先日公開した「平成16年度組織人事事例」の解答について、パヤシさん、pionさんから添削コメントをいただきました。
お二方とも【第5問(設問1)】について指摘されています。
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パヤシさんの添削
http://blue.ap.teacup.com/jukennikki/438.html
pionさんの添削
http://blog.livedoor.jp/pion/archives/30866616.html
【kurogenkokuの解答】
(第5問設問1)
既存のフォーム事業をどのように変革すべきか。根拠も含めて。
(解答)
A社は業務効率化ノウハウと小口取引を核に、積極的に顧客分散化を図るべきである。根拠は、①小口取引により大手との価格競争を回避し高付加価値化を実現、②顧客分散により業績変動リスクを回避、できるためである。
【パヤシさん、pionさんが指摘した解答の問題点】
・結論→因果(結果)間の部分で若干つながりにくい部分があった。
・現状よりもより具体性が欲しい。
・顧客分散の方向性は納得ですが、小口と大口という切り口は類推し過ぎでリスクがないでしょうか?
【pionさんが指摘した問題点の具体例】
小口取引というのは、与件文中で言うと、中小企業を取引先として開拓していくのか、それとも企業の規模に関係なく開拓していくのかが、すこしわかりずらいきがしました。
高付加価値化というのは、企業なのか、製品なのか(ほぼ製品だとおもいますが)若干わかりにくい点がありました。
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それを踏まえてもう一度与件を整理してみました。
「与件文中より」
①現在、資本金1,000万円、従業員数21名(パート社員を含む)で、売上高3.5億円、経常利益3期連続マイナス。
②現状の体制を維持していくためには、4.2億円の売上高が必要。
③最新設備を導入した大手印刷業者が大量印刷体制を強化し、低価格競争に拍車がかかった。
④2001年度決算では売上高が4億円を下回り、経常利益もマイナスに転じてしまった。
⑤A社の顧客の整理
(1)保険会社a社(主要顧客)
・かつて郵便物配信の業務効率化に協力し、保険担当者と盤石な人間関係を築き、A社は業績を伸ばした。
・業界再編の中、大幅な体制変更があり、今後の取引が不透明。
・現在も売上の30%を占めているが取引額は減少傾向
(2)家電メーカーb社
・a社同様1970年代からの主要顧客。
・現在も売上の20%を占めているが取引額は減少傾向。
(3)電機メーカーc社
・1998年には2%程度の売上構成だったが、現在は約20%の売上構成。
(4)中小宅配業者d社
・2000年から取引が始まり、現在5%の売上構成。
(5)その他の顧客
・1998年、約35% → 現在約22%の売上構成
・ただし1998年にはこの中にc社やd社も含まれていると思われ、c社やd社と「その他」を含めれば割合は増加している。
そしてもう一つの注目すべき与件文。
⑥主要顧客別売上構成比を見ると、1998年当時と比較して主要顧客との取引額が減少し、電機メーカー(c社)や中小宅配業者(d社)などの新規取引先だけでは、その不足分を補填できないばかりではなく、取引の継続にも不安が残っている。
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以上から導き出された方向性は、
・①、②、④より「売上高の回復」が急務。ただし第4問で「早急な人件費の削減策」を提案しているので、損益分岐点は4.2億円より下がるかも知れない。
・そのためには⑤、⑥より「売上高の回復」が見込める顧客の開拓が必要。
→ a社、b社は取引が不安定、⑤や⑥より「その他の顧客」の開拓を行っていくことが妥当。
・③より大手印刷業者と「事業ドメイン」の明確な切り分けを行い、価格競争を回避しなければならない。 → やはり「小口取引」
ここで【第2問】であげた主要顧客依存型事業のデメリット3つを見る。
・主要顧客の業績変動や組織体制変更により、業績が不安定になる。
・安定的志向に陥るため、新規顧客開拓意欲が薄れ営業力が低下する。
・主要顧客の値引き要請が強まるため、コスト削減対応を迫られる。
↓ ↓ ↓
・主要顧客依存型から脱却すれば、主要顧客の業績変動によるリスクを回避できる。
・新規顧客開拓には(低下していると思われる)営業力の強化が前提。
ということで
(第5問設問1)は以下のように修正します。
【修正解答】
A社は営業力を強化し、小口需要を持つ新規顧客の獲得による顧客分散化を進めるべきである。小口取引は大手の低価格競争を回避でき、新規顧客獲得による顧客分散化は売上増や業績変動リスク回避につながるためである。
【pionさんが指摘した問題点について】
①小口取引というのは、与件文中で言うと、中小企業を取引先として開拓していくのか、それとも企業の規模に関係なく開拓していくのかが、すこしわかりずらいきがしました。
上記のように与件情報との整合性を図った結果、小口ニーズを持つ「その他の顧客」の開拓という結論に達しました。
これは企業の規模に関係なくということです。
一般的には「小口ニーズ = 中小企業」と書きたくなりますが、類推できるレベルを超えており明言は避けました。
②高付加価値化というのは、企業なのか、製品なのか(ほぼ製品だとおもいますが)若干わかりにくい点がありました。
「小口取引により大手との価格競争を回避 = 高付加価値化」は言い過ぎだったかもしれません。
よって修正版の解答では「高付加価値化」という表現ははずしました。
【その他】
公開した解答中「業務効率化ノウハウ」について。
与件では「a社に対する郵便物配信の業務効率化ノウハウ」と書いてあります。
新しい顧客は「その他の顧客」であり、「業務効率化ノウハウ」は「その他の顧客」を開拓する上での「強み」にはあたらないと判断し、これも削除しました。
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この解答で正解とはいいきれませんが、さらに事例の深堀ができ、良い復習になりました。パヤシさん、pionさんありがとうございました。
お二方とも【第5問(設問1)】について指摘されています。
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パヤシさんの添削
http://blue.ap.teacup.com/jukennikki/438.html
pionさんの添削
http://blog.livedoor.jp/pion/archives/30866616.html
【kurogenkokuの解答】
(第5問設問1)
既存のフォーム事業をどのように変革すべきか。根拠も含めて。
(解答)
A社は業務効率化ノウハウと小口取引を核に、積極的に顧客分散化を図るべきである。根拠は、①小口取引により大手との価格競争を回避し高付加価値化を実現、②顧客分散により業績変動リスクを回避、できるためである。
【パヤシさん、pionさんが指摘した解答の問題点】
・結論→因果(結果)間の部分で若干つながりにくい部分があった。
・現状よりもより具体性が欲しい。
・顧客分散の方向性は納得ですが、小口と大口という切り口は類推し過ぎでリスクがないでしょうか?
