071:得意（今泉洋子）

得意げにああしてかうして抱きしむと愛告ぐる君眩しみて見つ

070:柿（今泉洋子）

去年ありし干柿今年は吊されず蔵の白壁寒々と見ゆ

069:視（今泉洋子）

霜月は既視感（デジャビュ）を誘ひ初時雨いつかのわれも君と見てゐた

068:兄弟（今泉洋子）

たべつぷりうちの兄弟見事なり下がる気配なきエンゲル係数

067:闇(今泉洋子）

停電に秋夜の闇の美しさ初に気づくとあなたの手紙

066:きれい(今泉洋子）

人知れずきれいになりたき齢（よはひ）きてあなたにきつく抱かれてみたし

065:投（今泉洋子）

ぽつたりと椿は落ちてわが首を差し出すやうに歌投稿す

064:刑（今泉洋子）

はろばろと刑務所の郷さんゆ届きし押し花色褪せずあり

063:以上（今泉洋子）再投稿

これ以上おまへと前には進まない終着駅にたちまちの雨

062:氏（今泉洋子）

氏神の与賀神社の参道に肥前鳥居は三つ据えらる