新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

岩窟の聖女

2012年12月21日 | 読書
エアポケットのようなすきま時間ができ、来年の干支のへびについて調べる。年賀状や年頭スピーチの下調べ。片山廣子/松村みね子にへびのエッセイがあったと思い出し、『燈火節』を読みふける。

わずが7ページのエッセイなのに、アイルランドと日本へび伝説を自由に逍遥し、その地下水脈をたどり、最後は戦時下、庭をすっと走り去った家のヌシの蛇の話でフェードアウト。実に見事。何度か言及しているが、こういうのがほんとうに良い文章だね。次のエピソードの美しさは忘れがたいものである。

〈まだわかい北條時政が江の島の岩屋に参籠した満願の夜に岩屋のぬしの蛇が現はれた。その時蛇体ではなく美しい女性の姿にみえた蛇は人間の言葉で時政に未来の事を話した。まぼろしが覚めた時、その女性が立つてゐた辺に三片のうろこが落ちて光つてゐたといふ話で、これは少しも怖くはなく、頼もしい美しい、古い伝説風でもある。〉 (「大へび小へび」)


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