【pionさんが指摘した問題点の具体例】
小口取引というのは、与件文中で言うと、中小企業を取引先として開拓していくのか、それとも企業の規模に関係なく開拓していくのかが、すこしわかりずらいきがしました。
高付加価値化というのは、企業なのか、製品なのか(ほぼ製品だとおもいますが)若干わかりにくい点がありました。
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それを踏まえてもう一度与件を整理してみました。
「与件文中より」
①現在、資本金1,000万円、従業員数21名(パート社員を含む)で、売上高3.5億円、経常利益3期連続マイナス。
②現状の体制を維持していくためには、4.2億円の売上高が必要。
③最新設備を導入した大手印刷業者が大量印刷体制を強化し、低価格競争に拍車がかかった。
④2001年度決算では売上高が4億円を下回り、経常利益もマイナスに転じてしまった。
⑤A社の顧客の整理
(1)保険会社a社(主要顧客)
・かつて郵便物配信の業務効率化に協力し、保険担当者と盤石な人間関係を築き、A社は業績を伸ばした。
・業界再編の中、大幅な体制変更があり、今後の取引が不透明。
・現在も売上の30%を占めているが取引額は減少傾向
(2)家電メーカーb社
・a社同様1970年代からの主要顧客。
・現在も売上の20%を占めているが取引額は減少傾向。
(3)電機メーカーc社
・1998年には2%程度の売上構成だったが、現在は約20%の売上構成。
(4)中小宅配業者d社
・2000年から取引が始まり、現在5%の売上構成。
(5)その他の顧客
・1998年、約35% → 現在約22%の売上構成
・ただし1998年にはこの中にc社やd社も含まれていると思われ、c社やd社と「その他」を含めれば割合は増加している。
そしてもう一つの注目すべき与件文。
⑥主要顧客別売上構成比を見ると、1998年当時と比較して主要顧客との取引額が減少し、電機メーカー(c社)や中小宅配業者(d社)などの新規取引先だけでは、その不足分を補填できないばかりではなく、取引の継続にも不安が残っている。
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以上から導き出された方向性は、
・①、②、④より「売上高の回復」が急務。ただし第4問で「早急な人件費の削減策」を提案しているので、損益分岐点は4.2億円より下がるかも知れない。
・そのためには⑤、⑥より「売上高の回復」が見込める顧客の開拓が必要。
→ a社、b社は取引が不安定、⑤や⑥より「その他の顧客」の開拓を行っていくことが妥当。
・③より大手印刷業者と「事業ドメイン」の明確な切り分けを行い、価格競争を回避しなければならない。 → やはり「小口取引」
ここで【第2問】であげた主要顧客依存型事業のデメリット3つを見る。
・主要顧客の業績変動や組織体制変更により、業績が不安定になる。
・安定的志向に陥るため、新規顧客開拓意欲が薄れ営業力が低下する。
・主要顧客の値引き要請が強まるため、コスト削減対応を迫られる。
↓ ↓ ↓
・主要顧客依存型から脱却すれば、主要顧客の業績変動によるリスクを回避できる。
・新規顧客開拓には(低下していると思われる)営業力の強化が前提。
ということで
(第5問設問1)は以下のように修正します。
【修正解答】
A社は営業力を強化し、小口需要を持つ新規顧客の獲得による顧客分散化を進めるべきである。小口取引は大手の低価格競争を回避でき、新規顧客獲得による顧客分散化は売上増や業績変動リスク回避につながるためである。
【pionさんが指摘した問題点について】
①小口取引というのは、与件文中で言うと、中小企業を取引先として開拓していくのか、それとも企業の規模に関係なく開拓していくのかが、すこしわかりずらいきがしました。
上記のように与件情報との整合性を図った結果、小口ニーズを持つ「その他の顧客」の開拓という結論に達しました。
これは企業の規模に関係なくということです。
一般的には「小口ニーズ = 中小企業」と書きたくなりますが、類推できるレベルを超えており明言は避けました。
②高付加価値化というのは、企業なのか、製品なのか(ほぼ製品だとおもいますが)若干わかりにくい点がありました。
「小口取引により大手との価格競争を回避 = 高付加価値化」は言い過ぎだったかもしれません。
よって修正版の解答では「高付加価値化」という表現ははずしました。
【その他】
公開した解答中「業務効率化ノウハウ」について。
与件では「a社に対する郵便物配信の業務効率化ノウハウ」と書いてあります。
新しい顧客は「その他の顧客」であり、「業務効率化ノウハウ」は「その他の顧客」を開拓する上での「強み」にはあたらないと判断し、これも削除しました。
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この解答で正解とはいいきれませんが、さらに事例の深堀ができ、良い復習になりました。パヤシさん、pionさんありがとうございました。