナナのゼリー飲料でエネルギー補給して2人が待つフロントに向かいます。3人分の不要な荷物を受付に預けて、ヘッドライトを点けて5時に山荘を出発しました。

不気味に聳える屏風岩東側からを見ながら、しばらくは川沿いの平坦な道を歩きます。徐々に明るくなってきて屏風岩の周りに沿うように道が続くので、常にその姿が変わる様を左に見て歩きます。










5時23分岩小屋跡を通過。
















途中からは石の階段があったりして、少しづつ登りになっていきますが歩きやすいのでどんどん進みます。

一旦左側を流れる川のだいぶ高いところを歩きますが、川の高さが近くなってくると本谷橋に到着します。ここで6時ちょうど、計画通りです。










看板の距離を見ると涸沢カールまでの行程の半分以上進んできたかのようですが、登りの真骨頂はこれからです。揺れて怖い橋を渡り、鳩が待つ川辺で朝食としました。
川の水はとても冷めたくて手をつけている事ができませんでしたが、顔を洗ったら目も気持ちもパリッとしました。











休んでいる間に夫婦と思われる2人組と単独者1名が通過していきました。6時半まで休むつもりでしたが、細かい雨が落ちてきたので再出発しました。ここから500mちょっと高度を上げるので、急がずに行きましょう。
コースタイムではここからあと2時間ほど。

おいおい、いきなりの急な登りです。








一歩一歩息切れしないようなペースを探りながら階段状の石を登ります。先頭の同僚Kはどんどん進んでいきます。ヤツはいつも後半にばてるタイプです。途中でKさんが一番後ろになり、「去年の葉山ん時より全然違うんね?」とやはりあの時を引き合いにしているようです。
おらのズボンの下には買ったばかりのサポートタイツが脚を守ってくれています。その効き目は感じられませんが、それが効いているのか息切れと筋肉痛を経験したばかりだからなのかは分かりませんが調子はいいです。同僚Kのハイペースにピッタリついて行く事も出来そうですが、大先輩Kさんとバラける訳にもいかないし、ペースを乱してまで急ぐ必要はありません。

キツい急坂は20分位で終わり、トラバース道となります。進むにつれ今までは見えなかった山並みの奥の方がその姿を見せ始めました。ガスの奥に急峻で尖ったピークのある尾根は南岳につながると思われます。その左は大キレットに続く谷でしょうか?

トラバース道はこれまでよりは楽に歩けますが、右側が切れ落ちているところがあって注意が必要なところもあり油断はできません。同僚Kは後ろも振り向かず、このすばらしい景観に目をくれることもなく、どんどん先に進んで見えなくなっています、いったいヤツは何と戦っているのでしょうか?









 7時10分、斜面から一面に岩がゴロゴロしている個所があり、ここで同僚Kが待っていました。コースタイムのポイントであるSガレじゃないかとKが言いますが、慎重に来た割にはコースタイムより25分くらい早いです。地図で確認するともう少し先のようです。
このエリアを超えて振り返ると、途中で涸沢と分岐した横尾本谷が高い所から一気に流れ落ちているのが見えます。













しばらく樹林帯や時折開ける景色を見ながら歩き続けると、涸沢ヒュッテらしき建物が目に入りました。










大先輩Kさんが夢見たエリアがあそこにあります。

う~ん、まだまだですが、疲れて歩いてくる大先輩Kさんにテンションを上げてもらおうと

「涸沢ヒュッテんねがっす!」

と指差して伝えます。顔を上げ目を大きく開いてその姿を見たKさんは、

「ああ、遠っげーなぁ」

とうんざりした顔で一言。はい、写真撮ったりしながらゆっくりと楽しく歩きましょう。


再度道が急になってくると、同僚Kが待っていて沢の脇に出ました。休憩し、冷たい水で手を冷やしました。







時間を見ると7時50分です。出発から約3時間が経過しております。地図のコースタイムどおりだと、間もなく横尾から涸沢ヒュッテまでの時間ですが、朝食も途中でとったし我々の脚だとこんなもんでしょう。予定通りです。

