さて,前々号に書いたように,Maxwell pairや平行4線コイルは,座標原点付近における磁場の直線性に従って設計されたものでした.
ところが,この設計法には,以下に示す,いくつかの問題点があります.
(1)中心から離れるに従って磁場の直線性が悪くなり,勾配磁場が均一な領域が狭い.
(2)Maxwell pairや平行4線条件に従ったコイルを巻くことは,事実上困難で,電流分布には,空間的な広がり(厚みや幅)が生じてしまう.
(3)目標とする仕様を満たす勾配磁場コイルの設計が困難.特に,アクティブシールド型勾配コイルの設計は不可能.
これらの問題を解決するため,1980年代の半ば頃に,ターゲットフィールド法という,目標とする磁場分布から,それを発生する電流分布を求める逆問題的手法が開発されました.
上に示すのは,その方法に従って,H君が設計し,Oさんが製作した平面型Gxコイルです.