ー木村定跡ー
初代実力制名人・木村義雄が発表した将棋の定跡。
角換わり腰掛け銀の定跡で、先手勝利まで研究が終わっていることから、
完成された定跡とも言われている(Wikipediaより)
将棋をやってる人なら、
誰しも一度は見聞きしたことのある定跡。
この局面まで進めば先手必勝。
しかし、この定跡は特殊で、この局面に至る以前、仕掛けの段階で
「先手勝勢」とも言われています。
今回紹介する木村定跡、
仕掛けから完全な収束に至るまで、深く掘り下げていきます!
初手より
▲76歩△84歩▲26歩△32金▲78金△85歩▲77角
△34歩▲88銀△77角成▲同銀△42銀▲38銀
△72銀▲46歩△64歩▲47銀△63銀
▲58金△52金(図)
▲96歩△94歩▲16歩△14歩(図)
このタイミングで端を突き合っておくのは、
「右玉」に組む場合、若干の得をするため(前回の記事より)。
今回の記事から本格的に、
腰掛け銀について探求していきます。
再掲
▲56銀△54銀▲66歩△44歩▲36歩△74歩
▲68玉△42玉▲79玉△31玉▲37桂
△73桂▲25歩△33銀(図)
ここまで進めて、「先後同型」の完成。
ここで最もポピュラーなのは▲45歩からの開戦。
基本から最新まで、無限の変化が詰まっています。
▲88玉△22玉(図)
「木村定跡」は、▲88玉・△22玉の交換が
入っている事が大前提。
ここから「必勝」と言われる仕掛けを開始します。
▲45歩△同歩▲35歩△44銀(図)
まずは▲45歩。
▲35歩に△44銀はこれから何度も出現する一手で、
仕掛けに対しての最も基本的な受け方。
△44銀に代えて△同歩と取ると
▲45桂があり、△44銀には▲24歩が厳しい。
▲35歩を突き捨てた効果が表れており、
▲24飛と走った時、△44銀が当たりになります。
4筋、3筋にアヤをつけた先手。
ここから戦線を拡大していきます。
▲75歩△同歩(図)
このタイミングで▲75歩と突き捨てておくのが重要。
狙いは、歩を入手しての▲74歩。
では、その歩をどこで入手しにいくか?
再掲
▲15歩△同歩(図)
今度は端を突き捨てます。
歩を入手すれば▲74歩。よって
▲15香△同香▲74歩と攻めたいところですが、
△71香(図)
これは逆に困ってしまいます。
この局面に限らず、香を犠牲にして▲74歩を狙うのは
上手くいくケースは少ない。
局面を戻します。
▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛(図)
▲75歩、▲15歩とアヤをつけたあとに、
2筋の歩を交換しておきます。
これで1歩を入手することに成功。
後手はつぎに、▲74歩を食らうわけにいかない。
△63角
一見、特異な受け方ですが、
7筋と4筋をまもりつつ、
△95歩▲同歩△98歩▲同香△97歩▲同香△86歩(図)
このような仕掛けも狙っています。
ここまでくると先手がマズイ。
再掲
ここで注目して頂きたいのが「1筋」。
早々に▲15歩を突き捨てていた先手。
それを無駄にしないべく、一気に端から襲い掛かります。
再掲
▲13歩△同香▲25桂(図)
▲13歩として、香を吊り上げ▲25桂。
これには△14香と逃げられ、手が難しいようですが・・
△14香▲34歩△24歩(図)
▲34歩の取り込みに対して△24歩。
後手の狙いは「切らす」ことで、
△24歩も、▲33歩成からの清算を強く促しています。
しかし、ここで絶品の攻め筋がありました。
▲33桂成(図)
▲33桂成が妙手。
結論を先に書くと、これで後手陣は崩壊しています。
では、▲33歩成とするのとどう違うのか?
△同桂▲24飛△23金(図)
狙いは▲33成~の清算ではなく、
桂馬を犠牲にしての▲24飛でした。
△23金は悪形ながらも仕方がない。
△14香が、ここにきて仇になっています。
一気に収束を目指します。
▲11角(図)
この角があまりに厳しい。
△13玉と逃げるのは▲33歩成が好手。
△24玉と飛車を取っても▲23と~▲44角成で崩壊。
▲33歩成に△同銀と応じても、▲同角成~▲21飛成で十分。
よって、△32玉と逃げるよりありませんが・・
▲33歩成△同銀▲44桂△同銀
▲23飛成△同玉▲44角成(図)
▲33歩成~▲44桂を決めて、ばっさり飛車を切る。
最後に▲44角成と躍動させ、
素晴らしく攻めが決まっているのです。
△43金▲45銀△44金▲同銀(図)
一瞬の緩みもなく、流れるような攻めが決まりました。
いうまでもなく、先手の必勝局面です。
これが、角換わり腰掛け銀の根本的な考え方、
歴史をも変えた「木村定跡」の必勝手順・攻め方です。
(普段ほぼ指さないので、恥ずかしながら研究するまで
この定跡に触れることはありませんでした。
本当損だったなあと改めて・・^^; )
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☆ 結 論・まとめ ☆
図の局面で▲45歩と仕掛けるのが木村定跡。
つぎに▲35歩、▲75歩、▲15歩、▲24歩の順番で突き捨てる。
4→3→7→1→2
ここで▲13歩として香を吊り上げ、▲25桂。
△14香に▲34歩と取り込み、△24歩に
▲33桂成
▲33成~清算ではなく、桂を犠牲にして▲24飛が急所。
▲11角
これで後手陣が崩壊している。
今回は、木村定跡の本手順を紹介しました。
次回は
「木村定跡を受ける後手に、なにか変化はできなかった?(´・ω・`)
本定跡はあまりにきれいに決まってるので、
後手がもう一度指すとしたら、
同じ順を食らうわけにいかないですよね。
なので、この定跡の中に、後手に出来る変化はないか、
独自の研究を織り交ぜて、再度紹介しようと思います。
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