ここからは最後の登りです。時折見える涸沢ヒュッテが徐々に近づいてくるのが実感できますが、まだ高度差があり時間はもう少しかかるようです。













いたる所に歩く所にマークがあり、時にはダメな所も教えてくれて、よく整備されています。







8時20分、涸沢ヒュッテと涸沢小屋への分岐。ここで最後の小休止。ここでも写真を撮り合いますが、後から見ると疲れている大先輩Kさんに笑顔はありませんでした。





最後の登りを進むと、






パノラマコースと涸沢カールの分岐。パノラマコースは徳沢の方へ至りますが、雪渓があるので立ち入らないよう看板が設置されていました。







右に折れると木の間からすぐそこに茶色い壁が見え、いきなり涸沢ヒュッテが姿を現しました。とりあえず8時40分、

到着ぅー!







涸沢ヒュッテといえばおでんが有名です。あと、ネットの記録でで煮込みもあったような記憶が(これは涸沢小屋のことだった)うっすらとありました。先に着いてヒュッテの様子を調べていた同僚Kが、

「おでん、厚揚げとちくわだけだど。」

と早速教えてくれます。

「全種類下さい。」

と注文するのを楽しみにしていたおらはちょっと残念です。とりあえず屋根の上にあるテラスに上がり、大先輩Kさんが命の洗濯とまで夢見た涸沢カールの絶景を楽しみます。


テラス、






そこからの絶景。













とまでは全然いかないようです。う~ん、ちょっと天気がイマイチでした。大先輩Kさんも何の感動もないようです。

となれば、楽しみにしていたおでんを注文しましょう。
店に立つかわいいおねーちゃんに、厚揚げとちくわを2つづつ注文します。さらに煮込みもあったら食べようと、

「煮込みあっけが?」

と尋ねると、

「ぬごみゅ?」

と聞き返されます。

「煮込み」

と再度伝え直しますが、

「にごみってなんですか?」

と質問に質問で返されます。煮込みといえば煮込みですが、それを何だと問われれば説明が難しくなります。

「肉とかスジとか煮たみたいな」

みたいな事をシドロモドロに伝えようと必死で頑張っていると、

「モツの煮込みとかあーいうの。」

と大先輩Kさんがフォローしてくれます。

「あ~、それはここにはありません。」

と一発でおねーちゃんが笑って答えてくれました。ちょっとかっこ悪かったですが、おねーちゃんにウケたのでちょっと満足。



テラスのテーブルでおでんをいただきます。







からしは取り過ぎないようにとの注意書きがあったので、残してはいけないと器をナメて綺麗に食べきりました。


「居酒屋どがで煮込みって頼むど出てくっずね。」
煮込みという言葉が通じないのが不思議なおらは皆に確認します。

「にごみってなまってっからわがんねんだ」
「にこみって言うんだ」
と大先輩Kさんが分析してくれます。


テラスの様子。










ガスが晴れるまでゆっくりとしていたいですが、ガスが濃くなったり薄くなったりを繰り返すのみです。細かい雨も感じられたので、9時20分ヒュッテを後にしました。
とりあえずテン場からガスで何も見えないカールの上部を見て、石畳の道をさっきの分岐まで行って、登りと同じ道を下ります。
















 下る途中、トレランみたいな男女とすれ違いますが、カールで折り返してきたと思われますがおら達が下りきる前に追い抜いていきました。かなりスピードが速いです。
また、昨日横尾に向かう途中で一緒だった団体さんともスライドし、またも道を譲っていただきました。

下りの最中も大先輩Kさんが、
「モツの煮込みって言うと伝わったかも。」
みたいに、さっきの会話を引きずっています。

意外と下るのも怖いくらい急な所もあります。下りだって結構距離が長いです。よくこれだけ登ったと下りでいつも自分に感心するのも山歩きの満足感の一つです。







10時43分、本谷橋で長めの休憩をとります。出発しようとするとまた雨がポツポツと落ち始めたので、ここでザックカバーを付けました。
あとは平坦な長い道を歩いて、11時48分横尾山頂着。







