くまきちの「音楽と観劇の日々」

ライブハウス通いと観劇が趣味の“くまきち”がお送りする、とりとめもない日記形式の自己主張。

そして「賢治島」へ・・・

2006年01月17日 20時52分05秒 | キャラメルボックスのこと
15日の横浜千秋楽を以って、長かった『クロノス』もいったん終了となった。
ハーフタイムシアターでは、またクロノス・ジョウンターの物語と再会することになるのだが、その前に『賢治島探検記』が控えている。

僕のポケットは星でいっぱい』以来の“成井さん's宮澤賢治ワールド”にして、最も宮澤賢治の作品を直接的に扱った演目なので、頭を賢治ワールドに切り替えるべく、今日から宮澤賢治の童話を読み始めることにした。

そもそも、私が宮澤賢治の世界にハマったのは『ブリザード・ミュージック』をキャラメルボックスTVで観てからだ。元来、短期集中的凝り性な性格でいったん勢いが付くとその間は走り出したら止まらないヤツなので、ちくま文庫版・宮澤賢治全集を買い込み、『春と修羅(第一集)』と『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』「ペンネンノルデは今は居ないよ」『グスコンブドリの伝記』『グスコーブドリの伝記』を一気に読みました。
特に、『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』→「ペンネンノルデは今は居ないよ」→『グスコンブドリの伝記』→『グスコーブドリの伝記』という作品の変遷は、「ペンネンノルデはもういないよ」という草稿をメモを童話化した遺稿が発見されたという設定の『ブリザード・ミュージック』を見た後だけに、とても興味深く読むことができたものでした。

その後、『ブラック・フラッグ・ブルーズ』(2004年・再演版)や『僕のポケットは星でいっぱい』(2005年)などに宮澤賢治ネタがちらりと登場するたびに、全集を紐解いてはニンマリしたものでした。

そして、今度は『賢治島探検記』の再演。
前回は、『祭の晩』『どんぐりと山猫』『貝の火』『風の又三郎』『セロ弾きのゴーシュ』『銀河鉄道の夜』の6作品が扱われたのだが、今回は(総入れ替えかどうかはわからないが)前回とは異なった作品を取り上げるらしい。

雑誌『國文學』平成15年2月臨時増刊号の「宮沢賢治の全童話を読む」によれば賢治の書いた童話は約140あるらしい。その中から6つ前後の作品が選ばれるのだろうから、事前に予測するのは至難の業であると言っていいだろう。

ただ、「歌原稿〔B〕第一葉余白」に記された「少年小説の題名列挙メモ」に列挙された
 「ポラーノ広場」
 「風野又三郎」(のちの「風の又三郎」)
 「銀河ステーション」(のちの「銀河鉄道の夜」)
 「グスコーブドリの伝記」
の4作品は、“賢治の代表的な長編童話であって異稿もいくつかある興味深い作品なので、ここを完全にはずすことはない”という予想だけはなんとか立てられそうである。
このうち、2つめと3つめは初演の『賢治島探検記』で、4つめは『ブリザード・ミュージック』で取り上げられているので、「ポラーノ広場」を本命・「グスコーブドリの伝記」を対抗としておきます。

ちなみに、「ポラーノ広場」にも「ポランの広場」という異稿があり、この「ポランの広場」にはその第3章を劇化して大正13年8月に花巻農学校の生徒により上演されたという戯曲(?)まで存在しています。

ただ、今日まず読み始めたのは『銀河鉄道の夜』です。
それはなぜかというと、『グスコーブドリの伝記』と同様に異稿がたくさんあってそれらの比較対象が面白そうだからです。実際、『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を読む』(ISBN4-422-93038-9)という、“『新校本宮澤賢治全集』に収録された4パターンの原稿を比較対照して読めるように工夫された本”が出版されていたので、これを買って読み始めたのです。

ちなみにこの本には『銀河鉄道の夜』の前駆的作品である「青森挽歌」という作品も収録されていて、作中に「とし子」という名前が出ていたのがちょっと涙を誘いました。

さあて、では読みまくるぞ~!


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
宮沢賢治の本 ()
2006-01-18 11:45:34
あ、やっぱり予習しておいた方が良いですか、宮沢賢治の本

う~ん、どれから読もうか…(悩)

また「積ん読」にしないようにしなければ(笑)
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はじめまして (かねひらねこ)
2006-01-18 13:00:31
はじめまして。「銀河鉄道の夜」で検索したら、出てきたので、寄ってみました。

「銀河鉄道の夜」は、大好きなのですが、いつも変なところでひっかかって考えたりしています。

なんの参考にもならないだろうとは思うのですが、賢治が出ていて嬉しかったので、TB貼らせていただきました。

ゆっくり、あせらずに、賢治を楽しんでください。
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あ、はじめまして~ (くまきち)
2006-01-18 21:52:08
かねひらねこさん、はじめまして~。

早速、トラックバック返しをさせていだきました。



そうですか。「銀河鉄道の夜」で検索ヒットしましたか。blogでは検索でヒットしたサイトに行くことは滅多になりですねえ。今度やってみよ。:)



お気に入り劇団の一つ、演劇集団キャラメルボックスで脚本を書いている成井さんが賢治ファンらしくて、私はその影響でいろいろ読んでいるんですが(ちくま文庫版の全集を買ったのもそのためだし)、一度ハマるととことん行っちゃうんで、ひとしきり行けるとこまで行ってみようと思います。必要以上に深入りをしないで。



それにしても、あの「トマト」のくだり、そう解釈しましたかぁ(笑い)。

「病床の母親が自分よりこどもに滋養のあるものを食べさせようとしてるんだ」という先入観にとらわれていてはダメですね。

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予習は・・・ (くまきち)
2006-01-20 01:31:50
虹さん:

予習は、別にしなきゃしなくてもいいとは思いますけど、(しないよりは)しといたほうが面白いと思いますよ。初演のDVDを観た印象では、“賢治ワールドについて何にも知らなくても楽しめる作品”だとは思えませんでしたから。



とはいえ、どの話が採用されるかは不明ですからねえ…。チラシの成井さんの言葉から想像すると、キーワードは『夏』ってことになるのですが…。

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