読書とかいろいろ日記

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『終点のあの子』 柚木麻子

2010年11月09日 | 読書日記
終点のあの子
柚木麻子
文藝春秋

¥1,333+税 文藝春秋 2010/5/15発行
ISBN978-4-16-329210-6

> 希代子は知っているのだ。朱里の悪口を皆からより多く引き出す方法を。
「それはちょっと可哀想なんじゃない」
と彼女をたしなめる。そうすると、恭子さんはあきれたように、
「キョンは優しすぎ。あの子、それだから調子乗っちゃうんだよ」[…]
他の子たちの朱里の悪口を聞くたびに、常々朱里に対して抱いていた怒りがどんどん薄れていくのを感じる。[…]希代子は悪口に参加せず、引き出すだけ引き出して、それを聞いているのが好きだった。(41頁)



世田谷にある、プロテスタント系の私立女子高の女子高生。
憧れと軽蔑。羨望と憎しみ。
ほんのちょっとのことで、気持ちは揺れる。
有名なカメラマンの娘、朱里。奔放な朱里に振り回される希代子。朱里がノートに書いたクラスメイトの悪口の数々。「希代子は意気地なしだ」それを読んでしまった希代子は…。
「フォーゲットミー、ノットブルー」


中学まで希代子の親友だった森奈津子。
希代子が朱里に夢中になって、取り残された気分になる。
奈津子は夏休みにバイトをすることにした。高校には階級制度がある。夏休みのあいだに大人っぽく変身して、上の階級を目指すのだ。
「甘夏」


クラスではいちばん派手なグループの女王様、恭子。
高校からの入学組で、家の稼業はクリーニング店。
夏休み直前に彼氏と別れて、時間をもてあました恭子は冷房の効いた図書館へ行き、クラスメイトの保田早智子と会う。早智子はオタクだ。
気も話も合うとは思えなかったふたりは、夏休みのあいだに急速に親しくなるが…
「ふたりでいるのに無言で読書」


大学生になった朱里。
就活に励む恋人とはしっくりいかない。
あいかわらず空気を読まない。
空気を読めといわれると、高校のときのいじめを思い出す。…
「オイスターベイビー」


思春期。
傷つきやすい女の子。
すぐに傷つく。
そして傷つける。

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