とりあえず無事に涸沢カールまでの往復を終えることができました。

横尾山荘脇の食堂でラーメンをいただきました(感動!)。本当に山にいるのか街にいるのか分からないところです。







案の定、同僚Kが膝の様子が怪しいと、サポーターを巻きなおしています。ここからさらに11kmの歩き、平坦ではありますがまだまだ道のりは長いです。


 横尾山荘に預けてあった荷物を受け取り、12時50分上高地に向け出発します。まずは徳沢でソフトクリームを食べるのが目標です。おらは少しでも足の疲労を和らげるため、ここからはストックを使って歩く事にしました。
1時42分、徳沢に到着。念願のソフトクリーム!







濃くてとても美味しいソフトクリームでした!
長めに休んで2時9分、明神に向け出発。次は岩魚でも食おうかと、歩く以外の目標を同僚Kと話しながら進みます。
この長い道のりのどこかでも大先輩Kさんが、

「やっぱりにごみってなまってっからダメなんだ。」

と、あのエピソードの問題点が頭から離れないようです。おらの諧謔が辛くて長い歩きを癒すのに一役かっていれば幸いです。
途中、若干の登り下りがありますが、ある下りの途中で同僚Kの歩みが止まりました。どうやら膝がだいぶ痛むようです。サポーターを巻き直し、すこし休んでから再度歩き始めます。杖代わりにもなるであろうストックの使用を勧めますが、大丈夫と。下りのたびに痛い痛いというので、膝というよりは膝上部の太ももの筋肉がやられているのかもしれません。

3時ちょうどに明神館到着。岩魚は千円するしお腹も減っていないので諦めました。







大先輩Kさんも同僚Kもテーブルを背もたれにしてベンチに腰掛けたままです。おらは明神館の中のお土産を一通りみてから同じように腰かけます。
もう疲労が蓄積して行動に移るのがおっくうです。
「今転げ落ちたら、登って戻る気しないな。」
「んだな。」
「藪の中とかで迷っても考えるのもやんだ。」
「たぶん遭難する時ってこういう時なんだな。」

上を向いたまま同僚Kとこんな弱気な会話をします。
ここからは整備された3度目の道だからいいものの、坂道や知らない所だったら完全にやる気なし男ちゃんであったはずであります。この気持ちを忘れないようにしたいものです。

歩いている最中、明神岳の方に何度もヘリが行ったり来たりしています。
9月1日は防災の日だからかなとか、昨日横尾山荘で言っていた遭難者の事なのかとかみんなで話しながら歩いていました。
後でニュースを見ると別の遭難だったようです。あちこちで遭難が出ていますが、たまたまなのでしょうか?いつものことなのでしょうか?
怖いところです。


同僚Kが去年来れなくて明神池見ていないので、寄っていこうということになり、3時20分明神館を出発。次の目的地は終点上高地です。しかしすぐに大粒の雨が降ってきたので、再度ザックカバーをかけてカメラケースにもビニール袋をかぶせているあいだに、2人に置いて行かれていました。
明神橋を渡ってからもあまりにも雨が強いので、同僚Kは明神池には寄らなくていいといって、先を急ぐことにしました。雨のため写真は撮れません。木道が続いているのですが、下りで同僚Kは苦しそうに歩いています。濡れて滑りやすいのでなおさら力が入っている事でしょう。
奥のほうに治山のための砂利道があるのですが、時折車が通ります。「おーい、乗せてってけろー」と林の中から同僚Kと親指を立ててみますが、もちろん我々の姿は見えるはずもなく声も届くはずもなく、嫌々歩き続けます。
4時18分林を抜けると、梓川の撮影ポイントでは雨が上がっておりました。湯気の立つ梓川。







4時30分上高地着。5時までチェックインできない時は山荘に連絡を入れなければいけませんが、その必要はないようです。
梓川のほとりで写真を撮り合います。奥穂高はガスの中。










 4時43分、無事に山荘チェックイン。どこまで行って来たのか聞かれたので、横尾に泊まって涸沢カール往復してここまで来たと伝えると、「それはなかなかですね」と。誉められたのか荷物の割には大したことないなとフッとされたのかは分かりません。

風呂入って、缶ビール飲んで夕食です。部屋が2階で、風呂は2階からちょっと小上がりの所にあるのですが、風呂も1階の食堂に行くにも階段で大先輩Kさんと同僚Kは脚が辛そうです。意外にもいつも人よりダメージが大きいおらは、ふくらはぎが痛いくらいです。サポートタイツが効いているのでしょうか?

