黒屋堂

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おいしい料理でも、毎日同じもの食べたら飽きるじゃん?

2006年07月09日 18時17分51秒 | 表現規制とか
先日紹介したIT社長のブログ、更新されてますね。

「思考実験」の続き:なぜ「強姦」は禁止で「殺人」は禁止でないのか?

まあこちらへの反論は後日(多分)やるとして、「殺傷表現は禁止」みたいな規制論の弊害について考察します。


こちらに問題をうまく言い表した文章があったので引用
そこで「Z(注:CEROのZ指定)になるようなソフトは作らなきゃ問題ない」と考えるゲーム企業の経営者が出てくるかもしれない。そこに大きな問題と危険があるんだ。

たしかにIT社長平野氏の言うとおり、当たり障りのない表現だけでもいい作品が作れないことはない。テトリスとか。
しかし、当たり障りのない表現しか使えないのなら、作れる作品のパターンは限定されてくる。
極論、テトリスの2番煎じしか作れなくなる。

これについては、電撃G'sマガジン編集長・高野希義氏がいいこと言っているので引用

音楽も「これはロックだが、あれはロックじゃない」とか、「××でないとダメ」という保守化が始まると、コピペ・縮小再生産のようなものしか生まれず、客は飽きて他のジャンルに。今のギャルゲー・エロゲーも「これはギャルゲーとしてNG」「これは客にウケない」みたいな自己規制を働かせ過ぎたのかもしれませんね。(このあたりは自己反省も含めて)

そういう自主規制からは「ひぐらしのなく頃に」は決して生まれないですし、この作品がインディーズから生まれ、その“破壊性”ゆえに新しかった、ゆえに支持された、というのは象徴的ですよね。

(メディアワークス「電撃G'sマガジン」2006年8月号コラム「調教日誌」より)

そういえば昔は誰もが「ポリゴンのギャルゲーはウケない」と思ってたけど、「ゆめりあ」が見事に破壊したもんなぁ・・・

これは規制ではなく内部の保守化についての話だが、規制はこの保守化→縮小再生産の流れを助長し、
そして“破壊性”→革新の流れを絶対に認めない。

ただでさえゲーム業界は少子化と、森昭雄を始めとするゲーム脳脳連中のせいで逼迫しており、
確実に利益を見込めるシリーズ作品に傾倒→縮小再生産の流れになっているわけで、これ以上規制を厳しくすれば、本当にゲーム産業もゲーム文化も殺されかねない。


いい物を作ろうとするなら、たとえ低俗・下劣なものでも、材料は多いほうがいい。
汚い部分・恐ろしい部分もひっくるめて人間の生き様であり、そんな生き様を描くことでしか起こせないベクトルの感動もあるからだ。



ついでに、平野氏の部下の方が先日のエントリーについて言及されてますので紹介。

思考実験:禁止法の禁止法 (江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance )


本気で人を殺そうと思うときの極限状態と自分を殺そうとするときの極限状態っていうのは結構似てるんだけど、これとゲーム内で人間をメッタ刺しにして切り刻んでる時の心理状態とでは、天と地ほども違う。相似形ですらない。

「死」っていうのは、チャンバラなら痛い思いをするから問題ないとか、そういうぬるいレベルじゃないんですよ。転んで怪我して痛い痛いって泣くのと、「おれは死にたいぐらい苦しいんだ」ってことを誰かにアピールしたくてたぶん死なないんだろうなと思いつつリスカするのと、思わず本当に死にかけて周囲の時間が凍り付いて、視界や音がすべて消えて、あっもしかして俺はこのまま死んでいくのかも知れない、っていうときの、あの底冷えのする恐怖とでは、格段の差とかいう言葉では言い尽くせないぐらいのギャップがあるんですよ。


本質突いてるなあ、と思った。
私は(リスカはしないまでも)死にたくなったこともあるし、小~中学のときには殺したい程憎いやつもいた。その一方で「あっ俺死ぬかも」みたいな体験も一応はしてる。

んで、これ読んで始めて気付いたけど、思い返せばこの両者は全く別のものなんだ。
命の危機を感じたときのあの時間が止まる感覚は、自殺や殺人へ向かう感情とは全く違うと私も思う。
たぶん相似形どころか対称形ですらもない。


余談:しかしゲームを1日3~4時間やる子が異常っていう通説はなんなんだろうね。
視力低下とか問題はあるにせよ、「読書を1日3~4時間」なら「賢い子」ってことになるだろうし。

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4 コメント

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トラックバックありがとうございます (遊鬱)
2006-07-11 00:15:31
はじめまして。



どうやら平野氏は多忙のためかどうか知りませんが読解力に乏しい方のようですね。コメント欄の指摘などひとつひとつ丁寧に受け答えしておられたので、少なくともそれが新しいエントリーに反映されるのかと思っていたら、結局は規制の有無について問いたいという姿勢に変わりないんですから。単にそういう企画を催したいというだけだったのではないかとますます疑惑を強めているところです。
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まあそういうもんですよ。 (黒屋ぶるー)
2006-07-11 23:46:20
どもども。



まあ、いきなり異論をぶつけられても、考え方は急に変えられないものですよ。

提示された資料を無視せずに再反論をやっているだけでも、あの手の人の中では良くやってるほうです。

我々も、焦ることなくじっくり対応すればいいのです。
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トラックバックありがとうございます (藻古)
2006-07-12 22:22:17
はじめまして



あんな適当さ満載のブログにトラックバックありがとうございます。



自分で書いときながら、正確さとは程遠い内容なのでどきどきですが。



しかし、平野氏のエントリには腰を据えてかかった方が良さそうですね。



>ゲーム3~4時間

費用対効果とか。

RPG一本遊ぶ間に本は二、三冊読めるからとかどうでしょう。





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費用対効果ですか (黒屋ぶるー)
2006-07-12 23:25:38
どもども。



なるほど、メディアによる情報効率の差(とでも言えばいいのでしょうか)はあまり考慮されてきませんでしたね。



もっとも、私のような活字嫌いの場合、小説一冊読む間にゲーム1本半は出来てしまいそうですがorz
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