前回は、「木村定跡」の本定跡について紹介しました。
今回の内容は、
「本定跡の手順の中に、後手がどこかで変化できないか?」
独自研究も織り交ぜて、探求していきます。
初手より
▲76歩△84歩▲26歩△32金▲78金△85歩▲77角
△34歩▲88銀△77角成▲同銀△42銀▲38銀
△72銀▲46歩△64歩▲47銀△63銀
▲58金△52金(図)
▲96歩△94歩▲16歩△14歩
▲56銀△54銀▲66歩△44歩▲36歩△74歩
▲68玉△42玉▲79玉△31玉▲37桂
△73桂▲25歩△33銀(図)
ここで▲45歩と突くのが最新型。
木村定跡はここで双方の玉が入城します。
▲88玉△22玉(図)
ここで先手が仕掛けます。
▲45歩△同歩▲35歩△44銀(図)
▲75歩△同歩▲15歩△同歩
▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛(図)
4→3→7→1→2の順で歩を突き捨て、
軽快に立ち回ります。
ここまでは、変化の余地がなく一本道。
前回の記事では、この局面で
△63角
攻防の位置に据え、△95歩~△97歩を狙った
いかにも良さげな一手。
しかし、これには
▲13歩△同香▲25桂(図)
この攻め方が厳しく、
たちまち後手が不利に陥りました。
今回は
ここで、△63角ではなく
△63金
この手に対してはどう攻略するか?について
研究していこうと思います。
※今回の記事は、棋書や棋譜、COMを参考にすることはなく
自身で研究したものですが、万一、前例がありましたら
ご指摘いただけると幸いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
再掲
▲13歩△同香▲25桂△14香▲34歩(図)
△63金に対しても、△63角の時と同様、
▲13歩~▲25桂と端にアヤをつけます。
▲34歩と取り込んだ局面、後手に考えられる手段は
△46角
△86歩
他にも候補はありますが、本記事では
この二つの変化について研究していきます。
△46角
まずは△46角の変化について。
これには飛車を引く一手。
後手の狙いは?
▲29飛△24歩(図)
飛車を引かせ△24歩と突き、
▲33成~の交換を促します。
△46角と打った狙いは、表の狙いは△37角成、
裏の狙いは、△24歩と連携を取り、
全記事で紹介した、この攻め方
わざと桂で成り、△同桂に▲24飛~▲11角
この攻め方を
角によって防いでいる。
△63角とはまた違った、攻防の角です。
しかし、一瞬でも攻めを緩めると
一気に差を広げられます。
どうやって攻略するか?
再掲
▲47銀(図)
銀を引いて、角の位置を問います。
普通は△37角成としたいところですが・・
▲33桂成△同桂▲24飛△23金▲11角(図)
例によって、この攻めが成立してしまいます。
銀を引いたのは、これを実現させるための狙いでした。
再掲
とはいえ、△35角と逃げるのも
▲33歩成△同桂▲36歩で捕獲されてしまう。
強気で対抗します。
△25歩▲46銀△同歩(図)
角こそ取られましたが、それを代償に
二枚替えに成功しました。
このまま収まると、後手の駒得が活きてしまう。
入手した角を最大限に活用していきます。
▲74歩△同金▲41角(図)
まずは▲74歩と叩き、金を吊り上げ▲41角。
ひとまず、金を助けるしかありませんが・・・
△63桂▲25飛△23歩(図)
▲11角
辛抱の極みの△63桂に、
▲25飛~▲11角が三手一組の決め手。
△44銀が浮いているため、
この角から逃げることはできません。
△同玉▲32角成△同玉▲23飛成(図)
角二枚をぶったぎり、飛を成り込んで、
攻めが決まりました。
図の局面は先手の勝ち。
△12飛にも▲13歩、△31銀には▲13歩で
適当な受けがありません。
▲74歩~▲41角が、予想以上に破壊力があり、
大きな戦果を上げました。
再掲
ここで△46角は、上記の変化で先手良し。
次は、代えて
△86歩
この手の対応について研究していきます。
これには▲同歩・▲同銀の二択。
▲同歩から調べていきます。
△86歩▲同歩(図)
△85歩▲同歩△46角▲29飛△24歩(図)
△85歩と継ぎ歩をしたのち
△46角~△24歩と、今までと同じように受けます。
違いは、8筋の歩が▲85歩まで伸びていること。
これがどう影響してくるか?
▲47銀△25歩▲46銀△同歩(図)
▲74歩△85桂(図)
8筋に手を付けたのは、この▲74歩に
△85桂と逃げる手を用意していたからでした。
図の局面で銀を逃げると△76桂~△88歩、
▲86歩と受けるのも、△77桂成~△76桂で、
対応によっては、△47歩成▲同金△38銀が厳しくなる。
いずれにしても、先手が面白くありません。
局面を戻します。
では次に、▲同銀と応じる手について調べます。
▲同銀
△46角▲29飛△24歩(図)
▲86同歩と応じた時と同様、
△46角~△24歩で攻めを催促します。
▲86銀の形にさせられるため、桂の価値は
後手にとって大きい。
ここで返し技をみせます。
▲26角(図)
狙いは、単純な銀取りと、もう一つは
▲47歩と打って、角を捕獲しにいくこと。
いざとなれば△35角で交換に持ち込めますが、
それは本望ではありません。
△35銀
後手も強く返します。
ここで対応を間違えると不利に陥ります。
たとえば・・
▲47歩△26銀▲46歩△25歩(図)
単純な交換で済めばいいですが、
最後の△25歩が味の良い一手。
銀を助けがら桂を奪い、これは後手が有利です。
しかし、▲47歩と打つ以外、角交換は実現しない。
どこで先手の工夫が必要か?
▲47歩△26銀▲33桂成(図)
△同桂▲46歩(図)
ポイントは、手順中に「▲33桂成」を利かすこと。
この効果により
単純に進めた局面
途中▲33桂成を利かした局面
比べて頂くと、一目瞭然だと思います。
ここで仮に△37銀と逃げると・・
▲24飛△23金▲11角(図)
今まで何度も登場した攻め方が、ここでも炸裂します。
よって、ここは△25歩と受けますが・・
▲33歩成△同金▲45歩(図)
ここまで進むと、陣形のまとまりがある
先手に分があります。
△76桂も▲79玉と引き、よほど駒を渡さない限り
厳しく迫られることはありません。
途中の▲33桂成が光った進行となりました。
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☆ 結 論・まとめ ☆
ここで考えられるのは△63角と△63金。
本譜は△63金と上がる手について研究しました。
▲13歩△同香▲25桂△14香▲34歩(図)
ここで考えられるのは△46角と△86歩で、
△46角には
▲29飛△24歩▲47銀(図)
以下、どう応じても先手が有利になる。
△86歩には
これには▲同銀と応じる。
△46角▲29飛△24歩▲26角(図)
この返し技が成立し、先手が指しやすくなる。
以上の変化を踏まえて、
木村定跡の変化、「△63金」には
先手が十分に戦えることを結論にしたいと思います。
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