大満足の夕食、生ビールも追加で注文しました。去年もそうでしたが食べきれないくらいの料理です。山登りじゃなくても、ここに泊まるのを目的に観光だけでも来たいと思わせる、満足度の高い宿です。










 部屋に帰ると布団が3つ並んで敷いてあります(当たり前だけど)。おらのいびきを警戒する2人ですが、なぜか両端の布団を確保しおらが真ん中になります。おらの蒲団だけ離されないだけマシですが、何度か山で一緒に泊まった経験のある大先輩Kさんの耳の中には耳栓が入れられております。大先輩Kさんの勧めで売店で耳栓売ってないか尋ねるも(失礼な!)あっさり断られた同僚Kは不安そうな顔です。どれだけおらのいびきを警戒しているのでしょうか?

まずは部屋飲みをしますが、買ってきた缶ビールが無くなると8時前には2人とも眠いと布団に入ります。同僚Kはおらのいびきが始まる前に眠りにつく作戦を選んだようです。
おらは焼酎がたっぷり残っているので、一人飲み続けていました。ipadでとったGPSログをみたり撮ってきた写真を見たりして、ハードだった夢のような長い一日を振り返っていると、9時頃になって同僚Kが何度か寝返りをした後、布団から出てきました。

「脚いっだくて寝らんね!」

相当痛くて苦しいようです。痛み止めを飲ませ、膝を保護するような形で毛深い脚にテーピングをして、さらにその上から湿布を貼らせて(全部おらが持ってきたもの)様子を見ます。すると今度は大先輩Kさんも起きだして、3人でとんねるずのスポーツ番組を見ながら上高地の夜を過ごしました。
10時近くになると、同僚Kの痛みがとれたらしくまた布団の中に入って深い眠りにつきました。大先輩Kさんも、「10時なったら寝っべ」といって、電気を薄暗く消して布団に入りました。焼酎を最後の一滴まで飲みほしたおらは、ほろ酔いで最後に布団に入りました。

翌朝6時過ぎにみんな布団から出ると、

「マイクルのいびき全然聞こえねがら、生ぎっだが心配で寝らんねっけ。」

と、大先輩Kさんには違う意味で心配をおかけしたようです。同僚Kも痛み止めとテーピングが効いたようで、よく眠れたと。

朝風呂に入って、朝食。同僚Kとおらがご飯おかわりしてたらおひつのご飯が無くなって、おひつのおかわりまでしてガッツリいただきました。







 8時半に宿を後にします。預けていたトレッキングシューズの中には新聞紙が詰められており、湿気がとれています。細かいながらもこういう心配りも大したものです。心からのありがとうをオーナーに伝え、サヨナラです。満足度100%ですね。
ブラックな会社に勤める頑張り屋の同僚Kは山形に帰ってから職場に行って仕事をするそうなので、内心アセっています。おみやげを買った後、上高地の写真を少しの間撮ってバスターミナルに向かいます。
この独特な空間に、また今度いつ来れるのか?ちょっと淋しい気持ちです。


















沢渡のバスターミナルに着くと、これまで見えなかった青空が広がり、まぶしい太陽の光が注がれていました。(これが昨日だったら・・・)







 新潟の海沿いのSAで大先輩のKさんにソフトクリームをご馳走になりました。青空の下の青い海の向こうには大きな佐渡島が見えています。(これが昨日だったら・・・)










 6時半山形着。みなさん、お疲れ様でした。そして無事に帰ってこれてよかった。

本当に遠い涸沢カールでした。








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