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いとをかし古典講座

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鶏鳴狗盗

2012-02-10 20:51:20 | 十八史略



 靖郭君田嬰(でんえい)は、宣王の庶弟なり。薛に封ぜらる。子有り文と曰ふ。食客数千人、名声諸侯に聞こゆ。号して孟嘗君と為す。
秦の昭王其の賢なるを聞き、乃ち先づ質を斉に納れて、以て見んことを求む。至れば則ち止め、囚へて之を殺さんと欲す。孟嘗君人をして昭王の幸姫に抵りて解かんことを求めしむ。姫曰く、「願はくは君の狐白裘を得ん。」と。蓋し孟嘗君、嘗て以て昭王に献じ、他の裘無し。客に能く狗盗を為す者有り。秦の蔵中に入り、裘を取りて以て姫に献ず。姫為に言ひて釈さるるを得たり。
即ち馳せ去り、姓名を変じて、夜半函谷関に至る。関の法、鶏鳴きて方に客を出だす。秦王の後に悔いて之を追はんことを恐る。客に能く鶏鳴を為す者あり。鶏尽く鳴く。遂に伝を発す。出でて食頃にして、追ふ者果たして至るも、及ばず。孟嘗君帰りて秦を怨み、韓魏と之を伐ちて、函谷関に入る。秦城を割きて以て和す。