読書とかいろいろ日記

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『クモの糸でバイオリン』 大﨑茂芳

2018年02月19日 | 読書日記

『クモの糸でバイオリン』 大﨑茂芳
¥1,200+税 岩波書店(岩波科学ライブラリー254) 2016/10/5発行
ISBN978-4-00-029654-0

> ちなみにこのころ、私の「本業」は、マイクロ波という電磁波を用いた分子や繊維の配向性の研究へとシフトしていた。フィルムの配向性の研究に始まり、今では血管、骨、肺、皮膚におけるコラーゲン繊維の配向性の研究、さらにはこれを応用した皮膚移植法を実用化する研究を行っている。しかしそのかたわらで、私はいつのまにか、クモの糸の虜になってしまったのであった。(3-4頁)

クモの糸の専門家、というイメージだったけど、そりゃクモの糸だけで飯は食えんわな。納得。
ていうか、そうやって二足の草鞋を履くことで興味を持った研究対象を突き詰めることができたのだな、諦めない姿勢って大切だな、と感じ入りました。

> 私の一連のクモの糸の研究は、そもそも趣味からスタートしたため、研究に期限が切られておらず、すぐに成果を求められないために、いろいろと違った角度からのアプローチもできた。(113頁)

近視眼的になりがちな成果主義からの解放が大きな結果につながるのだという矛盾。

 

クモの糸は倍音強度が強い。響きの良い、いい音だという。
PRL誌の論文がここまで評判を呼んだ理由のひとつには、大阪音楽大学の松田教授がストラディバリウスを使って演奏してくれたオーディオファイルのインパクトの強さがあるだろうなあ。それも、大﨑先生が地道に培ってきた人脈ゆえだし。クモの糸でバイオリンを弾きたいという一念で、バイオリンのレッスンを何年も受けてきた人だもんな。すごいわ。